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次々と登場するストリーミングサービス:なぜネットフリックスには脅威にならずメリットになるのか?

【出典】 2019/04/17

https://variety.com/2019/digital/news/netflix-killer-disney-plus-competitors-1203189814/Picture1

「ネットフリックスキラー」と呼ばれるサービスは今後登場するのだろうか?おそらく今後登場するディズニー、ワーナーメディア、アップルなどが準備しているストリーミングサービスが脅威となり、ケーブル/衛星テレビがこの戦いの敗者となるのだろう。

ディズニーは月6.99ドルのサブスクリプションサービス「Disney+」を今秋にアメリカでスタートすることを発表した。のべ500作品近くのディズニー作品(マーベル、ピクサースターウォーズ含む)とストリーミング向けオリジナル作品25本、そして7500話近くのTVエピソードが初年度にリリースされる。そして今後、Disney+はスポーツストリーミングサービスのESPN+とフールーもバンドルされる予定だ。

ネットフリックスCEOリード・ヘイスティングス氏は「アップルやディズニーが参入してスリルを感じている。彼らのような素晴らしい企業が参入することは我々にとってエキサイティングだ」と述べた。

BTIGリサーチ社のアナリストRich Greenfield氏によると、新規企業が参入して、より良いサービスを提供したとしてもネットフリックスのマーケットポジションは変わらないとのこと。サブスクリプションサービスがいくつも乱立することにより、真っ先に起こり得ることは、より多くの人々がケーブル/衛星テレビの契約を解除することだ。多くの人々がコードカットをすることにより、財布に余裕ができ、複数のストリーミングサービスに加入するだろう。よってDisney+が登場することによりネットフリックスおよび他のストリーミングサービスの加入者数も増えるだろう。

そしてDisney+とネットフリックスはブランド価値が異なり、ライバルにならないと見られている。ネットフリックスはオリジナルコンテンツ&過去の映画を見ることができる、全てのマーケットをターゲットにしたブランドだ。一方でDisney+はファミリー&ディズニーのコンテンツを愛しているファン向けである。しかしDisney+$6.99という価格は今後ネットフリックスが値上げをしづらくなるだろう。

しかしコンサルファームMagidによれば、アメリカの消費者は平均月$38までストリーミングサービスに費やしても良いと考えており、ネットフリックスは絶対に必要なサービスと消費者は考えている。

現在ネットフリックスは様々な映画会社とライセンス契約し過去のTVドラマ・映画を配信しているが、ワーナー・コムキャスト・ユニバーサルなど映画スタジオが自社のストリーミングサービスを立ち上げたら、ネットフリックスからライセンス作品が消えるだろう。数々のライセンス作品が消えていく中、同社はオリジナル作品を増やしていくのだ。

ネットフリックス:ハリウッドのエジプシャンシアターを買収か?

【出典】4/9/2019

https://variety.com/2019/film/news/netflix-egyptian-theatre-american-cinematheque-1203184419/Picture1

ネットフリックスがハリウッドにある老舗映画館エジプシャンシアターを買収するかもしれない。

買収内容によると、平日の夜はネットフリックスのコンテンツを上映、週末は現在同映画館を保有するNPO団体Cinemathequeがホストする上映会、レクチャーや映画祭を行うとのこと。同団体が保有するサンタモニカのインデペンデントシアターAeroシアターは買収内容に含まれない模様。

もし買収が成功すればネットフリックスは同社の作品を映画館で上映することが可能になる。今年のアカデミー賞にノミネートされたネットフリックス制作の作品「ローマ」が果たしてアカデミー賞にノミネートされるべきなのか問題になった。映画監督のスティーブン・スピルバーグやクリストファー・ノーランはアカデミー賞の選考対象になるためだけに映画館で自社作品を公開するネットフリックスをアカデミー賞から締め出そうとしたことが記憶に新しい。そして現在エジプシャンシアターを運営しているCinemathequeは財政難に陥っており、今回の買収がうまくいけば歴史ある映画館を救ったネットフリックスとしてアカデミー協会に対し好印象を与えるだろう。そして他にもネットフリックスはシネコンチェーンであるLandmarkシアターを買収するのではないかと噂されている。

