タグ別アーカイブ: Movie Industry

ムービーパスは一年弱で90%のサブスクライバーを失った

【出典】 2019/04/18

https://variety.com/2019/digital/news/moviepass-subscribers-loss-crater-225000-1203192468/Picture1

映画見放題サービスのMoviePassの加入者数が1年で300万人から23万人へ急速に減少している。20186月、同社は月額9.95ドルで映画館で毎日映画が1本観れるサービスを提供することで加入者を300万人までに急速に伸ばしたが、ビジネス的にほぼ不可能だった。

そして同サービスは月に3本まで観れるサービスに変更、月単位での契約ではなく年間契約に20188月にシフトした。

結果年間契約したくない登録者が一気に解約する結果となった。そして20193月から月額14.99または年間119.4ドルで映画館で映画が毎日1本観れるサービスをスタートした。しかし、このサービスには制限があり公開されたばかりの人気作品などは対象に入らない。結果193月の新規加入者数は13000人のみだ。

『シャザム』中規模予算スーパーヒーロー映画の力を証明

【出典】2019/04/08

https://variety.com/2019/film/box-office/shazam-proves-the-power-of-mid-budget-superhero-movies-1203182630/Picture1

北米興行収入が5,300万ドル、全世界で1.02億ドルの興行収入を突破、『Shazam』のヒットはDCコミックスによって良いニュースだろう。本作の制作予算は約1億ドル、オープニング興行収入だけで制作費を回収した。通常DCコミックスの実写製作予算は倍の2億ドルだ。

本作の成功によりヒーロー映画は高予算でなくとも観客を魅了できることを証明したのだ。製作費が6,000万ドルを下回る『デッドプール』を除くスーパーヒーロー映画では、可能な限り高予算で圧巻のVFXCGIで観客を惹きつけるのが常套手段となっている。

同じDCコミックスの『ジャスティスリーグ』や『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』は高予算をつぎ込んだが問題だらけであった。『ジャスティスリーグ』の世界興行収入成績は6.6億ドルだったが、製作費に3億ドル、撮影後の追加撮影に数千万ドルがかかり、それにはマーケティング費用は含まれておらず興行収入面では失敗だった。前作の『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の興行収入成績は8.7億ドル、ギリギリ赤字を免れた結果となった。『Shazam!』の場合、製作費自体もそれほどかかっていないので、続編にゴーサインを出すための高い目標設定をしなくても良い。

Warner Bros Picturesグループの会長Toby Emmerich氏は「人々が映画館に訪れなくなった今日に、多くの人が映画館を訪れてくれたのは誇らしいだけでなく感動した」と語っている。

DCとしては『アクアマン』『ワンダーウーマン』『シャザム』と3作品続けてヒット作を生み出しライバルのMarvel Studiosの成功に対抗する結果となった。その中でも『シャザム』はスーパーヒーロー作品として意味のある作品だとDCでは捉えている。16歳の青年Asher Angel扮するBilly Batsonが大人のスーパーヒーローへと変身するというのが本作でのヒーローだ。本作はZack Snyder氏が監督を務めていた低迷期に比べ明るく、そしてコミカル色の強い作品に仕上がっている。

Emmerich氏は、次のように述べている。

Marvel映画に見劣りしないほど素晴らしい。今後、観客はスケールやスペクタクルさを求める様になるが、現在の状況を鑑みれば更に小規模のスーパーヒーロー映画を作る機会も訪れるだろう。

『シャザム』は、Marvelヒーロー含めスーパーヒーロー作品に食傷気味の観客からも受け入れられている。『キャプテンマーベル』の1ヶ月後に公開され、記録更新が期待されている『アベンジャーズ エンドゲーム』は『シャザム』の3週間後に公開される。当然ながら両作品に挟まれての公開にはリスクもあったが、チーム全体が2作品へのカウンターとして生き残れると信じていたとEmmerich氏は語っている。

DCにとって次なる試練である『Joker』(10月公開予定)ではJoaquin Phoenixが主演を務め、暗いテイストに仕上がる予定だ。今回も低予算で製作されており、報告によれば5,500万ドルだと言う。詳細はほとんど明らかになっていないが、トレーラーではスコセッシ映画を思わせるスリラー映画調だ。

ComscoreのシニアメディアアナリストPaul Dergarabedian氏はこのように語る。

「マーベルとDCは今までお互いをライバル視していたが、現在は自らのブランド価値を見直し独自路線を両社とも歩んでいる。これは両社にとって有益だ」

CinemaConから得た大きな教訓:多様性、Disney、Netflixの脅威

【出典】2019/3/4

https://variety.com/2019/film/news/cinemacon-takeaways-disney-streaming-netflix-1203180705/Picture1

