タグ別アーカイブ: Digital

『レディー・プレイヤー・ワン』と現代のVRテクノロジーを比較してみた

【出典】http://variety.com/2018/digital/news/ready-player-one-vr-tech-1202739419/

映画の現実離れしたテクノロジーは、あなたが思うより現実に近い

Picture1

スティーブン・スピルバーグ監督作品『レディー・プレイヤー・ワン』は、誰もがバーチャルリアリティ(VR)で全てを行う2045年の世界に観客を誘う。この映画によって、 お気に入りの媒体が遂にメインストリームになることを願うVR愛好家にとって、映画公開はとても大きな転換点である。

そこで浮かぶのがこの疑問だ:VRの現実が『レディー・プレイヤー・ワン』が約束しているものとどの程度一致しているのか?この映画を詳しく見てみると、主人公ウェイド・ワッツがやっていることはまだ不可能ということが明らかになった。結局、これはSF映画なのだ。しかし、映画の中の現実離れした技術は、あなたが思っているよりもはるか近くにあるかもしれない。

以下は映画に登場する主要テクノロジーのいくつかと、今日のVRテクノロジーを、ネタばれ無しで比較して見たものだ:

ウェイドのワイヤレスVRヘッドセット。『レディー・プレイヤー・ワン』は、映画内で使用される機器の使用方法をすべて説明するような無駄な時間はない。ただ、ウェイドや、他のほとんどのキャラクターに使用されているヘッドセットは、本質的に豪華なスキーゴーグルのようだ。軽量でワイヤレス、外付けハードウェアなしで動作しているようであり、どこにいてもオアシスの仮想世界に送り込むことができる。

現在の世代のVRヘッドセットは、そのフォームファクタと完全に一致はしないが、近づいてはいる。 HTC ViveやOculus Riftのような高性能ヘッドセットは、VR体験の実行に外部コンピュータを必要とし、SamsungのGear VRのようなより手頃な価格のソリューションはユーザーの携帯電話によって起動する。

s

しかし、ワイヤレス・オールインワン・ヘッドセットには明確な傾向がある。OculusはFacebookのf8カンファレンスでOculus Goモバイル・オールインワンをリリースする準備を進めており、GoogleとLenovoはまもなくデイドリーム・スタンドアローン・ヘッドセットの販売を開始予定だ。またOculusは現在「Santa Cruz」と呼ばれる高性能オールインワンを来年販売する予定だ。

後者はまた、外部ハードウェアを必要とせずにVRで身体の動きを現実的に中継する、インサイドアウト・トラッキングと呼ばれるものを提供する。これは『レディー・プレイヤー・ワン』のヘッドセットと似ているが、スピルバーグのバージョンはさらに進歩し、現実世界の障害物を追跡して実際の歩道を走り回っている間に、模擬VRの戦いに入ることができる。そのような環境認識はまだまだ先のことだが、携帯電話のARアプリはその可能性を既に示唆している。

触覚手袋とボディスーツ。 『レディー・プレイヤー・ワン』のVRユーザーは、ヴァーチャル・スクリーンに触れることで仮想のオブジェクトを「感じる」ことができる特別な手袋を着用する。懐に余裕のある人は、パンチや、時にはもっと心地の良い感覚に至るまで、様々な感覚を伝えることができるボディスーツに手を出す。

uSensのようなVRのスタートアップは、手袋さえ必要としない指先追跡ソリューションを構築した。触覚を感じる事ははるかに困難であるが、不可能ではない。 VRスタートアップのHapXは、特別なソフトウェアを使用してリアルタイムで圧縮および伸張する何百ものエアーポケットを統合することで、実際にVRオブジェクトを感じることの出来る触覚手袋のプロトタイプを生み出した。

結果は非常に現実的である:Variety誌に届いた最近のデモでは、HaptXは一つ一つに触れることができる花を披露した。ある時点で花びらの1つが落下した際、手袋はあなたの手の上を何かがゆっくりと滑り落ちる感覚を正確に再現した。

欠点は、手袋がまだ 外骨格の一部のような実験的な見た目で、パイプとクランプが張り巡らされていることだ。さらに、空気の流れをコントロールするために使用されている、PCのサイズの箱から 電力が供給されている。しかし、HaptXの経営幹部は、これを最終的にはよりポータブルで消費者にやさしいサイズに縮小することができると確信していた。彼らはまた、全身での体験の一部として、最終的に同じものを提供したいと意図するが、それはさらに先の話かもしれない。

VRコミュニティ。『レディー・プレイヤー・ワン』の大部分は、人々があらゆる種類のゲームをプレイしたり、遊びに来たり、巨大なクエストを競ったりする大規模なオンライン世界「Oasis」が舞台である。「Second Life」のようなオンラインの世界は長年にわたって存在しているため、おそらく映画の中で最も非未来的な部分だろう。最近では、「Second Life」の後継者である「Sansar」からMicrosoftの「AltspaceVR」に至るまで、そのような世界や体験がVRにも見られることが分かっている。