世界的に興行収入が低迷する一方で、Netflixやサブスクリプションサービスの登録者は増化している

March 2019 Report 21 A

『ブラックパンサー』や『インクレディブル・ファミリー』といった大ヒット作のおかげで、2018年のアメリカ国内の興行収入は再び上昇した。アメリカ映画教会 (MPAA)の新たなレポートによると、アメリカのチケットセールスは7%増加し、過去最高である119億ドルに達した。更には、ヨーロッパやラテンアメリカでの海外市場の興行収入低下をも回復させ、世界での興行収入を411億ドルに押し上げ、前年比で1パーセント改善させた。

 

MPAAの調査は、エンターテインメント業界の業界団体によって作成されており、映画業界の全体的な状況を包括的に把握することを目的としている。

 

 

MPAAの調べによると、興行収入に加えて、世界のホームエンターテイメント事業による収益は16%増加し、557億ドルに達した。これは主に、デジタルレンタル、デジタルセールス、およびNetflixなどのストリーミングサービスへの加入が増加したことによるものである。米国におけるデジタルホームエンターテイメントの支出は、175億ドルを記録し24%増加、また、国際的には、34%増加し251億ドルを記録した。この、増益はDVDとBlu-rayの販売とレンタルの大幅な売り上げ減少によるダメージをもカバーした。ディスクの売上は、米国内では15%減少し58億ドル、国際的には14%減の73億ドルであった。4年前、米国のDVD市場の売上高は103億ドル、国際的に149億ドルであった。このデータから、DVD市場が急激に落ち込んだことがわかる。一方で、同じ期間に、デジタル市場の売り上げは世界全体で170%増加した。その上昇の多くは、Netflix、Amazon Prime、およびその他のサブスクリプションサービスの人気によるものである。世界全体で、デジタルサブスクリプションサービスの利用登録者は27%増加し、6億1,330万件人を記録した。2018年には、初めてオンラインビデオのサブスクリプション数がケーブル契約数を上回った。ケーブル契約数は5億5,600万件と2%減少した。

 

DVDセールスが衰退しているため、スタジオは消費者が映画や番組のデジタル版を購入し続けることを促進している。顧客は観たいデジタル動画を一つずつ購入するのではなく、単にNetflixでコンテンツをストリーミングすることを好むため、デジタル版の購入はそこまで上手くいっていないようにみられる。2018年にはサブスクリプション支出は28%増加して133億ドルとなり、デジタル販売とレンタルは5%減少して100億ドルとなった。この成長する市場から利益を得ることを期待して、WarnerMedia、Disney、Comcastなどの大手メディア企業がそれぞれ独自のサブスクリプションサービスを準備しているときに、このレポートは発表されている。

March 2019 Report 21 B

Netflixの人気は、映画館主にとって、悪いニュースである。映画館主は動画のストリーミングサービスにより、人びとが映画館に行かずに、家で映画を見ながらお酒や食事を楽しむようになることを恐れている。同社は、映画の伝統的な劇場公開モデルを遵守することを拒んでいるため、映画館主の不安をさらに悪化させてきた。『ローマ』や『Triple Frontier』のようないくつかのNetflix映画は、Netflixのサービス上で公開される数週間以内前に映画館で上映された。

 

劇場ビジネスは、少なくとも月に1回映画を見に行く熱狂的な映画ファンに大きく依存し続けている。こういった熱狂的映画ファンは米国とカナダの人口のわずか12%であるにもかかわらず、全てのチケット販売の49%を占めている。全体として、米国とカナダの人口の75%が、2018年の1年のうち一回は映画館を訪れた。また、チケット購入者の51%は女性であり、男性がその他の49%を占めている。

 

12~17歳と18~24歳の年齢層が最も映画館で映画を鑑賞しており、昨年は一人あたり平均5.1本の映画を見たという統計がある。また、25~39歳、60歳以上の年齢層を除くすべての年齢層の劇場鑑賞数が増加した。最も劇的な伸びは、40歳から49歳までの年齢層で、前年の一人当たり平均3.6本の映画を劇場で鑑賞したという記録に対して、平均4.3本と増加した。March 2019 Report 21 C

