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サウジアラビア:前途多難な映画事業

【出典】2019/5/15

https://variety.com/2019/film/news/saudi-arabia-plows-ahead-film-plans-human-rights-criticism-1203212958/

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サウジアラビアはかつて中東の映画首都になるという大きな野心を持っていたが、ジャーナリストJamal Khashoggi氏の殺害により、実現が大変困難になった。Mohammed bin Salman皇太子が暗殺に関与していると疑われている報告の中で、サウジの指導者を改革者として歓迎していた多くのメディア企業は混乱に陥った。

その劇的な態度の変化は、今年のカンヌ映画祭でも明確にあらわれた。1年前、サウジアラビアはこの映画祭をスタジオや映画会社を勧誘するために利用した。サウジアラビアの地にハリウッドの作品を引き付けるため、初の国営パビリオンをつくり、現地での撮影費用の補助をアピールした。しかし、今年サウジアラビアのテントはなく、約束されていたたインセンティブはも実現していない。そして、Khashoggi氏殺害やサウジ政府のさまざまな政策が、映画界において、サウジアラビアへの広範にわたる反発を引き起こし続けている。

ImaxのCEO、Rich Gelfond氏はカンヌで開かれたイベントで「Khashoggi氏暗殺事件により、映画業界はサウジアラビアへの進出にためらいをみせた。しかし、人びとは再びこの市場への進出に切り出そうとしている。」と語った。

王国が指揮を執るサウジアラビア治安部隊による、Khashoggi氏の残忍な殺人により、一部の企業は王家、特に国王によって厳しく管理されている国でビジネスをすることを断念した。Endeavourはサウジアラビアのソブリンウェルス・ファンドから借りた4億ドルの投資を返却し、ViacomやUberなどの企業は、Bin Salman氏の近代化の取り組みを強調することを目的とした「Davos in the Desert」と呼ばれるサウジ会議から退会した。(サウジアラビアのファンドは、Varietyの親会社であるPenske Media Corp.への投資を続けている。)

しかし、一方で若い裕福な消費者の人口を誇る市場に参入する計画を進めていくことを決定したハリウッドのプレイヤーもいる。MKMパートナーズのアナリスト、Eric Handler氏は、「政治状況にきちんと目を向けなくてはいけない、そしてそれに騙されてはいけない。でもこの市場は非常に有益である」述べた。

サウジアラビアでは2018年まで映画館が禁止されていたが、急速なペースで映画館がオープンしており、中東を拠点とするVox Cinemasは順調に運営を進めており年末までに100以上のスクリーンを所有するとみられる。世界最大の映画館会社であるAMCは、今後5年間で最大50の劇場を開く予定ある。 Imaxは、ライセンス契約を通じて2つの劇場を運営している。また大手スタジオは、「Avengers:Endgame」などの映画をサウジアラビア国内でリリースし続けている。

「サウジアラビアには多くの複雑な道徳的問題があることは間違いない。」とGelfond氏は述べた。「世界の規範や道徳規範に違反した行為を行う政府がいる一方で、国が近代化していくこを望む人びとがいる。この問題に対しての私たちの立場は理想主義的であり、何も関与せず傍観することもできる。しかし、それが国の人びとにとって正しいことなのかはわからない。」

政権への批評家たちの中には、その論理を支持していない人もいる。Khashoggi氏殺害への関与の疑いがあるのに加えて、サウジアラビア政府は西洋の会社にサウジアラビアとのビジネスを躊躇させるべきであるという方針を貫いている。イエメンでの国主導の軍事介入は、人道的災害を引き起こしたと非難されている。また、国は女性に関して抑圧的な法律を制定しており、最近ではようやく女性が運転することが許可されるようになったが、この権利を求めた活動は投獄されている。それに加え、4月には大規模な処刑が実行され、37人の男性の首がきられた。

Codepinkの共同ディレクター、Medea Benjamin氏は、「サウジアラビアの文化活動と国が築き上げようとしている映画産業は、信じられないほど抑圧的な政府を無視できない試みである。」と語った。さらに彼は 「サウジアラビア政権は世界で最も混沌とした、不寛容な政権の一つである。サウジアラビアは膨大な資金を所有しているが、なぜアメリカの会社がサウジアラビア政権を黙認するのか理解ができない。」とつけ加えた。