ハリウッドの映画スタジオが劇場主や映画業界に向けて今後のラインナップをお披露目するCinemaConがラスベガスで開催された。しかし、高齢化する視聴者から、スマートフォンを大画面にすることを好む新世代まで、業界が取り組まなければならない本当の脅威もある。CinemaCon 2019で得た要点は次の通りである。

あまりにも大きすぎるDisneyとFoxの合併

ディズニーでさえ、21世紀フォックスの映画・テレビの資産の多くを713億ドルで買収したことで、その規模が大きくなったことに驚いているようだ。ディズニーの映画チーフであるAlan Horn氏はプレゼンテーションで出展者に、「まだ、これらの問題全てに悩まされており、どうにか解決しようとしているところである。」と語った。現在、20世紀フォックス、ブルースカイ、フォックスサーチライトのようなレーベルがピクサー、ルーカスフィルム、マーベルの仲間入りをしている。ディズニーのマーケットに対する支配力は、ますます強くなる方向に向かっている。ディズニーは国内の興行収入の半分近くを独占し、世界で最も人気のある映画のフランチャイズの大部分を占める。また『スターウォーズ』から『アバター』まですべてを網羅する。ディズニー・スタジオが提供できるものがあまりにも莫大な力を持っているため、他の全てのスタジオは矮小してまっているため、ディズニーはライバル達に対抗する必要がない。映画館主にとっての朗報は、これらの映画とその続編、そしてスピンオフにより、今後数年間は劇場が潤うことである。逆に悪い知らせは、ディズニーが望めば、興行収入とは違うところで利益をだせるということである。王になるのは良いことだ。

皆ストリーミングを脅威に感じている。

誰もこのタブーを認めたくはない。そんな中、このタブーを女優であるヘレン・ミレン氏が皆に変わり一括した。レジェンド女優であるミレン氏は彼女の映画、『The Good Liar』の公開試写会のステージ上で「Netflixは大好きだけど…糞食らえ!」と述べた。このミレン氏のコメントを機に始まった騒動は、Netflixがメディアの展望を乱していることに対し、映画館オーナーたちがどれほど怒っているかをあらわにさせた。

映画館オーナーは、顧客に対し、ユニークで説得力のあるものを提供しているため、映画業界を支えているもののすべての変化に耐えられるだろうと信じる必要がある。2018年に興行収入があがった一方、彼らは不確かな未来を眺めているのである。Netflixはまだ成長を続けている。メディア企業は独自のストリーミングサービスを構築するためにより多くのリソースを投資している。Disney、Apple、WarnerMediaは今後数カ月のうちにストリーミングサービスを開始し、Comcastも2020年に独自のプラットフォームをデビューさせることになったため、このストリーミングサービスに関する議論は今後も拡大すると言っても過言でない。ヘレン女王でさえそれを認めなければならないであろう。

敏感なテーマであるサウジアラビア

2018年、サウジアラビアは成長の機会を待っていた映画業界において、次にくるビッグチャンスとみられていた。映画を禁止してから35年の年月を得て、ようやく解禁された後、初めてリヤドに映画館がオープンした。当時、王国は比較的短期間で10億ドルの映画市場になるという予測があった。サウジアラビアは王子であるMohammed bin Salman氏のもと、映画・メディア事業への投資を望んでおり、莫大な支援金をもってスタジオが国内で映画の撮影が行われることを願っている。

10月にジャーナリストであるJamal Khashoggi氏がサウジアラビア政府のエージェントに殺害されたことにより、サウジアラビアとハリウッドの関係は脅かされた。CIAは後でビン・サルマン氏が彼の暗殺を命じたと結論を下した。このような背景があり、サウジアラビアの話は今年のCinemaConではあまり話題に上がらなかった。AMCのチーフ、Adam Aron氏は、Khashoggi氏殺人事件で会社は動揺したと語ったが、最終的には国内に最大40の劇場を建設する計画を進めることにした。

Aron氏はVarietyの取材に対し「この事件は私たちに正しいことが何かについて何度も深く考えさせられた。」と述べた。「多くのことを考えた結果、私たちは人々の利益のためにその国で事業を展開すると結論を下した。この国には3300万人の人々がおり、そのうちの70%が30歳未満であり、その若者達は映画が好んでいる。」

