音楽ストリーミングサービス、経営が最も危ないものからあまり危なくないものまで

【出典】2017/3/27

https://www.gizmodo.com.au/2017/03/streaming-music-services-from-most-screwed-to-least-screwed/

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SoundCloudは、首が回らなくなりつつあるようだ。知らないDJからリポッドキャストやリミックスを聞く場と化している同音楽ストリーミングサービスは木曜日、ビジネスを継続するために様々な投資家から総額7000万ドルの負債資金を抱えていることを認めた。

ベンチャー企業にバックアップされた企業が債権金融グループから資金を調達したというのは、いい兆候であるはずがない。というのも、これは従来の投資家達が同社に対して期待を寄せなくなったことを示しているからだ。TechCrunchによると、SoundCloudは1億ドルを調達することができなかったため、負債資金を調達することになったという。

昨年2月にSoundCloudは2015年の財務状況を発表しているが、その当時ですら5500万ドルを失っており、資金が底をつく危機に陥っていた。

今回7000万ドルの負債資金を抱えることとなったが、それでもSoundCloudを支えるのに充分な資金を調達したとは言えないだろう。このままでは、RdioやGrooveshark、MOGと同じ倒産という運命を辿ってしまうかもしれない。

実際、音楽ストリーミングサービス業界全体が危機に瀕していると言っても過言ではないだろう。システムの構築や支払いモデルの構築、マーケティング、楽曲ライセンス料を含めると、ユーザーに課金するモデルで黒字化するのは至難の業なのである。

音楽ストリーミング業界で黒字化を図るのは、大企業でも容易なことではない。結果として、投資額とユーザー数の多いSpotifyのようなサービスや、強力な親会社を持ちユーザー数の多いApple Musicのようなサービスしか、生き残ることができないのである。

しかし、どのサービスが最も危機的状態にあって、どのサービスがそこまでではないのだろうか。以下にそれをまとめてみた。

最も危機的状態にあるサービス

  1. PonoMusic

PonoMusicは正確にはストリーミングサービスではないが、最も酷い経営難に陥っているため、このリストに載せることにした。Neil YoungのPono PlayerがPono所有者に向けて高音質楽曲の販売を行うオンラインストアをローンチしたのも記憶に新しい。

PonoMusicの創立者でありアーティストでもあるYoungが2016年5月にリリースしたシングルもTidalで独占配信されており、このプラットフォームは使われなかったことからしても、このプラットフォームは失敗であったと言わざるを得ない。

7月にPonoMusicストアがコンテンツのリソースを変更するために「オフライン」になると発表したが、それから8ヶ月経った今でもストアはオフラインのままであることからも、このことが伺える。Ponoは1月以来ツイッターに何もつぶやいておらず、ミュージックプレーヤーが販売中であるという掲載が同ウェブサイトからも消えた。PonoMusicが再び市場に登場するのは、到底考えられないだろう。

  1. SoundCloud

SoundCloudも危機的状況にあると言える。同サービスは、2009年以降3.2億ドルという巨額の資金を調達しており、サービス自体も良好である。また、インディーズアーティストが大物になるチャンスを秘めた場としても知られており(Chance the RapperやLorde等が先例として挙げられる)、野心のあるDJも自らのトラックをアップロードしている。

しかし、現実問題としてSoundCloudはSpotifyやApple Music等より強大な競争相手達を相手にしなければならない。実際、同サービスは投資ラウンドで充分な資金調達を行うことができず、結果として負債資金を抱えることになった。さらに、同サービスの有料版サービスSoundCloud Goのユーザー数も稼げておらず、先月からより安く質の悪いバージョンが提供されている。今後12ヶ月以内に同サービスがSpotifyかGoogleに買収されるという噂もあながち嘘ではないのかもしれない。

    Tidal

Tidalは、Jay-Zが2015年に再びローンチしてからというもの大失敗を繰り返している。再ローンチから2年でCEOを幾度となく変えており、ユーザーや社員からの訴訟も絶えず、支払いが滞っているインディーズレーベルもいるようなのだ。