民族ごとの統計では、ラテン系アメリカ人とアジア人のオーディエンスが最も映画館で映画を鑑賞しており、昨年は、一人当たり平均4.7本(ラテン系)と4.5本(アジア系)の映画を鑑賞したという統計がでた。アフリカ系アメリカ人の映画館で映画を鑑賞した本数の一人当たりの平均は、毎年の3.4本から、2018年には3.7本に増加した。『Black Panther』は、黒人のオーディエンスの間で、特に人気であり。彼らのチケット購買が、マーベルの大ヒット作のチケット販売の35%を占めた。

 

海外では、中国が主な映画市場の成長要因であった。中国でのチケット売上は12%増加し、90億ドルを記録した。日本は20億ドルの収益を持つ2番目に大きな海外市場であり、英国は17億ドルで3番目に入っている。

サブスクリプションの疲労:米国の消費者のほぼ半数は、ストリーミングサービスの増加・躍進に苛立ちを感じている

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ストリーミング・エンターテイメントは、消費者が複数のサービスの中から選択することに対するパラドックス、また複数のサービスを登録することに対する消費者が支払うコストにぶつかっている。

 

Netflix、Hulu、Amazon Prime Video、HBO、CBS All Access、Showtime、およびYouTube Premiumなどの各社によるサブスクリプションストリーミングサービスのブームにより、これまで以上に多くの選択肢が消費者に与えられている。さらに、Apple、ディズニー、ワーナーメディア、NBCUniversalなど、その大々的な競争への参入を約束している企業がさらに増えている。

 

デロイト社による年次デジタルメディアトレンド調査第13版によると、米国の消費者の半数近く(47%)が、見たいコンテンツを視聴するのに必要なサブスクリプションサービスの増加に苛立ちを感じている、と答えている。さらに重要なのは、57%の消費者が自分のお気に入りのテレビ番組や映画の権利が期限切れになりコンテンツが消えたとき、不満を感じていると述べた。

 

 

デロイトの副会長であり、米国の電気通信・メディア・エンターテインメント部門のリーダーであり、この調査を監督しているケヴィン・ウェストコット氏は、次のように述べている。 「私たちは“サブスクリプションの疲弊”の時代を迎えようとしている。」

 

今日、米国の平均的な消費者は3つのビデオストリーミングサービスに加入している。デロイトの調査によると、43%が有料テレビとストリーミングサービスの両方に加入している。ウェストコット氏は、事実上、複数のプロバイダからの独自のエンターテインメントバンドルをまとめていると述べた。

 

繰り返しになるが、コンテンツオプションの広がりは頭痛の種なのだ。デロイトの調査によると、消費者の半数近く(49%)が、SVODで視聴可能なコンテンツの量が膨大であるため、視聴するものを選択するのが困難になっているという。一方、消費者は69%の割合で何を見たいのかを正確に知っているというが、48%は複数のサービスでコンテンツを見つけるのが難しいと答えている。また49%は、数分以内にコンテンツが見つからなかった場合、そのコンテンツの検索をやめる傾向にある。

 

デロイトの調査によると、SVODサービス—全世帯の69%が現在1つ以上のチャンネルを購読している—およびストリーミング音楽サービス(41%)が急成長している。有料テレビは比較的横ばいに推移し、米国の65%の世帯がケーブル、衛星または電話会社のテレビに加入している。

 

デロイトの調査からの他の結果:

 

オリジナルコンテンツがサブスクリプションを促進:高品質のオリジナルコンテンツはストリーミングビデオの成長を左右する主要な要素であり、現在の米国のストリーミング消費者(71%が22-35歳のミレニアル世代)の57%は、オリジナルコンテンツの視聴のために、ストリーミングビデオサービスにアクセスしている。

 

テレビ広告への不満:消費者の75%が、広告が少なければ有料TVサービスに満足していると答え、77%が有料テレビの広告は10秒未満にすべきだと答えた。回答者は、1時間の番組あたり8分の広告が妥当な上限であると述べたが、1時間あたり16分以上がコマーシャルだと、視聴をやめることになるとも述べている。

 

データのプライバシー:消費者は、企業が自分のデータをどのように処理するのかをますます警戒しており、82%は、企業が自分の個人データの保護を十分に行なうとは思えないと答えた。回答者の7%が、政府がデータ保護の役割を果たすべきだと考えている。

 