それは、AMCだけではない。他の3つのチェーンもサウジアラビアで劇場を開く許可を得ようとしている、とFithian氏は記者会見で語った。また、サウジアラビア政府は2020年までに350億ドルを劇場に投資する計画を発表した。Aron氏同様、Fithian氏は自由なアートの力について指摘した。

「映画は長い間にわたり自由の刀であった」と彼は報道陣に語った。それは本当かもしれないが、Khashoggi氏の衝撃的な死は、いくつかの会社にとって中東進出を警戒させるものであった。

人種、性別を超えて

『ブラックパンサー』、『ワンダーウーマン』、『Us』、『キャプテンマーベル』、および『クレイジー・リッチ!』は、観客が自分自身をスクリーンに映し出し、自身と登場人物を重ねて観ることを好むことを証明した。白人以外の人種と女性を主役にした映画を作ることは、単に道徳的によいだけでなく、ビジネスにとっても良いことである。そして、前世紀における非白人男性の人口統計をほとんど無視したハリウッド映画はついに、人種や女性をテーマにした作品を作り始めた。フェスティバルのステージ上では、NATOのFithian氏、ワーナー・ブラザーズのチーフToby Emmerich氏、そしてUniversalのDonna Langley氏は、包容力を身につけ、人種や性別を超えた多様なキャストで作り上げられるプロジェクトを支援することを約束した。『ワンダーウーマン1984』のようなスタジオの大ヒット映画から、『Queen&Slim』のような犯罪ドラマまで,ますます多様化している観客と国を反映し始めている。

作品賞を逃したNetflix、ハリウッドとの戦いは始まったばかり

「ROMA ローマ」が作品賞を受賞できなかったということではなく、Netflixが今後長い間私たちに関わって行くような新しいビジネスモデルを作り上げてきたということが重要だ

https://www.nbcnews.com/news/all/netflix-lost-best-picture-battle-its-war-hollywood-just-getting-n975841Picture1

第91回アカデミー賞に至るまでの数日間、ハリウッドに昔からいる人たちは、そのストリーミング会社がオスカーの作品賞を獲得するのを見ることができるかもしれず、伝統的な映画業界の習わしが終わりを遂げるのに胸を躍らせていた。

ホストがいないセレモニーは、ショーの長尺化、複数年に渡る視聴率低迷などと合わせて既に多くのメディアで取り沙汰され論争を生んできた。「ROMA ローマ」におけるNetflixとアルフォンソ・キュアロンの大きな勝利は、確立されたスタジオとマルチプレックスチェーンに対して、より問題を悪化させたかもしれない。

あるハリウッドのエンターテインメントにおけるエグゼクティブは、月曜日の朝にNBCニュースに語った。プロモーションのキャンペーンで「2500万ドルから3000万ドルを費やしたにもかかわらず、視聴率は崩壊したようには見えず、Netflixは作品賞を受賞することはできなかった。」

ユニバーサルによって配給された「グリーンブック」は、大きな変化を起こさせず、トップカテゴリーで勝利を収め、Netflixにとって歴史を作るチャンスを与えなかった−少なくとも今のところは。テレビ放送のプロデューサーは、最近の視聴率の低迷を覆し、約2960万人の視聴者を集めた。(ユニバーサル・ピクチャーはNBC Newsの親会社であるNBCUniversalが所有している。)

およそ20年の間に、Netflixは通信販売のDVDサービスから、時代をリードする世界的なエンターテインメントを作り上げた。それはマーケティングにおけるゲームではあるが、間違いなくエンターテインメントの中で最も強力なマーケティングスペースを所有している:それは、Netflixのホーム・スクリーンである。

言い換えれば、ハリウッドの「幸福感」とはすべて相対的なものだ。

ラットの実験を思い出してください。長期にわたる電気ショックを与えられない場合、ネズミは多幸感と同じ神経学的状態を経験する、とそのエグゼクティブは語った。「視聴率は下がり、Netflixの攻撃はノンストップの電気ショックと等しい」。

Netflixはオスカーで監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3つの主要な賞を表彰され、ドキュメンタリー映画の短編映画の第4位に輝いている。しかしさらに重要なことは、Netflixやその他の主要なストリーミングプラットフォーム(AmazonやHulu、さらにはDisneyやWarnerMediaなどの革新を模索するオールドスクールの巨大企業)は、依然として古くからあるビジネスモデルに対する脅威と戦っている。

デジタルビデオレコーダーの会社TiVoの元最高経営責任者であるトム・ロジャーズ氏は、次のように述べた。「Netflixは今後長い間私たちに関わって行くような、新しいビジネスモデルを作り上げてきた。」

