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新しいLEDシネマスクリーンがいかにして映画製作と鑑賞体験を変えるか

【出典】https://www.hollywoodreporter.com/behind-screen/how-new-led-cinema-screen-could-change-filmmaking-moviegoing-1104745Picture1

アメリカ初のLED映画スクリーンが、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のチャッツワースにあるパシフィックシアター ウィネトッカにて初披露され、ワーナー・ブラザーズの『レディー・プレイヤー・ワン』がこの新しいシステムで提供される初めての映画になる。サムソン LEDシネマスクリーンは、映画の誕生以来使用されてきた劇場投影システムからの急進的な変化である。従来のスクリーンとは違って、LEDスクリーンは巨大なテレビスクリーンに似ているため、投影ブースを過去のものになるだろう。

サムソンはLEDスクリーン対応コンテンツ制作に関する新たな情報を公開、スタジオと映画制作者にとってどんな影響があるのか。

なぜLEDスクリーンに切り替えるのか?同社スティーブン・チョイ副社長は、「観客を劇場に引き込むための新しい策が今まで何もなかった。」と述べ、「驚きの要素を提供するためには新しい経験が必要だ。」と主張している。

これまでのところ、スクリーンが生成する画像は、ポストプロダクションオフィスのラウンドアバウト・エンタテインメントのシニア・カラーサイエンティストのジェローム・デューハースト氏をはじめ、ハリウッドの多くの人々に感銘を与えた。彼は、LEDスクリーンの 「漆黒の色は他のシステムよりずっと深い」と主張する。

色彩のエキスパートではない一般客に違いがわかるのか、LEDスクリーンに対し追加料金を払いたくなるのかはまだわからない。現在パシフィックシアター ウィネトッカはLEDスクリーンを搭載した部屋に特別料金を課していない。しかし今後シアター側はLEDスクリーンに対しプレミアム価格を請求し始めるだろう。

新しいLEDスクリーンで公開するための映画を制作するために、サムソンはポストプロダクション施設を完備し、映画製作者が作品をLEDディスプレイで見ることができるようにしたいと考えている。北米でサムソンLEDスクリーンを提供する最初のポストプロダクションオフィスは、現在ラウンドアバウトのサンタモニカ支社にある。 この施設は2K解像度、標準または高ダイナミックレンジ、7.1サラウンドサウンドを再生できる17フィートのスクリーンを提供し、Blackmagic DaVinci Resolveカラーグレーディングシステムを提供する。サムソンは今後より多くのポスプロ施設にスクリーンを追加したいと考えている。

プレス公開時、この劇場は通常画質で『ブラック・パンサー』と『A Wrinkle in Time 五次元世界のぼうけん』の予告編を、また『Life Itself』を含む様々なアマゾンの作品と、ARRIの新しい大判カメラAlexa LFによって撮影されたデモ作品を高画質で披露した。

しかし、高画質における面では、先週のNAB Showで多くの撮影監督が懸念していた、デジタル領域でのポストプロダクションによる画像操作・調整の簡単さを強調している。実際、『レディー・プレイヤー・ワン』の撮影監督であり二度のオスカー受賞を経験するヤヌーシュ・カミンスキー氏は、シネマトグラファー自らが撮影した画像のコントロールを失っていると嘆いていた。

サムソンはさらに、映画制作者やハリウッドスタジオの幹部らにもLEDスクリーンを公開している。より高いフレームレートの使用を検討するジェームズ・キャメロン、アン・リーやその他の映画制作者は、特にこのスクリーンに関心があるかもしれない。『レディー・プレイヤー・ワン』は、映画館の標準である毎秒24フレームの速度で上映された。しかし同社は、システムを毎秒60フレームの高いフレームレートの実現に務めていると主張する。

サムスンが最初にLEDシネマスクリーン計画を発表して以来、音響をどのように処理するかという問題が議論のテーマであった。これは、従来の映画館は、スクリーンのすぐ後ろにスピーカーが設置されているが、LEDパネルを搭載すればそれが不可能だからだ。

この映画劇場のために、サムソンが所有するハーマン・インターナショナルが、7.1サラウンドサウンドに対応できるJBLプロフェッショナルのシネマサウンド音響システムを開発した。ハーマンの映画ソリューションマネージャーのダン・サエンツ氏の説明によると、新しいセッティングではフロントスピーカーが画面の真上に設置され、スクリーンから音が出ているかのように感じるフィルタリング技術を組み込んでいる。またスクリーンから観客に向けて高音域のサウンドを跳ね返す、もう一つ追加のスピーカーを前面に配置することで、従来の劇場のサウンド体験を狙う。

それでも、展開の最大のハードルは搭載にかかる費用となるだろう。サムソンは、スクリーンの価格は50万ドルから80万ドルの間になると見ており、劇場オーナーにとってかなりの値段である。エンジニアリング会社ミッション・ロック・デジタルのチーフテクノロジーオフィサーであるピート・ルード氏は、トップクラスのレーザー・プロジェクターは一般に15万〜30万ドルのコストしかかからないと見積もる。サムソンは、LEDシネマスクリーンは最長で17年もつことを例として、コストの一部を相殺するのに役立つ利点があることを主張した。

同社はまたLEDスクリーンを室内光と一緒に使用することができるため、ダインイン・シアターやゲーマーなどとって魅力的なオプションとなる可能性があると指摘した。

パシフィックシアター ウィンネッカが米国で最初の搭載であるが、サムソンのLEDシネマスクリーンは、韓国の2つ、チューリッヒ、バンコク、上海の各1つを含むいくつか国外の劇場ですでに利用されている。夏には世界中に少なくとも10台、年末までには約30台を設置する予定だ。現在、34フィートのスクリーンにフォーカスしているが、サムソンは46フィートの4K LEDスクリーンにも取り組んでいる。これは2018年後半の導入を目指している。