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ネットフリックス:ハリウッドのエジプシャンシアターを買収か?

【出典】4/9/2019

https://variety.com/2019/film/news/netflix-egyptian-theatre-american-cinematheque-1203184419/Picture1

ネットフリックスがハリウッドにある老舗映画館エジプシャンシアターを買収するかもしれない。

買収内容によると、平日の夜はネットフリックスのコンテンツを上映、週末は現在同映画館を保有するNPO団体Cinemathequeがホストする上映会、レクチャーや映画祭を行うとのこと。同団体が保有するサンタモニカのインデペンデントシアターAeroシアターは買収内容に含まれない模様。

もし買収が成功すればネットフリックスは同社の作品を映画館で上映することが可能になる。今年のアカデミー賞にノミネートされたネットフリックス制作の作品「ローマ」が果たしてアカデミー賞にノミネートされるべきなのか問題になった。映画監督のスティーブン・スピルバーグやクリストファー・ノーランはアカデミー賞の選考対象になるためだけに映画館で自社作品を公開するネットフリックスをアカデミー賞から締め出そうとしたことが記憶に新しい。そして現在エジプシャンシアターを運営しているCinemathequeは財政難に陥っており、今回の買収がうまくいけば歴史ある映画館を救ったネットフリックスとしてアカデミー協会に対し好印象を与えるだろう。そして他にもネットフリックスはシネコンチェーンであるLandmarkシアターを買収するのではないかと噂されている。

『バード・ボックス』の大ヒットからNetflixが学べる事

【出典】1/18/2019

https://www.theatlantic.com/entertainment/archive/2019/01/netflixs-hit-bird-box-future-blockbusters/580255/

2018年年末にネットフリックスがリリースした映画はまずまずの評価を得た中、同社は意外なヒット作でオーディエンスの心を掴んだ。

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『バード・ボックス』はよくある「辻褄が合わない映画」の一つだ。もし仮にNetflixで『バード・ボックス』を再生中、一時停止し基本的な問いかけをしてみるとする。「世界の終末をもたらす大惨事から避難する登場人物達は、なぜただの民家を安全な場所と考え集合したのか?」答えを見つけるのは難しいだろう。「船が転覆した後も、マロリー(サンドラ・ブロック演じる主人公)の鳥が鳥かごの外に逃げないのはなぜ?」無い答えを探すより、考えすぎない方が良いだろう。12月21日の同映画リリース後にTwitterで暫く流行った「目隠しチャレンジ」のように、この映画の辻褄に関しては目を瞑ってしまう方が良いのかもしれない。

ジョシュ・マラーマンの2014年出版の小説をベースに、スサンネ・ビア監督の『バード・ボックス』は不可解なシーンばかりである。しかし、作品のポスターやネット上に出回る画像においてサンドラ・ブロックがなぜ目隠しをしているのか、その理由である物語のコンセプトは簡単に理解できる。映画の舞台はモンスターがはびこる世界だが、サウンドエフェクトや迫りくる影以外、モンスターの正体がオーディエンスに明かされる事はない。その謎の生物を見てしまった人は、自らの手で一秒でも早く自分を殺してしまうーというのがこの映画のテーマで、残りのストーリーは、見ることを禁止された世界で生き延びることが出来るか否か、というサバイバルストーリーである。

 

『バード・ボックス』が12月のラインナップに追加されたのはNetflixの思い付きのように見えた。映画賞シーズンであることを踏まえると、同月の注目映画は、熱いレビューが集中するアルフォンソ・キュアロン監督作品『ローマ』であった(2018年ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞、オスカー受賞が期待される )。その他大物アーティストによるNetflix作品は、コーエン兄弟の『バスターのバラード』、デヴィッド・マッケンジー監督作品『アウトロー・キング 〜スコットランドの英雄〜』だ。まずまずのレビューを受けた『バード・ボックス』は、クリスマス映画シーズンの真っ只中、ストリーミングに飽きたオーディエンスによって忘れられてしまうような作品に思えた。

 

しかし、Netflixによる視聴者情報によると、『バード・ボックス』は同社最大のヒットとなった。同社の視聴者データは厳重に保護されているため事実確認が困難であるが、公開週だけで、世界で4,500万ものアカウントがこの映画を視聴したと報じられている。未だストリーミングサービスのデータ解析最適化に取り組むニールセンはこのNetflixのレポートを裏付けつつ、アメリカ国内だけでも同作の視聴数は2,600万にのぼると報じた (世界中におけるNetflix登録者数のほぼ半数は米国在住)。しかしこういった数値に見る功績よりも、同作へのネットの反応が同作の話題性を物語っている。

 

