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サウジアラビア:前途多難な映画事業

【出典】2019/5/15

https://variety.com/2019/film/news/saudi-arabia-plows-ahead-film-plans-human-rights-criticism-1203212958/

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サウジアラビアはかつて中東の映画首都になるという大きな野心を持っていたが、ジャーナリストJamal Khashoggi氏の殺害により、実現が大変困難になった。Mohammed bin Salman皇太子が暗殺に関与していると疑われている報告の中で、サウジの指導者を改革者として歓迎していた多くのメディア企業は混乱に陥った。

その劇的な態度の変化は、今年のカンヌ映画祭でも明確にあらわれた。1年前、サウジアラビアはこの映画祭をスタジオや映画会社を勧誘するために利用した。サウジアラビアの地にハリウッドの作品を引き付けるため、初の国営パビリオンをつくり、現地での撮影費用の補助をアピールした。しかし、今年サウジアラビアのテントはなく、約束されていたたインセンティブはも実現していない。そして、Khashoggi氏殺害やサウジ政府のさまざまな政策が、映画界において、サウジアラビアへの広範にわたる反発を引き起こし続けている。

ImaxのCEO、Rich Gelfond氏はカンヌで開かれたイベントで「Khashoggi氏暗殺事件により、映画業界はサウジアラビアへの進出にためらいをみせた。しかし、人びとは再びこの市場への進出に切り出そうとしている。」と語った。

王国が指揮を執るサウジアラビア治安部隊による、Khashoggi氏の残忍な殺人により、一部の企業は王家、特に国王によって厳しく管理されている国でビジネスをすることを断念した。Endeavourはサウジアラビアのソブリンウェルス・ファンドから借りた4億ドルの投資を返却し、ViacomやUberなどの企業は、Bin Salman氏の近代化の取り組みを強調することを目的とした「Davos in the Desert」と呼ばれるサウジ会議から退会した。(サウジアラビアのファンドは、Varietyの親会社であるPenske Media Corp.への投資を続けている。)

しかし、一方で若い裕福な消費者の人口を誇る市場に参入する計画を進めていくことを決定したハリウッドのプレイヤーもいる。MKMパートナーズのアナリスト、Eric Handler氏は、「政治状況にきちんと目を向けなくてはいけない、そしてそれに騙されてはいけない。でもこの市場は非常に有益である」述べた。

サウジアラビアでは2018年まで映画館が禁止されていたが、急速なペースで映画館がオープンしており、中東を拠点とするVox Cinemasは順調に運営を進めており年末までに100以上のスクリーンを所有するとみられる。世界最大の映画館会社であるAMCは、今後5年間で最大50の劇場を開く予定ある。 Imaxは、ライセンス契約を通じて2つの劇場を運営している。また大手スタジオは、「Avengers:Endgame」などの映画をサウジアラビア国内でリリースし続けている。

「サウジアラビアには多くの複雑な道徳的問題があることは間違いない。」とGelfond氏は述べた。「世界の規範や道徳規範に違反した行為を行う政府がいる一方で、国が近代化していくこを望む人びとがいる。この問題に対しての私たちの立場は理想主義的であり、何も関与せず傍観することもできる。しかし、それが国の人びとにとって正しいことなのかはわからない。」

政権への批評家たちの中には、その論理を支持していない人もいる。Khashoggi氏殺害への関与の疑いがあるのに加えて、サウジアラビア政府は西洋の会社にサウジアラビアとのビジネスを躊躇させるべきであるという方針を貫いている。イエメンでの国主導の軍事介入は、人道的災害を引き起こしたと非難されている。また、国は女性に関して抑圧的な法律を制定しており、最近ではようやく女性が運転することが許可されるようになったが、この権利を求めた活動は投獄されている。それに加え、4月には大規模な処刑が実行され、37人の男性の首がきられた。

Codepinkの共同ディレクター、Medea Benjamin氏は、「サウジアラビアの文化活動と国が築き上げようとしている映画産業は、信じられないほど抑圧的な政府を無視できない試みである。」と語った。さらに彼は 「サウジアラビア政権は世界で最も混沌とした、不寛容な政権の一つである。サウジアラビアは膨大な資金を所有しているが、なぜアメリカの会社がサウジアラビア政権を黙認するのか理解ができない。」とつけ加えた。

カンヌでは、サウジアラビアのコンティンジェントが今年は控えめな姿勢を保っている。しかしこの映画祭には、新しい紅海国際映画祭のゼネラルマネージャーに任命された元ドバイ映画祭の執行役員Shivani Pandya氏も参加していた。この紅海国際映画祭の開催はJeddah氏の野望であり、来年から始まる予定である。