音声アシスタント:音声対応のホームスピーカーの所有者数は2018年に前年比140%増加し、総普及率は15%から36%に上昇した。音声対応デジタルアシスタントの上位5つの用途は、音楽の再生、情報の検索、道順の確認、電話をかけること、およびアラームの設定だ。しかし、消費者の半数は、音声対応のデジタルアシスタントをまったく使用しないと答え、毎日使用していると答えたのは18%だけであった。

 

ビデオゲーム:米国の消費者の41%が少なくとも週に1回ゲームをプレイしている。 Gen Z(14-21歳)世代の消費者の間では、54%がそれに該当する。テレビや映画のコンテンツのストリーミング(46%)、オンラインコンテンツの視聴(42%)、インターネットの閲覧(34%)、音楽のストリーミング(25%)、eスポーツのストリーミング(11%)などのエンターテイメントのベースとして、ゲーム機が多く使われている。

 

eスポーツ:米国の消費者の3分の1が少なくとも週に1回eスポーツを見ている。Gen Zに限ると、54%である。

 

デロイトのデジタルメディア動向調査の第13版の米国のデータは、2018年12月から2019年2月までに行われた2,003人の消費者に関するオンライン調査から収集されたものである。

Netflixは『バンダースナッチ』のような、よりインタラクティブなショーの公開を約束

『ブラックミラー』が世界的に成功した結果、そのフォーマットは「倍増」する

March 2019 Report 13

『ブラック ミラー』のスピンオフである『バンダースナッチ』の成功がきっかけとなり、Netflixはインタラクティブショーに注力する。今後2年間で、同社はフォーマットを「倍増」し、これにより、次に起こることを、複数のストーリーオプションから選択することができるようになる。

 

Netflixの副社長であるTodd Yellin氏は、火曜日にインドのムンバイで開催されたメディアカンファレンスでその意図を明らかにした。 Variety誌によると、Yellin氏は、バンダースナッチが世界中で大ヒットしたことが、インタラクティブストーリーテリングへのさらなる投資に繋がった、と話した。そのフォーマットによって、Netflixがその過程で大量のユーザーの意思決定に関するデータを蓄積することも可能になったと考えられる。

 

Netflixは、2016年にインタラクティブな子供向けのショーを公開し、実験を始めた。しかし将来的に、子供向けコンテンツやダークな世界観のSFだけに限定されるものではない。「それは風変わりなコメディかもしれない。またそれはロマンスかもしれない、例えばオーディエンスが、彼女がどの男性と一緒に出かけるべきか、ということを決められるような。」とYellin氏は説明した。特に、Netflixにはラブコメの作品群があり、今年初めには、出会い系のリアリティ番組シリーズもリリースした。また、メキシコ、ラテンアメリカ、インドへの大規模なプロモーションも計画している。

 

インタラクティブなストーリーテリングフォーマットの起源は、『きみならどうする?』と、レーザーディスクのゲームにまでさかのぼることができる。しかし『バンダースナッチ』は、主に『ブラック ミラー』のブランド価値により、新たな高みまで押し上げることに貢献した。そのため、Netflixが新しい、そしてあまり知られていない番組で、その成功を実現させられるどうかを見るのは面白い。

Netflixが抱えるブランド問題?

解説:古くからのマーケティングルールは、プログラミングのプロでありアルゴリズムに精通したストリーミングサービスに適用する必要がない

March 2019 Report 12

先週、新たに任命されたワーナーメディア・エンターテインメントの会長であるロバート・グリンブラット氏は、ストリーミング領域で最大の競合であるNetflixを攻撃した。同氏は、NBC Newsに対し、Netflixはブランド性がなく、ブリタニカ百科事典に似ている、と話した。それは、元タイムワーナーのCEOであるジェフェリー・ビュークス氏が2010年に、Netflixがエンターテインメント業界を支配し初めている可能性に関して、「アルバニア軍が世界を支配している」と表現したことを思い出させる。

 

一見すると、彼の発言は根拠のないように思われる。Netflixのブランドに問題があるとしたら、なんだろうか・・・いや、ない、天下のNetflixだ!ストリーミングサービスが大成功を収めたことは、そのブランドがうまく機能していることを証明するようなものだ。現在のポップカルチャーの風景は、これまでハリウッドで見たことのないものだ。

 