オスカーにスタント賞が追加される時は来るのか?

https://variety.com/2019/film/production/academy-stunt-work-1203143269/Picture1

今年の米国アカデミー賞で作品賞にノミネートされた8作品の共通点として、全作品でスタント・コーディネーターを起用しているという事が挙げられる。しかし、その内の誰1人としてアカデミー賞で受賞する機会すら与えられていない。

現行の体制では、ストーリーや映像のダイナミックスさに寄与した職種の部門が設けられている。スタント・コーディネーターに受賞機会が与えられていないのは、スタントという存在が誤解されているからではないだろうか。スタント・コーディネーターで2007年からアカデミー会員であるMelissa T. Stubbs氏は今まで類を見ない危険なスタントをシークエンスとしてただ残したいだけだと語っている。そんな彼女がキャリアを開始した時には、スタントへはただのアドレナリン中毒者だと冷たい視線が向けられていたと言う。

制作費がかさむデジタルエフェクトが台頭してきた今日ではできるだけ低コストに、そして安全で再現性の高いパフォーマンスを実現させ、スタント自身の存在意義を業界へと提示している。

Stubbs氏は、監督が俳優の感情表現に責任を持っているとすれば、私達はストーリーのアクション部分の責任を担っていると語る。『デッドプール』や『バリー・シール/アメリカをはめた男』でスタント・コーディネーターを務めたRobert Alonzo氏によると、良いスタントとはストーリーを進め、カメラアングルやプロットをうまく利用しつつ、制作チームと一体感を持ち続けることだ。

スタントワークの進化により、スタント・コーディネーター自身はアクション・デザイナーと呼ばれることを好んでいる。それは、役割への責任感とクリエイティブの過程の表れだろう。Stubbs氏曰く、従来のスタント・コーディネーターは登場人物のアクションを創造的にデザインする人ではなく、安全面を担保する側面が強かったと言う。

『猿の惑星:聖戦記』でスタント・コーディネーターとして参加したJohn Stoneham Jr.は、コーディネーターは安全性を確保するためほぼ全ての部門との協力が必要不可欠だと指摘する。もし人が投げ出されるシーンであれば十分なエリアが確保できているのかを確認して建設作業を進める。そして、衣装へのパッドの詰め込みや、ウィッグの下に小さなヘルメットを装着することもあると述べる。

脚本に「戦いが続く」としか書かれてないのであればスクリーンに映し出される動きは、アクション・デザイナー次第であり、ストーリーポイントに気を配る必要がある。記憶に残る印象的なシークエンスを作るために環境がどのように作用するかを考慮しなければならず、作品への高い理解が求められるとAlonzo氏は語る。現に本記事に登場した3人はアクション・コーディネータはとしてだけではなく、セカンド・ユニット・ディレクターとしても作品に参加している。

アクション・デザイナーの一部が垣間見えたことでアカデミー賞への疑問は強まるばかりだ。アカデミー賞は才能のある作り手を祝い、認めることを好んでいるが彼らにとって我々の仕事は映画制作ではないのだろうとStubbs氏は意見を述べる。

スタント部門にとってのもう1つの課題は、全てのシーンで俳優自身が演技をしているわけではないという事実をプロダクションが認めたがらないことだろう。俳優がプロダクションなどの周囲からのプレッシャーに負けてしまいスタントダブルである事を隠すことも珍しくなく、後にスタントへ謝罪の手紙を送ることも事例も見られる。映画『Buffalo Boys』の俳優であるYoshi Sudarsoは、「脚本で言語化されているアクションに関しては自分で演じるがそれ以外のスタントワークはプロに任す。その方が安全だから」と述べている。

優れたアクション・デザイナーは著名なコーディネーターの下でスタントとしてスキルを磨いており、アクション映画だけでなく多様なスタントを経験している。例えば、『ローマ』はアクション英ではなくドラマ作品だが、コーディネーターのGerardo Moreno氏は15人のスタントを抱えていた。スタントに映画のジャンルは関係ないのだ。

アカデミー賞の視聴率が低下している状況で、スタントのための賞が設けられ関連した映像が放映されるとなれば、視聴率も改善するかもしれない。

Stubbs氏は、アクション・コーディネーターは映画制作者であるし、アカデミー側もそれを認めた。

海外市場に委ねられた『アリータ:バトル・エンジェル』

https://variety.com/2019/film/box-office/alita-battle-angel-box-office-disaster-1203141963/Picture1