Jay-Z自身も、身ぐるみをはがれたと感じているだろう。もう少しの間生き残るかもしれないが、近々Jay-Zも誰からも注目されていないサービスに投資し続けることに嫌気がさすかもしれない。

  1. Napster/Rhapsody

すでになくなったと思っている人も多いかもしれないが、Napsterはまだ存在する。もちろん、実際に残っているのはロゴくらいのもので、他は全て音楽ストリーミング史上初期から続くサービスの一つRhapsodyのものである(両社は2011年に経営統合した)。

SpotifyやApple Musicは、Rhapsody/Napsterに大きな借りがあると言っても過言では無いだろう。Rhapsodyはストリーミングする楽曲をメジャーレコード会社からライセンスした初めてのサービスであるからだ。しかし、常に初めてのサービスが成功するわけではない。というのも、同サービスの最近の業績は芳しくなかったからだ。2015年には、たった350万人の有料ユーザーを残すだけになってしまったのだ。Napster/Rhapsodyがどこまで生き残れるかは定かではないが、あまりもたないだろうと考えられている。

  1. Pandora

Pandoraは、業績が悪いため社員を一斉解雇しているというだけでなく、株式会社であるために問題がより大きいと言えるだろう。さらに、Pandoraは毎月利用するアクティブユーザーを8100万人も抱えており、世界で最も人気のある音楽ストリーミングサービスの一つとしての地位を確立させてしまっているのだ。

しかし、問題はこのユーザー達がこのプラットフォームにとって何の利益にもなっていないということである。Pandora Premiumサービスに期待が集まってはいるが、レビューから察するにSpotifyやApple Musicとは違う機能が提供されているわけではないようだ。もしPandoraの株価が下落すれば、買収対象としては魅力的かもしれないが。

ある程度危機的状態にあるサービス

  1. Deezer

Deezerはアメリカではそこまで人気が高いわけではないが、世界中で600万ものユーザー数を誇っている。2015年にはフランスで株式公開を計画していたが、同社はこれをキャンセルした。「マーケット状況」を理由に挙げているが、これは「Pandoraが失敗したことを受け、株価が下落することを恐れた」ことに他ならない。しかし、それでも同社は2016年1月に1.09億ドルの資金調達に成功している。

Deezerの将来については定かではないが、今のところ社員の一斉解雇もなく、良好のようである。

  1. Groove Music

Microsoftの音楽サービスは、Microsoft全体が力を入れている分野ではない(実際、この記事を書くまで我々も存在を忘れていた)。だからこそ、ある程度危機的状況であると言えるだろう。Groove MusicはMicrosoftという強力な後ろ盾があるからこそ存在できている一方、Microsoftの後ろ盾を失うとすぐに潰れてしまうからだ。

  1. iTunes Music Store

iTunesはストリーミングサービスではないが、デジタル音楽業界に置いて大きな役割を果たしていることには変わりがないので、このリストに掲載している。同サービスは、10年近くもの間デジタル楽曲を購入する場として最も高い人気を誇ってきた。しかし、Nielsenが1月に発表した2016年のレポートによると、音楽ストリーミングが初めてデジタル楽曲ダウンロードを上回ったというのだ。

これは、iTunesの収益が低下していることを意味しており、従来のiTunes Music Storeにとっては良くない状況である。しかし、AppleにはApple Musicというもう一つの音楽サービスが存在する。昨年の5月、音楽業界アナリストのMark Mulligan氏はApple Musicの収益がiTunes Music Storeの収益を2020年までに上回り、その時点でAppleが古い楽曲ダウンロードサービスを停止するだろうと予想した。

今後5年以内にiTunes Musicストアは経営難に陥るだろうが、現在のところ楽曲を購入できるサービスの中で最も高い人気を誇っていることは間違いない。

そこまで危機的状態ではないサービス

  1. Google Play Music

Google Play Musicは、他のメジャーな音楽ストリーミングサービスと同じくらい人気を誇っており、さらにGoogleという強力な後ろ盾を持っていることから、生き残る可能性が高いと考えられている。Google Play Musicは、iTunes(楽曲購入サービス)とiTunes March(自らがアップロードした楽曲をどこからでもダウンロードできるサービス)、さらにApple Musicを合わせたようなサービスである。