彼がブリタニカ百科事典の比喩をした時、グリーンブラット氏はNetflixを「何かを手に入れるためのだけの場所」としても特徴付けている。ここで示唆しているのは、Netflixの消費者からの認識は、綿密に構築されたマーケットのポジショニングの結果ではなく、膨大な量のコンテンツによるものだということだ。

 

 

グリーンブラット氏は自身の見解について、ワーナーメディアが自社で開発中のストリーミングサービスについて語った時に、もう少し詳しく説明した。

 

まとめると、グリーンブラット氏のコメントは明確な対比を生み出している。Netflixブランドは、膨大な量のカタログであり、アイデンティティを持たないアセットのコレクションだ。一方、ワーナーメディアは自社のコンテンツを巧みに統合し、完全に実現されたブランド、つまりそれを統合しているコンテンツ自身を上回るブランドの世界観を提供するだろう。

 

グリーンブラット氏は、これらの方針に沿って考えている唯一の人ではない。同氏のNBCUniversal時代の元同僚Jennifer Salke氏は先月、他のNetflixのライバルであるアマゾンスタジオのトップエグゼクティブとして、Hollywood Reporter誌に対して、同じようなことを述べた。「私たちは、カスタマーにエンドレスにスクロールしてほしくない。もっとキュレーションされていて、私たちが提供ししているサービスはなんなのか、何を演劇的に表示しているのか、についてしっかり伝えたい。」

 

Salke氏とグリーンブラット氏は、その“キュレートされたアプローチ”を信頼しており、テレビでのルーツについて言及した。テレビの世界において「ブランド」は、多くの様々なデモグラフィックや嗜好に対応するネットワークの長いリストからの明確な違いを映し出す道標であった。

 

しかし、彼らはもはや伝統的なテレビ業界にはいないのだ。現在、彼らはストリーミングの世界にいる。そこでは、アマゾンとワーナーメディアは、それぞれを特徴づけるための何百ものチャンネルの代わりに、ブランドのアイデンティティがそれほど明確に区別できないが、はるかに大規模なプログラミング国家であるサービスと対抗しているのだ。

 

Netflixのカタログの膨大な量と競合しながら、十分なほど説得力のある方法で、限られたコンテンツのライブラリを巧みに配置することができるという考えについて、何か時代遅れのようなものがある。テレビのブランディングは素敵なブーケを作るようなものだったかもしれないが、Netflix時代のブランディングは機関銃を打つようなものだ。

CinemaConから得た大きな教訓:多様性、Disney、Netflixの脅威

【出典】2019/3/4

https://variety.com/2019/film/news/cinemacon-takeaways-disney-streaming-netflix-1203180705/Picture1

ハリウッドの映画スタジオが劇場主や映画業界に向けて今後のラインナップをお披露目するCinemaConがラスベガスで開催された。しかし、高齢化する視聴者から、スマートフォンを大画面にすることを好む新世代まで、業界が取り組まなければならない本当の脅威もある。CinemaCon 2019で得た要点は次の通りである。

あまりにも大きすぎるDisneyとFoxの合併

ディズニーでさえ、21世紀フォックスの映画・テレビの資産の多くを713億ドルで買収したことで、その規模が大きくなったことに驚いているようだ。ディズニーの映画チーフであるAlan Horn氏はプレゼンテーションで出展者に、「まだ、これらの問題全てに悩まされており、どうにか解決しようとしているところである。」と語った。現在、20世紀フォックス、ブルースカイ、フォックスサーチライトのようなレーベルがピクサー、ルーカスフィルム、マーベルの仲間入りをしている。ディズニーのマーケットに対する支配力は、ますます強くなる方向に向かっている。ディズニーは国内の興行収入の半分近くを独占し、世界で最も人気のある映画のフランチャイズの大部分を占める。また『スターウォーズ』から『アバター』まですべてを網羅する。ディズニー・スタジオが提供できるものがあまりにも莫大な力を持っているため、他の全てのスタジオは矮小してまっているため、ディズニーはライバル達に対抗する必要がない。映画館主にとっての朗報は、これらの映画とその続編、そしてスピンオフにより、今後数年間は劇場が潤うことである。逆に悪い知らせは、ディズニーが望めば、興行収入とは違うところで利益をだせるということである。王になるのは良いことだ。