映画『アリータ:バトル・エンジェル』が米国での興行収入2,700万ドルを達成し、想定よりも幸先の良いスタートを切った。しかし、成功には程遠く、商業的な成功は遂げられない結末が濃厚である。

制作費1.7億ドルに加え宣伝費などで数千万ドル掛かると言われており、赤字から抜け出すには興行収入5億ドルは達成する必要があるだろうと競合スタジオの幹部は語る。一方でFox関係者は、損益分岐点は3.5億ドルだと明かしている。本作の業績判断をするには時期尚早だが、全世界興行収入が1.3億ドルを突破している現状を鑑みても、達成は難しいという見方が強い。

ComscoreのアナリストPaul Dergarabedian氏は、SFで大々的に挑戦するには莫大なコストが付き物であり、続編や原作が有名でない限り北米の観客たちを呼び込むのは困難と述べている。興行収入は週末にかけて2,200万ドル、公開日から5日で3,000万ドルを突破するという予想が調査会社により立てられていた。Fox関係者は、公開日とプレジデント・デーが重なったことにより幸先の良いスタートが切れたと発表している。本来、クリスマス期間での公開予定が最終的には2ヶ月後に上映する決定がなされたことで、『アクアマン』『メリー・ポピンズリターンズ』『バンブルビー』などのブロックバスター映画との競合を避けられたという点では、正しかった選択と言えるのではないだろうか。制作陣の選択が功を奏し米国では少しばかりの余裕は見られるが、海外市場という前途多難な道が待ち受けている。

本作にとって日本と中国は重要な市場であり、競合作品ひしめき合う環境を乗り越える必要があるだろう。(本記事の執筆時点では日本と中国では未公開)前年比でチケット売上が20%ダウン、今年に入り未だ大きなヒットが見られない北米とは異なり、アジアは活況を呈している。中国では中国映画史上最大規模のSF作品である『The Wandering Earth』が、興行収入6.06億ドルという記録を叩き出したのに加え、『Crazy Alien』『Pegasus』といった作品への反響も大きい。ちなみに、『アクアマン』と『ヴェノム』の公開時期はそれらの作品と同じ公開時期ではなかった。

プロデューサーとして参加するジェームズ・キャメロンが本作をグローバルヒットへつなげたいと願っているのはもちろん、同映画の成功は海外市場にかかっている。

日本の漫画家木城ゆきとの『銃夢』を原作として制作されていることを考えれば海外の観客に受け入れられることは驚くことではない。関係者は米国での興行収入は8,000万〜1億ドルで着地するだろうと予測する。海外市場での成功が必須となった今、日本と中国が本作にとっての命綱になるだろう。

海外市場は多くの映画にとって生命線であり、北米だけが主要市場ではないことを意味するとDergarabedian氏は語る。

今回、Foxは『アバター』の時と同様の宣伝戦略を取っている。大きなスクリーン、そして通常より価格が高い3Dでの視聴をプロモーションしている。結果3Dでのチケット売上は大きな収益をもたらし、本作はIMAXデジタルシアターで国内収益の15%以上を売り上げている。批評家からの評価は高くないが、シネマスコアは『アクアマン』や『バンブルビー』と同じA-を獲得しており、映画ファンからの評価は上々だ。

大ヒット映画『The Wandering Earth』は、中国の映画業界を変えるのか

https://www.cnn.com/2019/02/13/asia/china-wandering-earth-film-intl/index.htmlPicture1

『The Wandering Earth』は、年末年始にリリースされた中国のSF映画で、中国内を席巻している。

北京と上海が現代中国映画史上初めて”破壊”されたため、中国の旧正月の週に、何百万もの映画ファンが息を切らしてその映画を鑑賞した。これは、中国の新しいSF映画『The Wandering Earth』が国内を席巻している理由の1つだ。

この映画は、小説家のLiu Cixinによる作品に基づいた作品で、それは消滅しかけながら急速に拡大化している太陽から地球を救うために動く、中国の宇宙飛行士のグループの物語である。2月5日に公開したこの映画は、中国で最初の1週間で約4億5000万ドル(27億元)を記録し、国内で最も成功した映画となる見通しだ。

その観客の反応は驚くべきものだった。中国の映画レビューサイトDouban.comのトップコメントの1つは、「中国がこのような大規模なSF映画を作れるとは思わなかった」と述べている。また、国営通信社の新華社通信は「中国のSF映画製作の新たな黎明期」と語った。

https://www.youtube.com/watch?v=0LW6smaU3Xw

Guo Fan監督は、「『The Wandering Earth』は、人の感情を核にしているので非常に人気を得ている。私は私の父の記憶を元に(Wu Jingが演じた)主役の役割を考えた。」とCNNに語った。「それは、典型的な中国人の父親の愛の物語である。それは常に忍耐強く、あまり多くの言葉はないが、それは非常にパワフルなものだ。それが、父親の愛に対する私の理解である。」

