口コミ評価の高いアリアナ・グランデ新MV『thank u, next』より、マーケターが学べること

彼女は人々から郷愁の念(ノスタルジア) を引き出し、ファンの心を掴んで放さない

【出典】2018/12/06

https://www.adweek.com/brand-marketing/heres-what-marketers-can-learn-from-ariana-grandes-viral-thank-u-next-video/Picture1

ポップスターのアリアナ・グランデがヒットチャート入りを果たした 『thank u, next』 のミュージック・ビデオ (以下MVに統一) を公開し、世界ではMTV全盛期以来と見られるほどの盛り上がりを見せている。2000年代に公開された人気ガールズ・ムービーの幾つかをオマージュしているMVは、直ぐさまYoutube内における公開後24時間の再生回数記録を更新、過去最高記録を破る形となった。現在もその記録を伸ばしている。

 

25歳の歌姫は今まで脚光を浴びてこなかった訳ではないが、『thank u, next』のMVは入念に練られたマーケティング・ストラテジーがいかに大きな結果を生み出し、どのようなカテゴリーにも対応する指針とベストプラクティスを持っているかをマーケーター達に示した。

文化的共鳴 (※Cultural resonance )は、たった一つの関連性より大きな成功をもたらす

 

『thank u, next』 の成功は著名人アリアナ・グランデへの文化的関心、そして彼女がしばしばゴシップ雑誌に掲載される人物であることからの世間的関心、その二点からもたらされている。浮き沈みのある彼女の私生活は過去何度も世間に話題を提供し、ニュースのヘッドラインからサタデー・ナイト・ライブの寸劇に至るまでがアリアナを取り上げた。

 

しかしながら、 『thank u, next』 のMV制作のみでは満足しないのがアリアナのチームだ。彼らは、アリアナを「世界にいるセレブリティーの一人」、というありふれたステータスには留めておかない。それどころか、彼らは今日のカルチャーに絶大な力を持つものを武器に、MVを作った。その武器とは、ノスタルジアである。

 

『thank u, next』 は2000年代に制作された 『チアーズ!』 や 『ミーン・ガールズ』 などの人気映画へオマージュを捧げただけでなく、現代のポップ・カルチャーを代表するような人物に出演してもらうことにより、視聴者が文化的共鳴 (cultural resonance)を覚えるような驚くべきほど意味のあるMVとなった。Picture1

ブランドのマーケター達はこれを参考にすると良いだろう。

製品選択にしろ、有名人のキャスティングにしろ、何が消費者の共感を最も呼ぶのか。また、それらをどのように活用すべきなのか。それらを理解する努力がマーケターにとって不可欠となる。

ブランドにとって重要な瞬間をイベントにすることで、人々の期待感を超えることができる。

グランデのチームはMVの公開をあたかもライブイベントのように演出した。MV公開の数日前になると、撮影の舞台裏写真やティーザー動画を小出しに世界へと発信し始めた。

彼らはMV公開へのキーとなるインフルエンサーをプロダクション・スタッフとして採用し、米映像監督Hannah Lux Davis (ハナー・ラックス・デイビス) 氏の力も借りた。この(上記)ストラテジーが効果的なのは、何もミュージック・ビデオのプレミアに限った話ではない。

新商品の発表準備をしている時も、新しいマーケティング・キャンペーンの発表が控えている時も、貴重な時間を無駄にはしていないか、それが重要なのだ。

ティーザー・コンテンツ、ソーシャル上の話題作り、その他のテクニックなどをキャンペーンが始まるまでに活用しておくのは、一早い口コミを得るためにも、オーディエンスの期待値を上げるためにも、効果的な方法となる。

あなたが消費者に正しいツールを提供すれば、彼らはクリエイターとなる

アリアナの新曲公開そのものがポップ・カルチャーの話題に盛り込まれていたが、ファンが一役買ったことは言うまでもない。

単にMVを公開するだけでなく、アリアナを支えるチームは動画配信の瞬間と同時に『thank u, next』に合わせて作られたSnap Chat用フィルター、Instagram用ステッカーの使用を可能にした。MVが公開された瞬間を祝えるようなツールをファンに提供したのだ。このようなストラテジーは、マーケターにとって価値あるケーススタディとなる。

プロジェクトの成否を決める瞬間が近付く中、ここで重要となるのは、どのようにオーディエンスを巻き込むべきか、というブランドの視点だ。マーケターが消費者に正しいツールを供給すれば、単に彼らの関心を引くだけでなく、共に話題を作ることができる。

これにより、今度はよりリアルな口コミが人々の間に広まり、ブランドと消費者の間には今まで以上の強い繋がりが生まれるだろう。

しかし、それだけではない。

『thank u, next』のプレミア以来、アリアナのチームは長期間にわたりコンテンツが生き残るよう様々な施策を行っており、一旦掴んだファンの心を離さないよう特典映像 やボーナス・コンテンツの公開を続けている。

Google ニュースの最新検索結果を見る限り、『thank u, next』と入力すれば、この曲のMVが未だにヘッドラインニュースになっていること、人々の話題に上がっていることが分かる。

以上より、アリアナの優秀なチームが今回掴んだチャンスを最大限に利用していることは傍目にも明らかだ。