ドバイを拠点とするプロデューサーのFadi Ismail氏は、「初期段階では、多くの問題点が生じているのだ。しかし、着実に事態は進行している。」と述べた。サウジが管理するドバイを拠点とする放送局MBCの制作部門の元ゼネラルマネージャであるIsmail氏は、サウジの知的財産に基づいたプロジェクトで、自社を立ち上げようとしている。

カンヌでは、アブダビを拠点とする制作大手Image Nation、MBC、Vox Cinemasが、アラビア映画とテレビのプロジェクトを共同制作し、配信するためのパートナーシップを発表した。しかし一方で、この地域の以外では、Khashoggi氏の殺害によりサウジアラビアの当初の目論みであった、国際的な繋がりをもって映画制作を行い、トップタレントを引きつけることがほぼ不可能になった。映画スターを紅海祭に参加させるのは困難であろう。中東の著名な映画監督は、「ドバイで開かれる映画祭にスターを招くことは困難であろう。」と述べ、さらに「サウジアラビアに対する現在の認識はさらに厳しくなるだろう。」と付け加えた。ハリウッドのメジャーなプロダクションはサウジアラビアが制作費の莫大な援助を申し出しているが、サウジアラビアでの撮影を一切予定していない。

「サウジアラビアの映画業界について話をすると…ゼロから始めるようなもので、意味のあるものを構築するのはかなり長いプロセスになるであろう。」と研究会社IHS MarkitのDavid Hancock氏は述べた。

AMC社長、アダム・アーロンが今後の映画業界について語る

【出典】http://deadline.com/2018/04/moviepass-netflix-adam-aron-amc-saudi-arabia-1202375952/

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AMCシアターのCEOであるアダム・アーロンにとって、今年のシネマコンで一番気になっていることは、サブスクリプション制映画チケットサービスMoviePass(ムービーパス)についてではなく、3年連続で110億ドル以上の国内興行収入を得ている「好況な」映画業界についてだ。また、第1四半期中に『ブラックパンサー』、そして『スターウォーズ:フォースの覚醒』の公開週末記録(247.9百万ドル)を6月末までに破りそうな『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』の公開もあって、2018年は前年の上半期を上回るだろう。

昨年のサマーシーズンの興行収入成績は過去10年で最低だったにもかかわらず、劇場での映画鑑賞が新聞メディアと同じように衰退するという考えは「単に間違っている」と、アーロン氏は話した。そして我々Deadline誌は、劇場鑑賞は衰退していないことを知っていた:2017年の最初の4ヶ月間に映画に夢中になっていた人々が、その後突然映画を見なくなるとは考えづらい。 9月、12月、そして2018年の2月の記録的興行収入がそれを証明している。映画業界は商品主導のビジネスであり、去年の夏にはいくつ興行収入的に失敗した作品もあった。20年間入場者数が減少していることに対し同氏は「私たちは来場者数を数えているのではない、ドルを数えているのだ。」と語る。

アーロン氏は、消費者が映画館かネットフリックスのどちらを選ぶか、究極の選択を迫られているわけではないと語る。 「ネットフリックスは2月(『ブラック・パンサー』公開月)もビジネスをしていたし、『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』が公開される時も問題なくビジネスを運営しているだろう。アメリカと世界の消費者は、これら全てのコンテンツをバランスよく視聴することができる。 様々なフォーマットでコンテンツが登場したとしても、良い状態で生き残ることができるのだ。」と同氏は語る。「11月中旬以降、当社の株式は59%上昇しているので、人々は業界が再び健全であることを認識している」とアーロン氏は付け加えた。

そして、ムービーパス以外のサブスクリプション制映画チケットサービスが、シアター側とメジャースタジオ間で導入されていることについてどう思っているのだろうか?

アーロンは、スタジオとシアター両方が相互に合意できるモデルがあると考えている。

「現在AMCはヨーロッパで同じサービスを行なっているしCineworld(映画シアターチェーン)も同様だ。Cineworldは10年間こういったサービスを続けているし、Odeonは3年間続いていて成功を収めている。私は10年にわたりスキーリゾート事業に携わり、シーズンパスを大量に販売した。そして2年間NBAチームを運営し、6年半(76ersの)マイナー株主だった。NBAでは多くのシーズンチケットが売れている。サブスクリプション制は良いモデルだと考えているが、スタジオ、シアター両方が適正だと考えるサービス価格を考える必要がある。」と語る。

最近映画上映が解禁されたサウジアラビアに関して、アーロン氏は月曜日のCinemaConのパネルに出席した主要スタジオのパネリストらと比べてそれほど心配していないようだ。彼らは25%の税率と検閲の可能性について騒いでいたが、 アーロン氏は、検閲は問題ではないと考えている。当然のことながら、成人向けのコメディー映画にとっては厳しい戦いになるだろうが、「我々はサウジアラビア唯一の映画館で公開される映画を賢明に選択するし、その国の誰に対しても攻撃的でない多くのハリウッド作品を公開できる。」と考えている。