カンヌでは、サウジアラビアのコンティンジェントが今年は控えめな姿勢を保っている。しかしこの映画祭には、新しい紅海国際映画祭のゼネラルマネージャーに任命された元ドバイ映画祭の執行役員Shivani Pandya氏も参加していた。この紅海国際映画祭の開催はJeddah氏の野望であり、来年から始まる予定である。

ドバイを拠点とするプロデューサーのFadi Ismail氏は、「初期段階では、多くの問題点が生じているのだ。しかし、着実に事態は進行している。」と述べた。サウジが管理するドバイを拠点とする放送局MBCの制作部門の元ゼネラルマネージャであるIsmail氏は、サウジの知的財産に基づいたプロジェクトで、自社を立ち上げようとしている。

カンヌでは、アブダビを拠点とする制作大手Image Nation、MBC、Vox Cinemasが、アラビア映画とテレビのプロジェクトを共同制作し、配信するためのパートナーシップを発表した。しかし一方で、この地域の以外では、Khashoggi氏の殺害によりサウジアラビアの当初の目論みであった、国際的な繋がりをもって映画制作を行い、トップタレントを引きつけることがほぼ不可能になった。映画スターを紅海祭に参加させるのは困難であろう。中東の著名な映画監督は、「ドバイで開かれる映画祭にスターを招くことは困難であろう。」と述べ、さらに「サウジアラビアに対する現在の認識はさらに厳しくなるだろう。」と付け加えた。ハリウッドのメジャーなプロダクションはサウジアラビアが制作費の莫大な援助を申し出しているが、サウジアラビアでの撮影を一切予定していない。

「サウジアラビアの映画業界について話をすると…ゼロから始めるようなもので、意味のあるものを構築するのはかなり長いプロセスになるであろう。」と研究会社IHS MarkitのDavid Hancock氏は述べた。

ネットフリックスに未だに頼り続けるカンヌ国際映画マーケット

http://variety.com/2018/film/news/cannes-film-festival-market-netflix-1202800862/

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カンヌ国際映画祭のマーケットの成功可否はネットフリックスに今年は委ねられているだろう。有名俳優の出演作品が配給先をカンヌで探しているのであれば、ネットフリックスが購入するかもしれないが、それ以外のマイナー作品は苦戦するかもしれない。

カンヌでプレミア上映される映画は、ストリーミング放映の前に劇場公開をしなければいけないというルールがあり、ネットフリックスは今年、同社の作品をコンペティション部門に出展しなかった。もししていたら、ポールグラス監督の「Norway」やアルフォンソ・キュアロン監督の「Roma」がプレミア上映されていただろう。しかしネットフリックスは過去数カ月、作品購入よりも自社開発に力を入れており、今年のサンダンス映画祭では、なかなか配給先が見つからない映画が多く見られた。

ベネディクト・カンバーバッチ主演の「Ironbark」やギルレモ・デル・トロがプロデュースする「Scary Stories to Tell in the Dark」などネットフリックスが興味を持ちそうな作品が多く出展されている。

「インデペンデント映画で以下の条件を満たしている映画は非常に少ない:

良い監督・良い脚本・ネームバリューのある俳優、そして北米での放映権が確約されているかだ」と語るのはブラジルImagen社のIvan Boeing氏。このような作品は映画祭マーケットになかなか登場しないのだが、今年は違う。ライオンズゲート社は次のハンガーゲームシリーズと言われている制作費120億円の大作「The Kingkiller Chrinicles」、ローランド・エメリッヒ監督の「Midway」、ライカ社の新作アニメーションでヒュー・ジャックマンが声優を務める「Missing Link」などが登場した。

「多額の制作費がかかったアクション映画やファミリー向け映画の2ジャンルが国際マーケットでは最も求められている」とAGC Studios創設者のStuart Ford氏は語る。

10年以上前であれば、このようなジャンルの作品は大手スタジオが制作していたが現在大手スタジオはコミック作品の映画化、作品のフランチャイズ化に力を入れている。よって今は、インディーの出資者、プロデューサー、配給会社がその穴を埋めようとしている。