他のユニークな魅力の一つが、中国当局が北京と上海の破壊を描写することを許可したということだ。これは、中国が制作した映画史上初である。

「すごく若い時から、SF映画を観るのが好きだった。監督になりたかった主な理由の1つは、SF映画を作りたかったからである。この映画は、私の夢を実現するプロセスだ」とGuo監督は追加した。

Pictureキャプション:上海と北京は『The Wandering Earth』で、現代中国映画史上初めて破壊された。

中国映画の未来

業界関係者によると、中国は今後数年間で世界最大の映画市場になる可能性があるという。主に大規模でますます裕福になる国内の視聴者のために、毎年何百もの映画を毎年制作する、数十億ドル規模の強固な映画産業がある。

しかし、この国最大の最近の大ヒット作のいくつかは、過度に民族主義的で、事実上政府の宣伝として機能していると批判されている。その2つの最も成功した興行的なヒット作 『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』と『オペレーション・レッド・シー』は、強い親北京の要素を含んでいると考えられている。Guo監督の努力は、しかしながら、その型を破る。「『The Wandering Earth』では、国家的な演出がほとんどない」と、中国の映画評論家Raymond Zhou氏はCNNに述べた。

Picture1他の中国の映画は、予算の大きい米国の作品と比較して、クオリティが低いと批判されてきた。

2018年に、1,200万ドルを費やされた大作『阿修羅』は映画館で上映中止に追い込まれた。酷いレビューが続出したためである。

しかしZhow氏は、前向きなレビューを受けている『The Wandering Earth』の成功が、中国の映画制作の「新しい人気ジャンル」を生み出す可能性があると考えている。

実際、中国の視聴者は今後、より多くのSF映画を期待することができるだろう。マカオ大学の映画専門家Tan See Kam氏は、「『The Wandering Earth』は旧正月のリリースのトレンド、すなわちほとんど全てがコメディーとアクション映画であったトレンドを打ち破った」と述べている。

『The Wandering Earth』の成功により、多くのSFプロジェクトが進行中だ。大規模なエイリアンの侵入についての『Shanghai Fortress(原題)』、銀河系間の冒険『athfinder(原題)』はどちらも2019年にリリースされる予定だ。

「『The Wandering Earth』は中国の映画業界で伝説になりつつある。」とTan氏は言った。

ソフトパワーが勝つ?

国内では壁を越えたが、海外での成功は保証されていない。中国本土の映画産業は歴史的に、国際的な視聴者の共感を生む大ヒット映画を生み出すのに苦労してきた。2016年には、『人魚姫』が中国で最も成功した映画の1つになり、中国では何億ドルもの収益を上げている。ただし米国での結果は、かろうじて300万ドルである。

それに比べて、アメリカの映画は中国でよく上演されている。『ワイルド・スピードICE BREAK』は、国内で6番目に興行が良い映画となり、約3億8000万ドルを記録した。

香港の中国大学教授、パン・ライクワン氏は、次のように述べている。「デジタル効果に関しては、中国のプロダクションは(米国)レベルに達していない。そして途方もない量の検閲があるので、フィルムメーカーが言うことができることは非常に少ないのだ。」

映画の専門家Tan氏は、中国政府関係者、映画製作者、評論家は、『The Wandering Earth』が海外のトレンドになっているかどうかを確かめるために、注意深く見ている可能性が高いと述べた。「中国政府がなぜこの種の映画を奨励したくないのか分からない。この映画が海外でどれだけ上映されているかを見るのは面白い。」と彼は言った。

Guo監督は、中国がアメリカのスタジオと国際的に競争できるようになるまでには、まだ道のりがあると考えている。

「(しかしこの映画は)より多くの投資家に、彼らが利益を上げることができるという中国映画の可能性を示しているようだ。そして、ますます多くの投資家がこれらの映画を信じるだろう。」

2019年サンダンス映画祭から注目すべき5つのトピック

【出典】1/29/2019

https://variety.com/2019/film/news/sundance-film-festival-2019-takeaways-highlights-1203121715/Picture1

