興行収入が伸び悩むアマゾンスタジオ、エグゼクティブは解決に励む

【出典】6/26/2019

https://www.hollywoodreporter.com/news/amazon-studios-film-division-tumult-string-box-office-flops-1220968

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ジェニファー・サルク氏の事業改善策をよそに、アマゾンスタジオの映画制作部は未だヒット作を出せずにいる。

業界ベテランでありアマゾンスタジオのマーケティング・配給チーフのボブ・バーニー氏の退職、またスタジオ制作映画『Late Night』の収益低迷などから、2017年後半以降に映画館で公開された映画10作品の収入に同スタジオがもがいている様子がわかる。テレビ業界の熟達者だが映画ビジネスの経験が少ないサルケ氏が2018年前半にアマゾンスタジオのヘッドに就任以降、最初の作品である『Late Night』は、6月頭に公開されるも興収が1100万ドルにも届いておらず、期待に反する結果となっている。ミンディ・カリングが脚本を担当、エマ・トンプソンと主演を務めるこのコメディ映画は、今年のサンダンス映画祭にて、サルク氏が歴代最高額の1300万ドルで米国配給権を獲得した。

ハリウッドでは、映画の興行収入が伸びない場合マーケティングが非難されることが慣習化している。しかし、あるソースによると、実のところはサルク氏が製作ヘッドのTed Hope氏とJulie Rapaport氏をアマゾンスタジオ映画部のヘッドに昇格させる数ヶ月前からBerney氏は席を外されていたそうだ。Matt Newman氏を加え、映画部のヘッドとなる3人は映画部前チーフでサルケ氏就任後スタジオを去ったJason Ropell氏の席を埋めることとなる。

サルケ氏と3人のヘッドは、2019年サンダンス国際映画祭で歴代最高額の4700万ドルで映画5作品の買収契約を締結した。その契約によって、8月公開の『Brittany Runs a Marathon』とドキュメンタリー映画『One Child Nation』の海外配給権を1400万ドルで取得した。『Late Night』の契約内容は全米公開であったが、結果ハイリスクなものとなった。

大人向けインディー映画の全米公開は、特に夏の期間は厳しいものとなるだろう。アマゾンは、過去にオスカーノミニーの『マンチェスター・バイ・ザ・シー』や『ビッグ・シック』で成功を飾るも、収入の伸びはゆっくりであった。また、この2作は他社が配給を担当した。

内部の者によると、アマゾンは『Late Night』のマーケティングに3500万ドルを費やしたという。6月の全米公開作品としては比較的少なめであり、公開前の映画の認知度の低さにも関わらずスタジオ上層部はマーケティング予算の追加を行わなかった。

バーニー氏とサルク氏の間にイザコザがあった訳ではないようだ。「衝突はなかったが、2人は業界内でも全く違うエリアからスタジオに参加した。バーニー氏はインディー、サルク氏は企業的。2人は決して親しくなることはなかった。」と、あるソースは話す。

アマゾンはコメントを拒否、バーニー氏とは連絡がつかなかったが、同氏の友人によると、4年契約の期限が切れ自らスタジオを去る決断をしたという。

スタジオ役員の再編成は現在進行中であり、時間のかかる作業だとアマゾン内のソースは言う。また、映画は映画館での公開終了後も、アマゾンプライムという次の舞台が待っている。それでもやはり、バーニー氏がスタジオを離れた翌日、同社では悲観的なムードが漂っていたそうだ。

サルク氏が大々的な公開戦略の転向を検討する中、アマゾンは既にバーニー氏の後任を探し始めている。アワードシーズンが近づく今、多数の公開予定作品を抱える同スタジオの最優先は、後任を見つけることだ。サルク氏はサンダンス映画祭後、数作品は限定公開のみの予定り、また劇場公開をしない作品もあると発表した。ジェイソン・ブラムとニコール・キッドマンのBlossom Films製作作品や、カンヌ国際映画祭で獲得されたジョセフ・ゴードン・レヴィットの「7500」などは、劇場公開の予定がない。

その反面、『Late Night』のように、近日公開のシャイア・ラブーフ主演映画『Honey Boy』は劇場公開予定である。『Honey Boy』もサンダンスでアマゾンが獲得した作品だ。9月公開予定のアダム・ドライバーとアネット・ベニング出演のスリラー映画『The Report』も同様。『The Report』は限定の映画館でのみ数週間公開され、その後アマゾンプライムで配信される。『Brittany Runs a Marathon』は8月23日に劇場公開予定だ。

アマゾンスタジオによる自社製作作品の実績にはムラがある。スタジオ初の自主配給絵作品は、ウディ・アレン監督の高予算映画『Wonder Wheel』であった。アレン氏との契約は、当時のスタジオヘッドであり、セクハラ問題で解雇されたロイ・プリンス氏によって行われ、同作の国内興行収入は2017年末にたった140万ドルで終わった。その他の自社制作作品も同様の結果で、『Peterloo』は152,000ドル、『Beautiful Boy』は760万ドルに終わった。

ウォール・ストリート誌のアナリストによると、アマゾンプライムのコンテンツ製作にかける費用は非常に少ないそうだ。それよりも重要なのはコンテンツ製作によりアマゾンと映画製作者やタレントとの関係を築くことである。フィナンシャルサービスのWedbush SecuritiesのMichael Pachter氏は、「興行収入は重要でない。アマゾンプライムの登録者は、映画を見るためでなく、配送料無料のために加入しているのだから。」と話す。

今日までに、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』がアマゾンの最大興行収入作品であり、国内収入は4760万ドル。続いて『ビッグ・シック』が国内収入4290万ドルで2位。過去に自習配給された10作品では、『レイト・ナイト』が1070万ドルで1位、『Beautiful Boy』が760万ドル、『Cold War』が460万ドル、『Life Itself』が410万ドル、『You Were Never Rreally Here』が250万ドルとなっている。

アマゾンスタジオのヘッド就任以前、バーニー氏は多数の企業での経験を経たのち、メル・ギブソン監督作品『パッション』の配給により業界に名を馳せた。その後、ワーナー・ブラザースが運営するインディー映画配給会社のPicturehouseのヘッドに就き、続いてFilmDistrict社に移った。