映画出資においていま一番注目されているのがチャイナマネーだろう。映画産業も成長を続けており、中国での興行収入も配給側にとって大きな収入源になっている。

ローランド・エメリッヒ監督の「Midway」は中国企業が出資しているが、まだ作品自体は完成していない。映画のバイヤーにとってまだ完成していない作品を買い付けることはリスクが高い。映画に対しての出資モデルはリスク軽減のために複雑化されており、完成作品をマーケットに出品すること自体が難しくなりつつある。

一方テレビは盛況で多くの予算、タレントが「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ビッグ・リトル・ライズ」などのTVドラマに惹きつけられている。

「今のインデペンデント映画で足りないのは新しいクリエイティブアプローチだ。ハリウッド大作と戦うためにはもっとイノベーティブで新鮮な作品を作らなければならない」とConstantin Film社のチーフMartin Moszkowicz氏は語る。

カンヌ映画祭でNetflixの最初の技術的不具合でブーイング

【出典】2017/5/18

http://www.hollywoodreporter.com/news/cannes-netflixs-first-press-screening-marred-by-technical-malfunction-1005368

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動画配信大手Netflixは、国際報道機関からの非難によって、ポン・ジュノ監督の期待作「オクジャ」の ストリーミングに手間取っているようだ。

皮肉なことに、Netflixの出品作品「オクジャ」の初公開であったのにも関わらず 、映画の技術的な手違いによって台無しになってしまった。

映画は、公開時の大型スクリーンに対応できず 、画像の上部と下部が見切れてしまうミスフレイムとなった。この技術的ミスによって、映画が始まった直後に、上映は突然中断され、国際報道機関からは急速な非難が高まっている。

約10分程かかって、ミスフレイムは直り無事上映を再度スタートすることができた。しかし、 Netflixのロゴがスクリーンに映し出されると、観客からはブーイングも混じった歓声が上がった。

観客の中では、この技術的なミスはNetflix に対しての間接的な嫌がらせで意図的ではないかと噂する人もいる。

Netflixの代理人はコメントを拒否しており、映画関係者によると、実際には上映用のスクリーンに不備があったとしている。映画祭側は、朝方早くにこの騒動について謝罪した。

上映を終え、観客からは拍手かっさいが上がった。出鼻をくじく封切りとなったが、映画への評判は上々のようだ 。The Guardianのピーター・ブラッドショウ氏は、「ポン・ジュノの”オクジャ”は、ロアルド・ダール 、メリッサ・マシスン 、ドディー・スミス の精神で素晴らしいファミリーアクション・アドベンチャーです。」とツイートした。Vanity Fairのリチャード・ローソン氏も「”オクジャ“は素晴らしい。スピリチュアルで不思議な面もあり、道理や感動する要素もあって、最後のシーンはとても幸せな気分になる。」とツイートした。

Netflixにとって今年のカンヌ映画祭は、映画を2つ出品し大きな革新となる年になった。 (ポン・ジュンホの“オクジャ”と、ノア・バームバックの“メイヤーウィッツストーリー”)純粋な映画ファンは、オンラインだけで世界中に公開されそれぞれが小さなスクリーンで見る映画が映画祭に出品されるのは、映画館で見たいといういうお客さんを減らしてしまうとうったえている。

映画祭の主催者は先週、フランス映画協会(FNCF)がカンヌの公式セレクションに2つのNetflixオリジナル映画 を含めることに反対した後、今後、映画祭の出品作品はフランスの映画 館で上映されているものに限るという新しい条件を発表した。 NetflixのCEOであるリード・ ヘイスティングス氏は、Facebookのポストで「このルールは私たちの人気を阻もうとしている。」と語った。

カンヌ・フィルム・マーケット、バーチャルリアリティヘッドセットを導入

【出典】2016/5/10

http://variety.com/2016/digital/festivals/virtual-reality-france-cannes-film-festival-1201769317/

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バーチャルリアリティはゲームと広告業界である種一大分野を築き上げているが、フィルムメーカーやストーリーテラーにとっても無視できない媒体になっている。カンヌ国際映画祭も、これを受けバーチャルリアリティ作品のラインアップから試写会や意見交換会、ワークショップ等を、デジタルプログラムNextの一環としてローンチするようだ。

バーチャルリアリティに関する噂は、アメリカ市場にとどまらず、Arteで映画部門の前ヘッドであり、ショートフィルム「Viens!」の監督も務めたMichel Reilhac氏は、様々な国から35の作品を選出し、5月15日と16日に行われた「バーチャルリアリティの日」で紹介された。