映画スタジオの代表らは、小切手を握りしめてサンダンス映画祭に臨んだ。映画祭が行われた週末は、驚異的な量の契約が一気に結ばれ、次にヒットするインディー映画を手に入れるためにハリウッドのやり手達は驚愕の金額を投げ込んだ。ユタ州パークシティで5日間にわたって行われた映画祭から注目すべき5つのトピックを見てみよう。

1.大型案件時代の再来

映画業界は今や売り手市場だ。ミンディ・カリングのコメディ『Late Night(原題)』のアメリカ配給権は1億3千万ドル、アダム・ドライバーの政治スリラー映画『The Report(原題)』は1億4千万ドルでグローバル市場契約を締結、ブルース・スプリングスティーンの楽曲に基づいた映画『Blinded by the Light (原題)』は1億5千万ドルで同じくグローバル市場契約を締結。サンダンスで大波に乗るも、劇場公開の際に大失敗に終わった『国民の創生』や『パティ・ケイク$』などを受けて、スタジオは近年控えめな動きを見せていたので、このような仰天の契約は意外であった。

. 戻ってきたアマゾン

『Late Night (原題)』と『The Report (原題)』に大成功の可能性を見たストリーミングサービスの強豪アマゾンは、大胆な映画契約に踏み切った。『Blinded by the Light (原題)』とオークワフィナのコメディ映画『The Farewell(原題)』とも配給契約を結んだ同スタジオは、トロント国際映画祭やカンヌでなかなか動きを見せなかったにも関わらず、今回強気な姿勢を見せた。前NBCエンタテイメント社長のジェニファー・サルケがアマゾンスタジオのトップに就いた際、業界では彼女がテレビシリーズに力を入れるだろうと予測されていたが、どうやら間違っていたようだ。

. 女性監督の飛躍

今年のサンダンスは女性の飛躍が目立った。ニーシャ・ガナトラ監督作品『Late Night(原題)』、グリンダ・チャーダ監督による『Blinded by the Light (原題)』、そしてルル・ワン監督による『The Farewell(原題)』など、バズった作品はどれも女性が製作した作品であった。更に、2018年の興行収入トップ100作品のうち女性監督作品はたった4本であったが、今年サンダンス出展作品の45%は女性によって監督されている。ハリウッドはこれを覚えておくべきだ。 

. ロバート・レッドフォードの引退

サンダンスの開催初日のプレスカンファレンスで、主宰者であるロバート・レッドフォードが映画ビジネスについて長々と語るのが通例であったが、今年は開会式の言葉を短くまとめて終わった。「そろそろ私がサンダンスを離れても良い時だと思う。」と、俳優引退宣言をした82歳のレッドフォード氏はサンダンスでの役目も終えたようだ。

. ドキュメンタリーの活気

『Late Night(原題)』と『Blinded by the Light (原題)』が最高契約額を得た作品ではあるが、波風を立てたのは政治界の黒幕を扱う暴露系ドキュメンタリー『Where’s My Roy Cohn?(原題)』、セックスセラピストについてのドキュメンタリー『Ask Dr. Ruth (原題)』、そしてマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー『Leaving Neverland原題)』であった。

 

2018年の世界映画興行収入は歴代最高 ディズニーが圧倒

【出典】1/2/2019

https://variety.com/2019/film/news/box-office-record-disney-dominates-1203098075/Picture1

2018年、映画業界の興行収入は世界最高となり、北米で11億9千万ドル、世界全体では41億7千万ドルを記録した。ディズニースタジオズ作品がその5分の1を占める。

調査会社コムスコアは2018年総合興行収入を発表し、ディズニーが世界全体で73億3千万ドルの興収を算出したことを明らかにした。これはスタジオ単独収入において2番目に高い数値で、これを上回るのは同じくディズニーによる76億1千万ドル(2016年)だ。米国内では、 2016年のスタジオ市場記録30億ドルを上回る30億9千万ドルの興収を記録し、映画業界史を塗り替えている。同スタジオ作品『ブラックパンサー』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『インクレディブル・ファミリー』はどれも6億ドル以上の興収を収めた。また、世界全体ではディズニー史上2番目の42億3千万ドルの興収となった。

2018年に14作品を公開した同スタジオの米国内市場シェアが26.1%ということを踏まえると、米国内4人に1人の劇場鑑賞客がディズニー作品に出費したことになる。

スタジオ会長アラン・ホルン氏は、「世界中のディズニー、ピクサー、マーベルスタジオズ、ルーカスフィルムファンのお陰で、昨年はウォルト・ディズニー・スタジオズにとって最大の年となった。『ブラックパンサー』『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で社会現象を起こし、創立以来10年間輝かしい成績を収め続けるマーベル・スタジオを特に称賛したい。」と声明を出した。