Picture1

HTC Viveのユーザーは、ソーシャルVRゲームとしてOasisの一部を体験することができる。

 

実際、これらの世界の社会的側面は『レディー・プレイヤー・ワン』が示すものに非常に近いので、多くの企業が映画との直接の関係を構築してきた。 SansarはAechのガレージ(映画のヒーローのための主要な溜まり場)をVR世界で現実化した。 ViveportはHTC Viveのユーザー向けに、いくつかのマルチプレイヤーゲームに特化した独自のバージョンのOasisを提供している。また、マインクラフトのようなPC・モバイルゲームでもあるRobloxは、その世界のなかで3つのOasisキーを見つけるためのクエストを再現した。

信じることができる没入感。これらの2018年のVR世界は、現代のVRヘッドセットに使用されているディスプレイの欠点によって、映画に描かれている2045年版Oasisと全く同じようには見えないかもしれない。よく見ると、まだピクセルが見えてしまうのだ。

『レディー・プレイヤー・ワン』では、ある主要キャラクターが実際にはまだシミュレーション中であるのにVRセッションを終了したと勘違いすることがあるように、実質的に現実と区別がつかない。その没入感のレベルは信じられないほどだ —今日のVRでさえもあなたをかなり効果的に騙すことができると気づくまでは。

位置情報ベースのVRの経験は、しばしば外部からの刺激が、現実世界ではないという疑惑を意図的に解消することができる。コンピュータで生成された世界を歩いてみると、本質的には単なるビデオゲームであることがはっきりと分かる。ただ、あなたの足の下にある本当の、揺れ動く木製の厚板と同じグラフィックを組み合わせれば、実際に立っていられなくなるかもしれない。

Picture1

バーチャルリアリティは、いくつかの物理的な手がかりを追加すると、かなり本物のように感じられる。

ウェイドの感情を常時観察

映画のあるシーンでは、ウェイドは自分のアバターが冷静な状態を保っていること確かにするため、特別な感情抑圧ソフトウェアをオンにしなければならず、そのため実世界で彼がパニック発作していることが表沙汰にならない。

あなたがパニックに陥っている事に、VR内の誰も気づくことがないということはいいことだ。これは、今日のVRが感情状態をキャプチャする事にかなり劣っているからだ。『レディー・プレイヤー・ワン』は、特別なハードウェアを使用して人々の顔をスキャンし、すべての笑顔やしかめ面を仮想世界に中継する。

現実には、モーションキャプチャは複雑なプロセスで、デジタルアニメーションに長い間使われてきたような特別なマーカーの使用がしばしば必要である。今日の仮想世界では、コントローラのボタンを押して顔の表情を変えるようにユーザーに求めているが、これは全く自然ではない。 VRヘッドセットには、単純な顔のモーションキャプチャとアイトラッキングを実現する試みがいくつかあったが、この技術のいずれかが実際に商品になるまでには数年かかるだろう。

プラハ国立美術館がVRを使い、視覚障害者に彫刻作品の名作を紹介 好きなだけ作品に触れることも可能に

【出典】http://www.adweek.com/creativity/the-national-gallery-of-prague-is-using-vr-to-introduce-the-blind-to-iconic-sculptures/Picture1

「触るの禁止!」

このフレーズは、多くの子供の気分を台無しにする。どのように芸術を鑑賞するのかを勉強するための美術館であるのに、子供たちは「自分たちは陶磁器屋にいる暴れ牛」かのように扱われてしまう。

このような状況は、視覚障害者にとってよりがっかりさせるだろう。彼らは視覚以外の感覚を使わないと芸術鑑賞ができない。それ故、プラハ国立美術館が「名作に触れる」というキャンペーンを開始し、視覚障害者に仮想空間で彫刻作品の名作に触れる機会を提供する。

このキャンペーンは、Geometry PragueとNeuroDigitalからの支援と、視覚障害者協会Leontinka Foundationの協力で作られた。この仮想現実の体験で、視覚障害者は特注のVR触覚グローブアバターを通して、ミケランジェロのダビデ像、ミロのヴィーナスやネフェルティティの胸像に触れることが可能になる。

これは誰もが経験したことのない、解剖学授業のようだ。

 

Picture1

「一般的に学校では、視覚を補い触知できる物を使って視覚障害の子供たちに芸術作品を教えるが、実在物との差は大きい。」と、Leontinka Foundation理事のBarbara Hucková氏は語った。「この新技術は素晴らしい突破口であり、生徒たちがこれまで絶対に触れられなかった物に触ることを実現した。」