皆ストリーミングを脅威に感じている。

誰もこのタブーを認めたくはない。そんな中、このタブーを女優であるヘレン・ミレン氏が皆に変わり一括した。レジェンド女優であるミレン氏は彼女の映画、『The Good Liar』の公開試写会のステージ上で「Netflixは大好きだけど…糞食らえ!」と述べた。このミレン氏のコメントを機に始まった騒動は、Netflixがメディアの展望を乱していることに対し、映画館オーナーたちがどれほど怒っているかをあらわにさせた。

映画館オーナーは、顧客に対し、ユニークで説得力のあるものを提供しているため、映画業界を支えているもののすべての変化に耐えられるだろうと信じる必要がある。2018年に興行収入があがった一方、彼らは不確かな未来を眺めているのである。Netflixはまだ成長を続けている。メディア企業は独自のストリーミングサービスを構築するためにより多くのリソースを投資している。Disney、Apple、WarnerMediaは今後数カ月のうちにストリーミングサービスを開始し、Comcastも2020年に独自のプラットフォームをデビューさせることになったため、このストリーミングサービスに関する議論は今後も拡大すると言っても過言でない。ヘレン女王でさえそれを認めなければならないであろう。

敏感なテーマであるサウジアラビア

2018年、サウジアラビアは成長の機会を待っていた映画業界において、次にくるビッグチャンスとみられていた。映画を禁止してから35年の年月を得て、ようやく解禁された後、初めてリヤドに映画館がオープンした。当時、王国は比較的短期間で10億ドルの映画市場になるという予測があった。サウジアラビアは王子であるMohammed bin Salman氏のもと、映画・メディア事業への投資を望んでおり、莫大な支援金をもってスタジオが国内で映画の撮影が行われることを願っている。

10月にジャーナリストであるJamal Khashoggi氏がサウジアラビア政府のエージェントに殺害されたことにより、サウジアラビアとハリウッドの関係は脅かされた。CIAは後でビン・サルマン氏が彼の暗殺を命じたと結論を下した。このような背景があり、サウジアラビアの話は今年のCinemaConではあまり話題に上がらなかった。AMCのチーフ、Adam Aron氏は、Khashoggi氏殺人事件で会社は動揺したと語ったが、最終的には国内に最大40の劇場を建設する計画を進めることにした。

Aron氏はVarietyの取材に対し「この事件は私たちに正しいことが何かについて何度も深く考えさせられた。」と述べた。「多くのことを考えた結果、私たちは人々の利益のためにその国で事業を展開すると結論を下した。この国には3300万人の人々がおり、そのうちの70%が30歳未満であり、その若者達は映画が好んでいる。」

それは、AMCだけではない。他の3つのチェーンもサウジアラビアで劇場を開く許可を得ようとしている、とFithian氏は記者会見で語った。また、サウジアラビア政府は2020年までに350億ドルを劇場に投資する計画を発表した。Aron氏同様、Fithian氏は自由なアートの力について指摘した。

「映画は長い間にわたり自由の刀であった」と彼は報道陣に語った。それは本当かもしれないが、Khashoggi氏の衝撃的な死は、いくつかの会社にとって中東進出を警戒させるものであった。

人種、性別を超えて

『ブラックパンサー』、『ワンダーウーマン』、『Us』、『キャプテンマーベル』、および『クレイジー・リッチ!』は、観客が自分自身をスクリーンに映し出し、自身と登場人物を重ねて観ることを好むことを証明した。白人以外の人種と女性を主役にした映画を作ることは、単に道徳的によいだけでなく、ビジネスにとっても良いことである。そして、前世紀における非白人男性の人口統計をほとんど無視したハリウッド映画はついに、人種や女性をテーマにした作品を作り始めた。フェスティバルのステージ上では、NATOのFithian氏、ワーナー・ブラザーズのチーフToby Emmerich氏、そしてUniversalのDonna Langley氏は、包容力を身につけ、人種や性別を超えた多様なキャストで作り上げられるプロジェクトを支援することを約束した。『ワンダーウーマン1984』のようなスタジオの大ヒット映画から、『Queen&Slim』のような犯罪ドラマまで,ますます多様化している観客と国を反映し始めている。

