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『クレイジーリッチ!』中国映画市場で伸び悩む

【出典】12/3/2018

https://variety.com/2018/film/asia/crazy-rich-asians-flops-in-china-box-office-debut-1203071333/Picture1

今夏大ヒットしたハリウッド映画『クレイジーリッチ!』が中国で公開されたが、公開初週の国内収益が100万ドル以下に留まりそうだ。

公開初日、このロマコメ映画は中国市場で4位スタートとなった。初日金曜日の夕方には、中国の主要観客層は映画にほとんど関心がないことが明らかとなり、土曜日には映画館がその他の作品を優先的に上映するという動きが見られた。

地元ソースによると、同作は週末の時点で8位終了と伸び悩みが予想されており、中国映画『無名之輩』や『ヴェノム』の人気に追いつくのは難しそうだ。『クレイジーリッチ!』は公開初日に41万ドル、翌日には40万ドルの収入に終わった。

全キャストがアジア系であったことによりアメリカで前代未聞のヒットとなった同作だが、そのキャスト陣は中国では注目を浴びない。また同作は世界各国よりも数ヶ月遅れの公開であった。意外な収入の伸び悩みを受け、映画館は上映本数の極端な削減開始に踏み出し、公開初日の32,000回から翌日には18,700回の減少が見られた。観客層の多くはすでに外国で同作を鑑賞済みか、オンラインで海賊版を視聴済みであり、またその他の人々はアジア文化に対する固定観念の極端な描写に対して疑問を抱いている様だ。

映画レビューサイトDoubanで『クレイジーリッチ!』は、数ヶ月前に鑑賞済みのユーザーらから6.2/10点と評価されており、あるユーザーは「良いストーリーだし、高い制作クオリティーだが、鑑賞中に少し吐き気をもよおした。」と記した。「欧米人にとって中国人は派閥主義で、派手派手しく上流気取りな、古い慣習にとらわれた人々だと思われているの?」

他のレビューはそれを否定し、この作品は中国の文化を全く履き違えながらもアメリカの人種や均等雇用の話題にうまく乗り込む目的で作られたのだと評価した。「まあ、アメリカ人は見ていていい気分になるのだろう。」

同作は北米で8月に公開され、1億7,400万ドルの収益を収める記録的大ヒットとなった。東アジアでも9月に公開され、映画の主な舞台となったシンガポールでは5百万ドルを収めた。

しかし、同作の中国でのレベニューシェア獲得に手こずったワーナー・ブラザースの努力が腑に落ちるかもしれない。中国で8月に公開され収益602,000ドルに終わった『マンマミーア!ヒア・ウィー・ゴー』や、9月に公開され収益206,000ドルに終わったエイミー・シューマー主演の『アイ・フィール・プリティー!人生最高のハプニング』などの作品は、同スタジオに過小評価されながらも逆に成功した。

それでも、プロデューサーにとって中国での公開は大変重要なことであった。続編の『China Rich Girlfriend』の一部が上海での撮影予定であり、中国プロダクションとの共同制作を望んでいるからだ。

なぜ中国で『クレイジー・リッチ!』を公開しないのか

【出典】2018/10/12

https://variety.com/2018/film/asia/why-china-crazy-rich-asians-on-hold-1202978088/

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現在、『クレイジー・リッチ!』は世界約43カ国、アジア圏のみをみても日本を含む約12カ国で上映されている大ヒット映画だ。そんな中、世界最高人口を記録するアジア大国、中国ではまだリリースされていない。

中国では、リリース決定は制作スタジオのワーナーブラザーズの後援者ではなく、映画局の政府規制当局と国有独占輸入業者の手に委ねられている。『クレイジー・リッチ!』は北米公開前の数ヶ月前、検閲承認のためワーナー・チャイナ・リエゾン事務所から当局に提出された。映画の製作関連会社は、中国リリースに目を向ける可能性がある事を考え、ケヴィン・クワン氏の原作の中で中国に対して中傷的な表現として捉えられる可能性がある断片は含まないよう注意した。

『クレイジー・リッチ!』が中国の輸入枠内に入り、北米で興行収入3週連続1位となった時点で利益配分については改善されるはずだった。それは海外地域の約5,700万ドルを含む、合計約1億7,000万ドルに値する。

しかし、未だ明らかな結果は出ていない。Variety誌からワーナーブラザーズに複数回連絡を取ったが、中国側からはまだ返答がないという。また時間が経つにつれ、映画の輸入承認の見通しが悪化している。

中国が、アジア系民族が出演する映画を上映することを目的に外国映画を輸入する必要がないという通例の主張に加え、少なくとも他に3つの要因が考えられる。

1つ目の要因は、『クレイジー・リッチ!』が間違ったメッセージを発信することである。現在の中国政界は、汚職と貪欲に対する戦争を展開している。過去5年間、百万人以上の公務員、党幹部、軍人が汚職により処分されており、金銭に対する貪欲性や富を表に出すことは、社会的に受け入れられないものだ。