現在AMCはサウジアラビアで唯一営業許可が与えられた米国の映画シアターチェーンである。同社は、今後5年間にサウジアラビアの約15都市で30〜40の映画館を開設し、2030年までにサウジアラビアの約25都市で合計50〜100の映画館を開設する予定だ。

なぜ同氏が検閲についてあまり心配していないのか?彼は、サウジアラビアの皇太子が同国の大半を占める30歳未満のグループとうまく調和していると考えているからだ。アーロン氏は、「過去9カ月間に生じた変化は過去20年間よりさらに多くの変化が生じている。映画業界の人たちによる不安は、同国についてよく知らない人々から来ていると思う。」と述べた。

そして、その25%の追加税についてアーロン氏は、「(オープン初日のチケットは)45秒で完売した。税がなければ35秒で売り切れていただろう。」と言った。

 

サウジアラビア派遣団、ハリウッドの投資家にエンターテインメント産業の野心的な計画をピッチ

【出典】http://variety.com/2018/film/news/saudi-entertainment-authority-summit-1202743933/

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サウジアラビア当局の代表団は、ハリウッドの大手金融機関など約250人の代表者を中心に、エンターテインメント業界を基礎から構築するという野心的な計画を発表した。

カリフォルニア州ビバリーヒルズのフォーシーズンズホテルでのサミットでは、サウジアラビアの投資および民間部門のリーダーたちが、アメリカによる投資とパートナーシップを自国で促進するためのサービスの構造に関する約束をした。このイベントは、新たに創設されエンターテインメントの拡大を任命されたサウジアラビア総合エンターテイメント局(GEA)が主催した。 アリアンナ・ハフィントン氏は、生活の質の向上を含むさまざまなテーマに触れた3つのサミットパネルでモデレーターを務めた。

すでに、いくつかの取引が確定している。 AMCは、中東諸国で初めて映画館を運営するためのライセンスを取得したと発表。この取引は、35年にわたる映画上映禁止を解除することによって可能になった。

シルク・ド・ソレイユのCOO、ジョナサン・テトロート氏は、今年後半に初めてサウジアラビアの国民の日にショーを行う予定だと語った。ナショナル・ジオグラフィック・エクスプローラ社は、同社の没入型ウォークスルーアドベンチャーである「オーシャンオデッセイ」のために、リヤドに2019年にオープンする施設を含め10の新しいロケーションを建設する予定だ。

フロリダ拠点のライブツアー会社フェルド・エンターテイメントは、「ディズニー・オン・アイス」、「ディズニー・ライブ」、「マーベル・エクスペリエンス」、「モンスター・ジャム」など、国際的なイベントを開催するためにGEAと長期的な関係を結んでいる。このパートナーシップは、サウジアラビア人にプロのパフォーマーとしてのトレーニングを受ける機会を与えることを目的としている。

発表された取引は、限られたエンターテイメントしか与えられていない国民3200万人(内70%が30歳以下)への、アメリカによる安定した投資に対する、サウジアラビア当局の期待の第一歩である。

ハリウッドの重要役員の間で取引を行った一つは、WMEの親会社であるエンデバーである。サウジ公共投資基金は、エンデバーの少数株主持分を取得する契約を締結しており、これは4億ドルから5億ドルの価値がある。

Bafarat,氏はさらに、同国は初のウォーター・テーマパークを建設する計画もあると述べた。映画制作は、サウジアラビアのモハメド・ビン・サルマン皇太子が発表したビジョン2030計画で焦点となる予定だ。国の経済を多様化し、インフラを構築することを目指したこの計画は、近代化のための野心的な目標を数多く定めている。

ビン・サルマン皇太子は、米国の複数都市ツアーに参加し、ワシントンD.C.、ニューヨーク、ボストン、シアトル、ロサンゼルスを訪れた。皇太子と代表団のメンバーは、ディズニーCEOと会長のボブ・イーガー、ワーナー・ブラザーズのケビン・ツジハラ氏、フォックスのステイシー・スナイダー氏などのスタジオのトップや、自宅でディナーを開いたルパート・マードック氏のようなメディア界の権力者をはじめとする、重要人やビジネスリーダーと面会した。

この石油の豊富な国は、経済成長のため石油資源への依存から離れることを試みている。サウジアラビアで映画やテレビの制作業界を成長させる目的の1つは、 公共部門外の雇用を創出することだ。