作品賞を逃したNetflix、ハリウッドとの戦いは始まったばかり

「ROMA ローマ」が作品賞を受賞できなかったということではなく、Netflixが今後長い間私たちに関わって行くような新しいビジネスモデルを作り上げてきたということが重要だ

https://www.nbcnews.com/news/all/netflix-lost-best-picture-battle-its-war-hollywood-just-getting-n975841Picture1

第91回アカデミー賞に至るまでの数日間、ハリウッドに昔からいる人たちは、そのストリーミング会社がオスカーの作品賞を獲得するのを見ることができるかもしれず、伝統的な映画業界の習わしが終わりを遂げるのに胸を躍らせていた。

ホストがいないセレモニーは、ショーの長尺化、複数年に渡る視聴率低迷などと合わせて既に多くのメディアで取り沙汰され論争を生んできた。「ROMA ローマ」におけるNetflixとアルフォンソ・キュアロンの大きな勝利は、確立されたスタジオとマルチプレックスチェーンに対して、より問題を悪化させたかもしれない。

あるハリウッドのエンターテインメントにおけるエグゼクティブは、月曜日の朝にNBCニュースに語った。プロモーションのキャンペーンで「2500万ドルから3000万ドルを費やしたにもかかわらず、視聴率は崩壊したようには見えず、Netflixは作品賞を受賞することはできなかった。」

ユニバーサルによって配給された「グリーンブック」は、大きな変化を起こさせず、トップカテゴリーで勝利を収め、Netflixにとって歴史を作るチャンスを与えなかった−少なくとも今のところは。テレビ放送のプロデューサーは、最近の視聴率の低迷を覆し、約2960万人の視聴者を集めた。(ユニバーサル・ピクチャーはNBC Newsの親会社であるNBCUniversalが所有している。)

およそ20年の間に、Netflixは通信販売のDVDサービスから、時代をリードする世界的なエンターテインメントを作り上げた。それはマーケティングにおけるゲームではあるが、間違いなくエンターテインメントの中で最も強力なマーケティングスペースを所有している:それは、Netflixのホーム・スクリーンである。

言い換えれば、ハリウッドの「幸福感」とはすべて相対的なものだ。

ラットの実験を思い出してください。長期にわたる電気ショックを与えられない場合、ネズミは多幸感と同じ神経学的状態を経験する、とそのエグゼクティブは語った。「視聴率は下がり、Netflixの攻撃はノンストップの電気ショックと等しい」。

Netflixはオスカーで監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3つの主要な賞を表彰され、ドキュメンタリー映画の短編映画の第4位に輝いている。しかしさらに重要なことは、Netflixやその他の主要なストリーミングプラットフォーム(AmazonやHulu、さらにはDisneyやWarnerMediaなどの革新を模索するオールドスクールの巨大企業)は、依然として古くからあるビジネスモデルに対する脅威と戦っている。

デジタルビデオレコーダーの会社TiVoの元最高経営責任者であるトム・ロジャーズ氏は、次のように述べた。「Netflixは今後長い間私たちに関わって行くような、新しいビジネスモデルを作り上げてきた。」

アップルがストリーミング形式のゲームサービスを開発中か?

【出典】1/28/2019

https://mashable.com/article/apple-gaming-subscription-service-like-netflix/?utm_source=feedly&utm_medium=webfeeds#l8TOhR5dssqF

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ネットフリックスのようなサブスクリプション制ゲームストリーミングサービスへ注目が最近集まる中、アップルが参入するのではないかと言われている。現在このサービスはまだ開発初期段階であり、場合によってはプロジェクト自体がなくなる可能性もある。

アップルはモバイルゲーム向けサブスクリプションをやるべきだ。競合であるグーグルはプロジェクト・ストリームと呼ばれるゲームサブスクリプションをテスト中だが、プレイステーションやXboxなどコンソールゲームにフォーカスしている。

アップルはiPhoneを販売したとき、ゲームアプリのマーケットも同じく作り出した。もしサブスクリプションをスタートするのであれば、同社のApp Storeを利用したサービスになるだろう。

そして次世代モバイル通信5Gが登場すればHDクオリティのゲームをスマホにストリーミングすることが容易になるだろう。

ファイア・フェスティバルのドキュメンタリーから分かるミレニアル世代について

【出典】1/21/2019

https://www.forbes.com/sites/katetalbot/2019/01/21/what-the-fyre-festival-documentaries-revealed-about-millennials/#568dfb5505dePicture1