エンタメ業界では、給料の上限など、重要な社会主義的な価値観の強調を繰り返しながら、素行が悪い芸能人の処罰などを行い、「その価値観にそぐわないとどうなるか」という例として、繰り返し取り沙汰されている。中国人女優ファンビンビン失踪は注目を浴びるスキャンダルの一つだけではない。それは、『クレイジー・リッチ!』のメッセージとは正反対の「富や裕福な暮らしに対する危険性」に関する、説得力のあるモラル・リマインダーでもある。

2つ目の要因は、言論戦を超えたドナルド・トランプ大統領との貿易論争だ。それは中国経済の成長率に影響を与えており、米中の政治的関係は新たな低水準を記録した。米国の企業はほとんど利益が得られない状況となっている。中国の報復措置は、幅広い非関税措置をカバーしており、中国で経営する米国企業の官僚手続きの鈍化にも関係している。

3つ目は、中国のエンターテイメントとメディア業界全体の低迷だ。以前は中国の業界規制当局であるSAPPRFTが管理権を持っていた。しかし、今年初めに共産党の宣伝部に直接的な管理権が移ったことで影響が出ている。許可プロセスの減速化は、特に反U.S. 問題にあるわけではない。多くの中国企業は同様に、その減速化と官僚的組織の不透明さの影響を感じている。

中国のある配給会社は「何も変化していない。 私たちは何も答えを得ていない。」とVariety誌に述べ、 「いくつかの映画は2週間で承認を得ている。」と語った。これらをふまえると、たとえ『クレイジー・リッチ!』が中国でリリースしたとしても、リリース日が最適ではなく、マーケティングが抑制される可能性があるだろう。

 

 

ワーナー・ブラザース:今夏の興行収入成績の振り返り

【出典】 2018/09/04

https://variety.com/2018/film/news/star-is-born-aquaman-crazy-rich-asians-sequels-1202925639/

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「ダークナイト」、「マッドマックス:怒りのデスロード」、「ワンダーウーマン」などで過去夏のボックスオフィスを席巻したワーナー・ブラザースにとって2018年夏は通常と異なる年となった。

スーパーヒーロー映画が不在の中、同社は「オーシャンズ8」、「MEGザ・モンスター」、「クレイジーリッチ!」などが興行収入的に成功。「タグ」、「ライフ・オブ・ザ・パーティー」の成績は芳しくなかったが最終的に黒字になる見通しだ。大手スタジオがフランチャイズ映画ばかり制作している中、同社はオリジナル作品に力を入れていることは感動すら覚える。「オーシャンズ8」のみ10年以上前ジョージ・クルーニー主演で製作された「オーシャンズ11」のスピンオフとなる。

ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ・グループのチェアマン、トビー・エメリッヒ氏は「映画ビジネスがますます大変な時代になってきているが、それでもオリジナル作品制作はリスクはあるが必要なビジネスだ」と語る。ケヴィン・クワン原作「クレイジー・リッチ!」は原作で続編が2作も出版されており、フランチャイズ化は決定だろう。Picture1

今年からチェアマンになったエメリッヒ氏によると、今夏は成功したが、年始は失敗を犯したと話す。同社がワインスタイン・カンパニーから購入した「パディントン2」は批評家から大絶賛されたにもかかわらず、北米での興行収入成績はわずか、42億円。海外では合計190億円近くを売り上げたが、同社は海外配給権を入手していなかった。

「もしセカンドチャンスがあるならば、公開時期を遅らせマーケティングに時間をもっと費やしていただろう」とエメリッヒ氏は語る。

同氏は社内のマーケティング部門による「MEGザ・メグ」のマーケティングキャンペーンも非常に評価している。同じ“サメ”映画である「ジョーズ」の怖い路線から離れコメディ路線にキャンペーンをシフトしたことが正解だった。映画ポスターに「拡大公開!」と書かれたコピーの背後に大きく口を広げたサメの写真を使うなどネタ風になっている。そして「ジュラシックワールド/炎の王国」や「インクレディブル・ファミリー」など大作のリリース後である8月後半に公開したことも成功の鍵となった。

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「MEG ザ・メグ」は世界合わせ530億円を稼ぎ出している。

ハリウッドで「多様性」が必要される中、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、サンドラ・ブロックなど女性キャストで構成された「オーシャンズ8」、アジア人キャストで構成された「クレイジーリッチ」両作品とも300億円、200億円と大成功を収めた。

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「人々は自分たちの世界と同じような環境をスクリーンの中でも見たいと思っている。だからこそ多様性は必要なのだ。」とエメリッヒ氏は述べる。女性は家族やカップルでどんな映画を観に行くか決定権を持つことが多いことから、「オーシャンズ8」のような女性向け作品が必要なのだ。