新しい皇太子のもと、サウジアラビアは、女性に運転の権利を与えるなど、いくつかの社会改革を発表した。女性は今やスポーツイベントに参加することができ、サウジアラビアの当局者は、伝統により身体と顔の大部分を覆い隠し、男性の付き添いを伴わなければならなかった女性に対するドレスコード制限を緩めている。

ビン・サルマン皇太子は、より緩和された形のイスラム教を促進し、自国が中東の主要な国家として浮上する事を望んでいる。

バラク・オバマ大統領のもとでイエメン大使を務めた中東研究所の専門家ジェリー・フィアスタイン氏は、「この国は多くの根本的な部分で変化を遂げてきている国で、様々な形で、今まで以上に現代的で活気のある社会になってきている。」と述べた。

ハフィントン氏は一つのパネルにおいて、サウジアラビアの投資を合理化する計画は前例のないもので、当局がビジネスの許可などをいかに迅速化する予定であるかを説明した。サウジアラビアの投資幹部は、48時間以内にビジネス上の許可や処理関連を手早く片付ける予定だと話し、「これはロサンゼルスよりも速い」と冗談を言った。

サウジアラビア、カンヌ国際映画祭にて史上初の映画産業団体をお披露目

【出典】3/21/2018
http://variety.com/2018/film/global/saudi-arabia-to-launch-its-first-film-industry-body-at-cannes-film-festival-1202732631/

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サウジアラビアは自国初の映画産業団体を立ち上げ、カンヌ国際映画祭にて発表する予定だ。

この情報は王国の総合文化局(GCA)によって解禁された。これはサウジ映画評議会が行なった35年ぶりの映画館の運営解禁という決定に続くもので、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子の主導する社会と経済の改革プラン「ビジョン2030」に沿った形だ。

この画期的な映画組織は「GCAの権限下にある5つの文化業界セクターの内で、サウジアラビアで作られた最初のものとなる。」とサウジ映画評議会のCEOのFaisal Baltyuor 氏はEメール・インタビューで語った。

GCAのCEOであるAhmed Almaziad氏は映画評議会の設立を認め、Baltyuor 氏の任命は「我が国の文化の飛躍にとって歴史的な瞬間で、この映画業界を育て、さらに経済の成長と発展に寄与するキーとなる。」と述べた。

複数の情報源によると、サウジ映画評議会はカンヌ・フィルム・マーケットで観客の注目を集める予定だという。

「国際的な映画業界との架け橋となることはサウジ映画評議会の主な基本理念だ。」とBaltyuor氏は語った。どのような催しが行われるか評議会のカンヌでの計画についての詳細は語られなかったが、同氏は「あらゆる方法でこの大イベントを成功させ、国際映画業界のコミュニティと繋がれるように努力する。」と述べた。

カンヌ国際映画祭に出品された、大胆で、実験的なサウジアラビアの長編映画『Joud』はアブドゥルアジズ王世界文化センターが制作した初めての作品で、イスラーム以前に作られた詩型カスィーダ体を元にして作られた映画だ。

Baltyuor氏は「この新しい映画会社を作った目的はダイナミックな映画を制作すること、サウジアラビアにコンテンツ産業エコシステムを作ることだ。活動のエリアはタレント開発プログラム、規制の枠組み、インフラ開発、問題解決、王国全体のブランドと文化を促進させるための取り組みだ。」と語った。

Baltyour氏は評議会はサウジアラビア(社会的に保守的な)で作られた映画のレイティングシステムには関わらないだろうと語った。新しいレーティングシステムは別の組織によって開発される予定だ。

今月初めにサウジアラビア政府は公式に映画館に対して国内での営業許可のライセンスを発行をしており、AMC Entertainment, VUE Internationla, 高級映画チェーンiPic Entertainmentなどの国際的な映画館チェーンによるシネコン建設にも着手する予定だ。

ドバイを拠点とするVOXシネマ(中東を牽引する映画館チェーン)は3月1日にサウジアラビア初の公開上映を行い、サウジの風刺的なアニメシリーズ『Masamee』を上映、他のサウジ・コンテンツをリヤドの映画館でアルツハイマー病を啓発する目的としたチャリティーイベントとして上映した。

サウジアラビアの人口は3000万人以上で、大多数は25歳以下、中東でまだ手を付けられていない最後の映画マーケットと考えられている。

サウジアラビアの映画業界をゼロから作る助けになるある取引が、ムハンマド皇太子の訪米中に発表される予定で、これはサウジアラビアの公共投資資金を使ってハリウッド大手タレントエージェンシー、ウィリアム・モリス・エンデヴァー・エンターテイメント(WME)の持ち株会社であるEndeavorの株式を5%から10%取得する、というものだ。

2月に総合娯楽局(GEA)はサウジの娯楽セクターに今後10年間640億ドルを投資する計画を発表した。