世界全体の劇場集客数は2.7%の伸びを見せ、北米のみでは2017年と比べ7%上昇した。10億ドル以上の興行収入を収めた昨年公開作品は、『ブラックパンサー』(13億5千万ドル)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(20億5千万ドル)、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(ユニバーサル・スタジオ、13億ドル)、『インクレディブル・ファミリー』(12億4千万ドル)の4本。ソニー・ピクチャーズによる『ヴェノム』は8億5500万ドルで5位、パラマウントによる『ミッション:インポッシブル フォールアウト』は7億9100ドルで6位の興収であった。

北米スタジオ別興行収入ランキングは以下の通り:ユニバーサル・スタジオが19億6千万ドルで2位、ワーナーブラザーズが19億3千万ドルで3位、ソニーが12億8千万ドルで4位、フォックスが12億4千万ドルで5位、パラマウントが7億5700万ドルで6位。ライオンズゲートは前年比1.5倍越えの3億8900万ドル、STXエンターテイメントが2億6960万ドル、MGMが1億6400万ドルとなった。

2017年は、ストリーミングサービスの普及による劇場集客数2.3%減少などにより米国映画ビジネスは低迷を見せたが、2018年はそれを挽回した。コムスコアのシニア・メディア・アナリスト Paul Dergarabedian氏によれば、米主要スタジオは観客が好む映画を見極めたことがこの成功に繋がると話した。

さらに、「2018年は、映画史上最大興行収入だけでなく集客数の前年比増加といった意味でも記録的な年だった」と付け加えた。「劇場公開作品ラインナップの多様さ、劇場体験の人気、そして人々の現実逃避欲が2018年の特徴であったが、それは2019年も続く見通しだ。3連休に公開される『ミスター・ガラス』は1月公開作品史上最高の興収になると予想される。」

2019年には『ライオン・キング』『アベンジャーズ/エンドゲーム』『トイ・ストーリー4』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』『スター・ウォーズ/エピソード9』などが公開予定だ。

Dergarabedian氏は「2019年は公開予定作品ヒットパレードとなり、業界が前年以上の成功を収めるだろう。」と言う。

映画チケットがついに$50へ:世界の映画チケット値段事情

【出典】12/21/2018

https://variety.com/2018/film/news/movie-ticket-prices-around-the-world-1203094187/Picture1

ロンドンが世界で最も物価の高い都市の一つということは一般常だが、ロンドンの中心地レスター・スクウェアに新しくオープンした映画館オデオンの映画チケットがあまりにも高すぎると話題になっている。

1年以上のリノベーションの末新しく生まれ変わった同映画館はドルビーシネマテクノロジーなど新しい技術を導入、チケット価格はなんと40ポンドだ。(日本円5613円)

その見返りとして、観客はスクリーンが見やすい良い場所のテーブル付きリクライニングチェアに座ることができる。もちろん飲み物・スナックは別料金だ。

ネット上ではあまりの高価格に「最低」「頭がおかしい」など炎上しているが、同社は「観る映画、時間帯、座席の場所により価格も変わり、一番安くて10ポンド(1400円)からだ」と同社の価格設定を擁護している。

バラエティ紙の調べによると、映画館のチケットで最も高いのはダントツのロンドンで、その次がニューヨークだ。下記の価格はチケット代のみで2D上映(北京とメキシコシティ以外)、飲み物・スナックは含まれない。

ロンドン
40ポンド(日本円5613円):オデオン・レスター・スクウェア(ドルビーシネマ・リクライニングチェア&テーブル付き)

ニューヨーク
26.5ドル(2926円):AMCリンカーン・スクウェア(ドルビーシネマ・リクライニングチェア付き)

ロサンゼルス
21.99ドル(2430円):AMCセンチュリー・シティ(ドルビーシネマ・リクライニングチェア付き)

ドバイ
75ディルハム(2255円):リールシネマズ・ドバイ・マリナ・モール(ドルビーシネマ・リクライニングチェア付き)

東京
1800円:TOHOシネマズ六本木ヒルズ

パリ
15フラン(1677円):): Pathé Beaugrenelle(ドルビーシネマ)

北京
75元(1200円):ステラーインターナショナル・シネプレックス(4D)

ローマ
8.5ユーロ(1070円):シネマ・アンドロメダ(ドルビーアトモス)

メキシコシティ
181ペソ(1005円):シネポリス・フォーラム・ブエナビスタ(4D)