様々な国から多数の応募があったことを受け、Reilhac氏は「フランス流」はまだ実在すると宣言する。「フランスのバーチャルリアリティ映画は、ストーリーの質やルックス、オーディオ、何をとっても他の作品とは一線を画しています。フランスの作品は、アメリカの作品のようにテクノロジーを披露しようとしているわけではないからです」と。

「Viens!」に加えて、映画祭で上映されるフランスバーチャルリアリティ作品のラインアップには、視力を失っていく男を時間とともに追った音声日記型短編映画「Notes on Blindness: Into Darkness」や、没後23年目に再現されたサイエンスフィクション脚本家Philip K. Dickの世界を描いたPierre Zandrowiczの「I, Philip」、他にも3作品あるようだ。

技術革命という観点から見ると、フランスや他のヨーロッパ諸国にはフェイスブックやGoogle、Apple、Samsungといったバーチャルリアリティに力を入れるブランドが欠けているため、太刀打ちできない。

「フランスでは、調査と開発において、大規模なメディア企業に投資を始めさせることが主なチャレンジです」とReilhac氏は述べる。「成り行きを見守るだけでは、不利な結果に繋がります」と。

実際、カンヌ・フィルム・マーケットのエグゼクティブディレクターを務めるJérôme Paillard氏は、Nextのスポンサーとしてフランスの大手テレコミュニケーション企業であり有料テレビグループOCSのオーナーであるOrangeを得ることができなかったと述べる。UMGやDailyMotionのオーナーであるVivendiも、バーチャルリアリティの投資に関しては路頭に迷っているようだ。

フランスでは、大企業よりもスタートアップ企業や自主映画のプロデューサー、3Dやマーケティング、ビデオゲームの分野に携わるクリエイターの方が、バーチャルリアリティの革命の原動力となっているとPaillard氏は述べる。それでも、同国が評論家から好評な短編作品を多く輩出できているというのは、お金を持っている世界映画協会やCNC、アバンギャルドなFranco-German net Arteの支援があったからこそだろう。

CNCには、バーチャルリアリティに向けて二種類の補助金がある。一つは開発向けで、一つは制作向けである。一方、Arteは「Notes on Blindness」や「I. Philip」を含め近年公開されたほとんどのバーチャルリアリティ短編作品の権利を委託されているようだ。

「I, Philip」は、パリに本拠地を置いているOkioが制作した作品である。Okioは、CNCからの20万ユーロ以上の投資や、Arteの約15ユーロの投資、他の団体からの追加投資もあり企業価値50万ユーロにまで上り詰めた。Okioは、この12分の作品に合計8万ユーロもつぎ込んだようだ。

「この金額は、アメリカのバーチャルリアリティ短編作品の予算と比べると2倍から3倍です」とOkioをAntoine Cayrol氏とCanal Plusでデジタル制作の主任を務めYouTubeのコメディチャンネルStudio Bagelの創設者でもあるLorenzo Benedetti氏と共にローンチしたZandrowicz氏は述べる。Cayrol氏曰く、同社はファッションデザイナーJean-Paul Gaultierのような大手ブランドのバーチャルリアリティ型コマーシャルなどを手掛けてきたが、より高予算のプロジェクトの企画・開発を可能にするため、アメリカの企業と話し合い中であるようだ。

バーチャルリアリティ作品をどう利益に繋げるかにおいて、フランスはDiscoveryを始めNetflixやAmazonといったストリーミングサービスまでバーチャルリアリティに参入しようとしている北米よりも不明瞭であるといっても間違いではないだろう。Arteやフランスの一般放送局France Televisionsの携帯アプリのようなプラットフォームが多く存在する中、バーチャルリアリティコンテンツにアクセスできるプラットフォームは制限されている。Cayrol氏は「『I, Philip』がOculus ShareやSamsungストア、PlayStationストア、Steamから4.99ドルで販売される予定です」と述べる。

Hadrien Lanvin氏とBrice Rocton氏によって経営されている企業PickupVRは、バーチャルリアリティコンテンツの認知度をポップアップセッションなどを通じて地元で広めており、5月にはパリの第11地区にバーチャルリアリティ専用視聴室をローンチする予定である。今風のレストランの地下に設置されたこの部屋は30分のセッションで20名を収容することができるようだ。