HuluとNetflixは先日、ファイア・フェスティバルの実態に迫ったドキュメンタリーを公開した。ファイア・フェスティバルとは、2017年に行われた宿泊型音楽フェスで、当初2週間に渡りバハマの離島での開催が計画されていたが、大失敗に終わった。それぞれ『Fyre Fraud (原題・ファイア詐欺)』『Fyre』とタイトル付けられた2作品は、同フェスティバルの驚くべき全容を視聴者に明かす。元々は超豪華なアクト、旬なインスタグラムモデル達の登場、そして船上パーティー開催を謳歌していたが、実際には上記の一つも実現せず、むしろ参加者らが一刻も早く島を抜け出したいと願う結果となった。

両方の作品から共通して汲み取れるのは、ミレニアル世代の価値観についてだ。以下3つのテーマによって、なぜファイア・フェスティバルがミレニアル世代にとって2017年最もホットなイベントだったのかが見えてくるだろう。

 

インスタグラム・インフルエンサーの影響力

ミレニアル世代とZ世代の3分の1がインフルエンサーの言葉を信じる時代、SNS上のインフルエンサーや、ベラ・ハディッド、ケンダル・ジェナー等モデルが同イベントのマーケティングとセールスに大きく影響しているのは、驚くことではない。マーケティングチームは、ラグジュアリーさや贅沢さをアピールするソーシャルビデオを製作。何百万人ものフォロワーを抱える400人の大人気インフルエンサーに、一面オレンジ一色の画像と#FyreFestivalのハッシュタグを投稿してもらい、そのビデオのプロモを行なった。結果、24時間以内に3億にものぼるインプレッションを獲得した。

ソーシャルビデオとインフルエンサーを用いた空想のイベントプロモーションにより、二度とない体験と音楽フェスの最先端を味わおうとしたミレニアル世代のチケット購入に繋がったのだ。Picture1

貴重な経験

多くの人がソーシャルビデオだけを元にチケット購入を決意した理由としては、「FOMO (Fear Of Missing Out/取り残されることへの恐れ)」があると考えられる。インスタグラムなどSNS上の投稿から得るエンゲージメントの量が、ミレニアル世代の価値観を定めている時代だ。ドキュメンタリーは、ミレニアル世代が高額を費やしてでもファイア・フェスティバルに参加し、友達やフォロワーが投稿出来ないようなポストをしようとする様子を見せる。VIPチケットは最高12,000ドルで、多くのミレニアルがこの貴重な経験に参加しSNSに投稿するために巨額を投資したのだ。

絶え間無いコンテンツ製作

Netflixの『Fyre』中で、ファイア・フェスティバルの創設者ビリー・マクファーランド氏が「映像があればあるほど良い。」と言うシーンがある。これはまさに本当で、同フェス開催発表の瞬間からフェス自体まで全てが、プロによる撮影とソーシャルメディアの投稿によって記録されていた。インスタグラム・ストーリーのユーザーが4億人を超える今、ミレニアル世代は彼らの日常をリアルタイムで撮影している。豪華な食事を約束されたフェス参加者に実際に配給されたチーズサンドイッチや、FEMA(アメリカ連邦緊急事態管理庁)の緊急災害用テントを使用した宿泊施設などを、参加者がリアルタイムで投稿したことが、フェス大失敗のバイラル化に繋がり、#FyreFraud (ファイア詐欺)や #FyreFail (ファイアの失敗)と言ったダグがツイッターの急上昇ワードになった。

携帯電話使用率とSNS中毒者が過去最多である今、イベントオーガナイザーに対してインスタグラム・ストーリーが持つ影響、特にこのケースでの悪影響は、紛れもない事実である。

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ツイート訳:

@fyrefestivalが約束したSteven Starrによるケータリングは、パンとチーズとサラダとドレッシングだけ。#fyrefestival

ファイア・フェスティバルは確かに大失敗で詐欺に終わった。しかし、マーケターにとっては、インスタグラム・インフルエンサーを使用したマーケティング戦略、FOMOを感じさせるコンセプト、そしてSNS用コンテンツの製作は、商品のローンチやイベントの決行にミレニアル世代を惹きつける良い方法である。