映画『Ready Player One』が描いた世界のように、触覚グローブは仮想空間中の3D物体に触れることを可能にする。何かに手を触れる時、その奥行きと質感の情報は振動によって手に伝達される 。振動の技術は、 様々な種類の皮膚細胞の触覚反応を刺激でき、触れている物体の「詳細な感覚」を視覚障害者に与えるのだ 。

「好奇心、革新の追求、創造力に対する情熱を通して、我々は分かった。特注の触覚テクノロジーは、視覚障害者に対して唯一無二のアート体験を与える。」と、Geometry Pragueクリエイティブ・ディレクターのJulia Dovlatova氏が語った。「NeuroDigitalとの協業によって、触覚グローブが仮想現実の感触を通じてアート作品を『見る』ことができるようにした。」

Netflix、15分のコメディ番組でショート動画という新たなジャンルに切り込む

http://variety.com/2018/digital/news/netflix-short-comedy-specials-1202673827/Picture1

ネットフリックス社は、15分間の新しいコメディシリーズを数ヶ月以内に配信する計画を発表した。 メディアサイト、Vultureによって最初に報道されたこの動きは、同社がコメディに今後注力するとみられる。動画時間を短くすることで、モバイル画面向けに最適化されたコンテンツを制作しようとしている。これは、同社がしばらく取り組んできたアイデアだ。

同社は、「イッキ見」という動画視聴スタイルを広めたとして知られており、同社のアプリはRokuのようなストリーミングデバイスプラットフォームのチャートで常にトップにランクインしている。しかしモバイルプラットフォーム上では状況が異なり、YouTubeがネットフリックスより使用されている。

これはモバイルでの視聴セッション時間が短い傾向であることが要因だ。最近はスマホの画面が大きくなり、モバイルでの視聴セッション時間が長くなってきている。しかし、ビデオプラットフォームプロバイダーのOoyala社のデータによると、全てのモバイル上でのビデオ視聴時間のうち約47%が動画視聴時間は20分以内という結果だ。そして視聴時間の39%は5分または5分以下とのこと。

ネットフリックス社の経営陣は、 このような視聴パターンと一致するようなタイトルを持ち合わせていないことに早い段階から気づいていた。そのため2014年には、モバイルアプリの一環として、既存のテレビ番組、映画、スタンドアップスペシャルの中から気軽に見られるような5分間のスーパーカット版で簡単にテストを行った。そのテストは最終的に上手くはいかず、同社のテレビ番組を宣伝するための予告編や動画などの制作にシフトチェンジした。

しかし同社はショート動画をまだ諦めていなかった。最近カタログの中にいくつかのショート番組を追加していた。有名なのは同社が、韓国のネイバーTVストリーミングサービスで配信されていたウェブドラマ「Ready for Start」をライセンス化しており1エピソード平均7分だ。

そして2017年にFox Digital Studiosからのショート番組「Small Shots」を追加、1エピソードは5〜15分だ。また同時期、当時の最高製品責任者 Neil Hunt氏は、モバイル画面上で見やすいように、番組を再カットするというアイデアを提案、それはメインカヤラクターの顔にズームすることもできるという機能であった。

Vultureによるとネットフリックスは現在、Aisling Bea、Michelle Buteau、Tim Dillon、JR De Guzman、Sabrina Jalees、Janelle James、Sam Jay、Josh Johnson、Ian Karmel、Jak Knight、Matteo Lane、Max Silvestri、Taylor Tomlinson、Phil Wang、Emma Willmann、Kate Willettなどのコメディアンと、15分間のコメディスペシャルを制作予定だ。

ネットフリックスがショート番組を追加するのに慎重でいるのにはいくつか理由がある。同社は、ブランド価値を下げてしまう可能性がある新しいコンテンツカテゴリーや機能の導入に消極的だった。同社はライブストリーミングをしておらず、スポーツライセンスも入札しておらず、広告サポートがある無料サービスを実施していない。FacebookやYouTubeでは、そういったものは全て動画を導入した初日からショート動画を取り入れていた。あらゆる種類のショート動画を追加することで、ネットフリックスはより一層YouTubeに近づいてしまい、それはブランドにとってはむしろ有害かもしれない。

短時間の動画について言及はしていないが、同社のCEOであるReed Hastings氏は、同社の2017年第4四半期決算において、彼らのブランドは明確であることを繰り返し述べた。「我々は道の先にいる。ストリーミング業界にいる他の人々は答えを探し続けている。」

同社の経営陣は、「Moment of Truth (真実の瞬間*マーケティング用語)」を勝ちとることを考えてきた。この瞬間とは、消費者が余暇をどう過ごすかと決める時だ。そして、その瞬間にスマホを求める消費者が増えれば増えるほど、ネットフリックスはショート動画をトライし続けるだろう。

Netflixの広報担当者は、同社の短時間の動画の計画についてはコメントを控えている。