「バーチャルリアリティを体験するのに必要な機器の値段がもっと手頃になるまで、フランスの人々にバーチャルリアリティ体験を提供できる場としての役割を担っていこうと考えています」と、ヘッドセットを装着しバーチャルリアリティ作品を鑑賞することが集団としての文化になることを踏まえた上で、Lanvin氏はこう締めくくった。

カンヌ映画祭、出品作品が減少 トップタイトルに注目が集まる

【出典】2014/5/8

http://variety.com/2014/film/news/cannes-with-fewer-pics-in-the-market-buyers-and-sellers-focus-on-top-titles-1201175653/

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2013年のカンヌには米国から非常に知名度の高い、未完成な映画プロジェクトが殺到した。それらのほとんどが売れることがなかった。

今年カンヌが終了して一週間が過ぎた。

今年のカンヌで決定的に言えるのは、昨年のようにプロジェクトが多すぎるというよりは、あまりにも少な過ぎたということだ。

「この約1年で築きあげられたことの1つとして、(それは人々の注目を今まさに集めているが)市場において純正たるコンテンツが不足していることが挙げられる」とFilmNationのGlen Basner氏はコメントする。

ブラジルにてImagEMを販売しているIvan Boeing氏は「次の10日間で大きな発表が20ぐらいないと去年の映画祭とは全く異なる映画祭になるだろう。それは疑いようのないことだ。」と述べている。

「買い手はカンヌがよりアクティブな理由で忙しいのであろうと期待していたはずだ。しかし5月7日、私は皆が思っているほどカンヌは忙しいわけではないように思えた。」とトムハンクス主演の『王のためのホログラム』をカンヌで上映したロータスエンターテイメントのBill Johnson氏は付け加えた。

しかし5月12日に、4つか5つのかなり本格的なタイトルが発表された。

そうした見逃せないタイトルが大手バイヤーの心をグッと掴んだ。例えば、Eli Roth監督の最新作『ヴォルテージ』、そしてキアヌ・リーブス主演のエロティックなスリラーものである『ノック、ノック』は共にカンヌでヒットした。

「何故テントポール作品になり得る映画がないのか」「1つや2つ驚くような映画は常々ある。しかし大規模な屋台船になり得るような映画が存在していない。」、とConstantin社のMartin Moszkowicz氏が述べている。

もちろん3つの大きな映画はLionsgate社によってカンヌにて発表されるであろう。その三つの映画とは、ベニチオ·デル·トロとエミリー·ブラント共演のメキシコまでドラッグ王を追跡していくという『シカリオ』、ショーペン監督のシャーリーズ·セロン、ハビエル·バルデム主演映画『ザラストフェイス』、そしてリーアム·ニーソンとフアン·アントニオ·バヨナ主演の『アモンスターコールズ』である。

多くの地域の大きなインディーズ映画の代理店のフラストレーションによって、Lionsgate社とSummit Films社は世界中のいたるところで作品の取引を各々に縛られている。

だから、カンヌ開催から6日間経ってから、市場はひっそりと発展した

ベルリン映画祭と同様に市場に出回った多くの映画は以下の2つの方法に分類される。キャスト主導のアクションスリラーものと40歳以上向けものだ。

これまたベルリン映画祭と同様に、後者はカンヌにおいて大多数なように思える。ジェイムス・スカームス、エックス・フライム、アリソン・トンプソンのサンレイはハンズファラダの反ナチス小説を翻案した『アローン・イン・ベルリン』について共同製作している。フィルムネイション社はU2のボノとザ・エッジと共にジョンカーネイのミュージカルドラマ、『シングストリート』の販売を開始した。

さらに、eOneはブライアンクランストン主演の「Trumbo」の国際配給権利を入手した。ジェームズフランコはフランコとニューフィルム社の販売員、セス・ローゲンと共同でフォークナーの翻案映画、『ザ・サウンド&ザ・フリー』を製作している。アトム・エヤゴンはIMグローバル社製作のクリストファー・プラマー主演のリベンジスリラーもの、『リメンバー』の監督をやっている。パテは80近い古き友人同士が未だに喧嘩をしているという内容のパオロ·ソレンティーノの『ヤング』を販売している。マイケル·ケイン、ハーヴェイ·カイテルとレイチェル·ワイズが主演だ。

