音楽とマーケティングが調和して機能する時

【出典】6/24/2019

https://www.thedrum.com/news/2019/06/24/when-music-and-marketing-come-together-harmony

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ブランドが自社商品への消費者の期待を更に高めるツールとして、音楽マーケティングが大きな役割を果たす。音楽は、広告キャンペーンに内在する要素で、ブランドプロモーションにおいて大きな役割を果たす。人間の脳で音楽は感情や記憶を処理する部分と同じ場所で処理されるということが研究で分かっている。それを踏まえれば、ブランドが自社のポジティブなイメージの向上を目指す際に、人気の音楽を使用してプロモーションを行うのは道理にかなう。

しかし、音楽を用いたマーケティングが多く存在する中で目立った作品を生み出すのには、クリエイティビティが必要だ。例えばレディオヘッドのヴォーカル、トム・ヨーク氏は、革新的な方法で自身のソロ楽曲のプロモを行なった。それは、「アニマ・テクノロジーズ」と呼ばれる企業の広告で、「ドリーム・カメラ」と題した夢を記憶できるサービスを宣伝するものとなっている。広告に掲載された電話番号に電話すると、奇妙な音声が会社の閉鎖を告げ、続いてヨーク氏の最新アルバムに収録される曲の一部が流れる、といったものだ。奇妙だが、記憶に残りやすいキャンペーンである。

ヨーク氏の音楽マーケティングキャンペーンが賞賛される中、別の歌手も音楽マーケティングで話題となったが、この場合は良い印象で捉えられていない。LGBTQ+の権利拡大をサポートするプライド月間の真っ只中、テイラー・スウィフトはLGBTQ+コミュニティの声を代弁する内容の最新シングル「You Need to Calm Down」をリリースした。

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動画リンク; https://www.youtube.com/watch?v=Dkk9gvTmCXY

残念なことに、この楽曲は意図せぬ理由で注目を浴びている。スウィフト氏は、プライド運動を商売目的で乱用しているとLGBTQ+コミュニティから批判を浴び、また同氏による異性愛と同性愛の描写の仕方に議論が起きている。

スウィフト氏への批判は別として、マーケティングと音楽の協働の効果は他の広告キャンペーンに明確に現れている。この記事では、記憶に残る音楽マーケティングを振り返り、使用された音楽がどのようにしてブランドの代名詞となったかを探る。

ジョン・ルイス(百貨店): クリスマス広告キャンペーン

クリスマスといえば、ジョン・ルイスのクリスマスシーズン広告を思い出す。同百貨店の代名詞であるクリスマスCMは、毎年人気アーティストによる様々な名曲のアコースティックカバーを使用し、感動的なメッセージを届ける。

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動画リンク:https://www.youtube.com/watch?v=_IaTVlOvv14

ジョン・ルイスのクリスマスCMは、クリスマスシーズン特有の子供達の興奮や利他的な感情を主に表現している。こういった柔らかいトーンのアコースティックカバーが、広告のセンチメンタルなメッセージを裏打ちするのだ。このCMは今やクリスマスシーズンの風物詩となり、CMに起用されたカバー曲はしばしばUKの音楽チャートにランクインする。2012年には、ガブリエル・アプリンが80年代にヒットしたUKバンド フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの名曲「パワー・オブ・ラブ」をカバーしたが、その曲は同年のクリスマス音楽のナンバー1となった。さらにこのCMに基づいた児童書も発売された。

ジョン・ルイスのクリスマスCMの成功により、ホリデーシーズンに似たようなCMを放送するリテールが増えた。

この広告キャンペーンはadam&eveDDBが制作。

iPod x U2

2004年、アップル社はiPodローンチクアンペーンで国際的ロックバンドのU2と手を組んだ。

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動画リンク: https://www.youtube.com/watch?v=nljs4kzpebU

ミュージックビデオのようなこの広告は、U2のヴォーカル ボノだと一目で分かるシルエットが、ヒット曲の「バーティゴ」を歌い出して始まる。アップルといえば踊るシルエット、というブランドイメージを作り上げ、「バーティゴ」をアップルの代名詞に仕立て上げたほどの、印象が強いCMだ。

この広告キャンペーンはChiat/ Dayによって制作された。

ソニー ブラビア x ホゼ・ゴンザレス

ソニーは、HDカラーを誇る最新テレビの広告キャンペーンに、無名のアーティスト ホゼ・ゴンザレスがカバーしたThe Knifeの「Heartbeats」を起用した。

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動画リンク: https://www.youtube.com/watch?v=0_bx8bnCoiU&t=87s

2005年に公開されたこのCMは、沢山のカラフルなボールがサンフランシスコの坂を転がる、色鮮やかな作品だ。その映像とホゼ・ゴンザレスによる柔らかいサウンドが、視聴者を魅惑し、ソニーが色彩鮮やかな広告を継続して制作するきっかっけとなった。

このキャンペーンのクリエイティブはファロン ロンドンが担当。

菓子メーカーCadbury x フィル・コリンズ

イギリスで最も人気のCMと投票されたこのCMは、ゴリラが無人のスタジオでドラムを叩くというおかしな内容だ。しかしこのコマーシャルは同ブランドの広告キャンペーンで一番人気となり、以来Cadburyは似たようなCMを制作している。

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動画リンク: https://www.youtube.com/watch?v=TnzFRV1LwIo

このコマーシャルはフィル・コリンズの1980年シングル「Air Tonight’」をフィーチャーし、ゴリラがドラムセットを叩いていると、あの有名なドラムのソロのパートに差し掛かる。ゴリラとドラムという予想外のペア、そして不思議なコンセプトが視聴者の好奇心を捉えた。

このCMはCadburyがファロン ロンドンと共同制作を行った。

ペプシ x クイーン

2004年はポップ・ミュージックの最盛期であったが、それを率いたのは3人の女性シンガー、ブリトニー・スピアーズ、ビヨンセ、ピンクだった。ペプシはその三人を一気にCMに起用、グラディエーターに変身させ、流行に乗ったCMを制作した。

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動画リンク: https://www.youtube.com/watch?v=W7jkygJ_QNo

ペプシはCMにポップスターを起用することで有名だが、このCMはそのスターパワーと使用曲によって特別に華やかなものになった。コロシアムを舞台にグラディエーターに扮した3人の女性ポップスターが、皇帝に扮するエンリケ・イグレシアスの前でクイーンの「ウィー・ウィル・ロック・ユー」をカバーする。それに加え、クイーンのメンバーブライアン・メイとロジャー・テイラーが群衆として本人出演している。

M&S x フリートウッド・マック

2004年から2010年にかけ、イギリスのリテールMarks & Spencerは「This is not just food…(これはただの食べ物じゃない…)」と題した広告キャンペーンが有名であった。北アイルランドの女優Dervla Kirwanの官能的なヴォイスオーバーと美味しそうな食べ物のクローズアップスロも映像で、そのCMはフードポルノと呼ばれた。

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動画リンク:https://youtu.be/Tu-sbmySMG8

このCMを特徴付けたのは、フリートウッド・マックの代表曲「アルバトロス」の起用だ。滑らかで、どこか魅惑的なギターリフのBGMがこの広告を官能的な作品に仕立てた。現在では「アルバトロス」を聴いてM&SのCMを思い出さずにはいられない。ブランドのモダン化を目指すM&Sは、今年初めにこのCMのリバイバル広告を制作した。

この広告キャンペーンはRKCR/Y&R(現Y&R London)が制作。