長い間、作品の興行成績の良し悪しの決め手は映画チケットの売上であった。今までの映画業界は、公開初週末の観客動員数や各週のチケットの売り上げ、ランキングの上位に留まった期間、製作費用と総収入の比率などをベースに、観客に人気のストーリーや俳優を判断してきた。しかし、Netflixが莫大な資産を費やし大物俳優や監督らを起用するにつれ、劇場公開数ヶ月後のオンライン配信という映画鑑賞のスタンダードを変えた。劇場公開されない作品は、チケットの売り上げや公開初週末の成績などのデータに欠ける。ニールセンなどの会社はNetflix社の視聴率データへのアクセスに試行錯誤しているが、そこで疑問になってくるのが、ストリーミングが主流の今、何が映画のヒットを決めるのか、である。

 

『バード・ボックス』はNetflixにおける「大ヒット作」の定義を変えた。同作の視聴回数は高いが、その数はチケット総売上数とは比べ物にならない。Netflix加入者が映画をストリーミング再生するのは、実際に映画館に出向くよりもいたって簡単である。サービスを利用に発生する料金は月額の登録料のみで、リモコンで作品を選択するのに料金はかからず、外出の必要もなし、さらに再生中の一時停止も可能だ。このような相違点を考えると、NetflixのCCOテッド・サランドスが『クリスマス・クロニクル』の再生回数2千万回は映画の公開初週末収益200億円と同じくらいすごい(この記録達成は映画史上6作のみ)と比較したのはおかしいことなのだ。

 

高い再生回数、ネットでの人気、そして口コミによる成功は、サンドラ・ブロックやスサンネ・ビア監督が将来の作品制作において投資を集める際に効果的である。投資家に提出できる最終的な数値は無いにしても、『バード・ボックス』は現代の時代精神をうまく利用しており、Netflixがグローバルに展開しているからこそ世界的な成功を加速させた。

 

私自身『バード・ボックス』を視聴したのは公開後しばらく経ってからであったが、私も周囲の批評家と同意見である。同作は優秀な作品だが、視聴者の注意を引くサバイバルスリラーである反面、ストーリーの細部にはこだわっていない。ジョン・マルコビッチ、ローサ・サラザール、トレバンテ・ローズ、リル・レル・ハウリーなど多才なキャスト陣はほんの少しのセリフだけの脇役に留まり、むしろ残虐なシーンの方が私の記憶に残っている。しかし前述したように、『バード・ボックス』は物語の詳細よりも雰囲気を引き立てる。「ながら視聴」に最適で、大スターサンドラ・ブロックの通常通りの良い演技が見られる作品だ。この言い方は魅力的に聞こえないかもしれないが、この映画新時代においては、これが大ヒット作品の新たな構想なのかもしれない。

最新作『Bird Box』と過去のNetflixオリジナルとの比較

https://mashable.com/article/bird-box-nielsen-numbers/?utm_source=feedly&utm_medium=webfeeds#p3_q9Y_jjOqJPicture1

『Bird Box』が好調だとネットフリックスは発表。

テレビ番組やストリーミングサービスの視聴率のリサーチを行うニールセンは、Netflixオリジナル『バード・ボックス』のアメリカでの公開1週間までの総視聴人数が2,600万人だったという調査結果を公開した。

Nielsenはアメリカのみを対象とした調査の為、Netflixが公表した公開1週間までで世界中で総視聴アカウント4,500万という数字の正確性は判断できかねるが、アメリカでの総視聴数2,600万人を考えれば概ねズレはないと考えていいだろう。Nielsenでは視聴数だけでなく他のNetflixオリジナル作品との比較により『バード・ボックス』を多角的に捉える。

『バード・ボックス』はスロースターター

2017年に公開されたファンタジーアクションムービー『Brightover』との対比で見れば、『バード・ボックス』の公開初日の視聴者数が350万人に対し『Brightover』では540万人であり『バード・ボックス』のスロースターターぶりが露呈するものの、公開1週間までであれば『バード・ボックス』が巻き返し600万もの差をつけ、質の高さを物語っている。

更に、Netflixオリジナルシリーズである『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』『ストレンジャー・シングス未知の世界』との対比でもスロースターターぶりが伺える。『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』の公開3日間での平均視聴者数が530万人に対し、『バード・ボックス』では390万人。『ストレンジャー・シングス未知の世界』は1,580万人もの視聴数を叩き出したが、『バード・ボックス』は1,170万人に留まった。

『バード・ボックス』がこれほどまでの人気を博した要因として口コミが挙げられる。謎に包まれている作風がソーシャルメディアで拡散され、ヒット作へと上り詰めた。