モスズコヴィクズは「ドイツのように多くの国では、40代50代以上の非常に安定した映画顧客層が存在しており、彼らがこうしたジャンルの映画を見に行くのだ」と述べている。

また「20代半ばを中心にターゲティングされた男性向けのアクション主導の映画は配給会社を安心させる。それらの映画は頻繁にビデオ化され、アジアやラテンアメリカでも人気があるのだ。」とも付け加えた。

カンヌ市場ではいくつかの非常に魅力的なジャンルの映画があります。IMグローバル社は世界中で7770万ドルの売り上げをもたらした『シニスター』の続編として力を入れられるであろう、ブルームハウスプロデュースの『シニスター2』の製作をオファーしている。

ハイドパークインターナショナル社は旧精神病院にて製作されているスリラーものである、『エロイーズ』を販売している。XYZ社はロザリオ·ドーソンとジョシュ·ハートネット共演のSF映画『パーツ・パー・ビリオン』、アメリカ全土で公開されている『ミレミアム』、SXSWのプレイヤーであるニコラスマッカーシーが『ホーム』を配給している。

企業は顧客のスイートスポットをおさえるべく模索している最中である。バイヤーのための安心感と観客にとってのオリジナリティのバランスを取らなければならないのだ。

ミスタースミス社のディビット・ガーネットは「それは全てのクリエイティブ産業で確かなことである。人々は市場に出まわるものが欲しい。会社は観客を理解している。しかし、同時に観客はオリジナルを渇望しているのだ。」と述べる。

もっとも、今年のカンヌ祭で最も語られるのは他の箇所であろう。

バスナー氏は、「我々の市場において対処すべき全体的なテーマがあるとしたら、それは『どのようにして市場に質の高い映画を供給し続けるか』ということである。」と述べている。

何故質の高い作品が不足、又は少なくとも市場にもたらされる素晴らしい作品の絶対数が明らかに急減している、ということは別の問題である。

映画業界はすでにカンヌ祭の1週間前にはいくつかの答えを導きだしていた。

ImagEMのボーイング氏は「皆が口を揃えて同じことを言うのだ。」と述べており、「作品のきちんとパッケージ化することが難しい。大半は配役の問題なのだが。」と付け加えた。

ラディアント映画のミミ・スタインバウアー社長は、「すでに決まっている配役に問題があると思う。それらはテレビでの呼び物になるか、映画スタジオの予算上のお荷物になるだろう。ラディアント映画はズーイーデシャネルやアントン·イェルチン主演の型破りなロマンス映画『ザ・ドリフトレス・エリア』を配給している。

「予算や作成している映画の種類が多岐に及んでいるアメリカの波のある流通構造は独立系金融会社の悩みのタネになっている。」と述べるのはIMグローバル社のスチュートフォード氏である。フォード氏は「売れ線の映画俳優の数はかつてないほど縮小しており、これらの国際的な問題をハリウッドは完全には解決できていません。」と付け加える。

一方バスナー氏は「5年前、仮にあなたが長編映画に、脚本であれ、ディレクターであれ、俳優であれ何らかの形で関わっていたとしたら、ただその映画につきっきりだっただろう。だから映画に関わっていないときは、全く別の映画製作に関わろうとするであろう。」

しかし現在、様々な種類のクリエイターは多くの異なったメディアで働いている。彼らはただ座って、創り上げようとしたり、それから別の作品に関わろうとしたりしているわけではもはやない。彼らは我々がこれまで見てきた多くの映画作品に影響を及ぼしているのだ。」と述べている。

質の高い映画をコンスタントに製作していくことは(フィルムネイション社は一つの例に過ぎない)はますますより良い作品を生み出すことに繋がる。

「我々は今年度、産業の運命を自分たちでどうにかしようと、内的に努力し、多くのエネルギーを費やしてきた。」とロータス共同議長であるジム・セイベルは述べた。

今年のカンヌ祭での作品不足にもメリットはある。
フォードは「我々がアメリカのボックスオフィスで働く純然たるプログラマの苦悩を目の当たりにしたように、映画業界人は厳しい国際競争に晒されており、それはバイヤーにとっての、より良い質の作品を作成する方向へと向かう。」と述べ、「概してより良い質の映画が生み出される、少し乱雑した市場が存在しており、それは至って健全である。」と付け加えた。