特典として、Google Play Musicに加入するとYouTube Redも利用できるようになる。月額10ドルでストリーミングサービスと無広告のYouTubeコンテンツサービスを利用できるとなると、かなりお手頃であるように感じるかもしれない。

  1. iHeartRadio

iHeartRadioは、アメリカ国内最大のラジオ局iHeartMedia(以前はClear Channel Communicationsという社名で運営)が運営しているサービスであり、そのため同ラジオ局とのコラボレーションも多い。Spotifyのような厚い信頼はないかもしれないが、1億人以上のユーザーを有しており、アメリカでは影響力を持つサービスであると言える。

さらに、親会社がアメリカ国内最大のラジオ局であることから、SlackerやPandoraのような財務上の問題はないようだ。

  1. Spotify

Spotifyもビジネスにおいて様々な問題を抱えている。例えば、投資家の中には今年こそ利益を得ることができると主張している者もいるが、現在までのところ収益をあげていない。また、ミュージシャンや音楽レーベルの中にはSpotifyを好まない人々もいるようだ。さらに、株式公開が遅れるにつれ、投資家に借金する金額も膨れ上がっている。

しかし、Spotifyは有料サービス無料サービス共に、世界一大きな音楽ストリーミングサービスであり、世界中に5000万人ものユーザーを有している。さらに、たとえ音楽レーベルやアーティストがSpotifyの支払いに関して避難したとしても、ビッグネームのアーティストでない限り同サービスから完全に抜け出すことはできないとまでも言われているようだ。株式公開後に危機的状況に陥る可能性もあるが、現在までのところ規模が大きすぎて失敗しないと考えられている。

  1. Apple Music

正直、Apple MusicはSpotifyより多くのユーザーを獲得することはできないだろう。ローンチがSpotifyよりも4年も遅れているし、Spotifyは無料サービスも提供しているからだ。しかし、Spotifyがいかに強大かに関わらず、Apple Musicは2000万人もの有料会員を獲得することに成功しているというのもまた事実である。

さらに、Apple Musicは世界で最も収益を上げている企業の後ろ盾があり、将来iTunes Music Storeの代わりとしての地位を確立することが確実視されている。iTunes Music Storeの収益が低下するにつれ、AppleはApple Musicに尽力するようになるだろうと考えられている。

すでに市場から撤退したサービス

Rdio:Rdioは2015年にPandoraに買収され、新たなPandora Premiumの基盤となった。多くの人が好んでRdioを利用していたが、その撤退は予想できる者だったと言わざるを得ない。

Grooveshark:知的財産を盗むビジネスモデルを持っていたGroovesharkは、音楽ファンにとっては素晴らしいサービスであったが、ミュージシャンにとっては最悪のサービスであったと言わざるを得ない。OG Napsterですら、Groovesharkほど厚かましくはなかっただろう。同サービスは、訴訟を経て2015年に市場から撤退した。

Beats Music:Beats Musicは2014年1月にローンチし、音楽サービス自体は最高の出来であった。2014年5月にAppleが30億ドルでBeats Musicを買収し、それが2015年にはApple Musicの土台となった。

MOG:Beats MusicはApple Musicの前身であるが、Beats Musicの前身はMOGである。MOGが同じ名前でサービスを提供していた時代もあった(Spotify以前に似た様なサービスを提供していた)が、激しい競争に耐えきれず2012年に1200万ドルでBeatsに買収された。

Songza:人気は出なかったが、Songzaの精選されたプレイリストは多くの音楽ファンから人気を集めた。Googleは2014年に同サービスを買収し、2016年初頭に停止させた。Songzaで最も優れていたプレイリスト機能は、Google Play Musicで採用されている。

Last.fm(ストリーミング):Last.fmは音楽をストリーミングするのにうってつけのサービスであったが、親会社のCBSが2014年に同サービスを停止させた。人が聞く楽曲全てのレコードを作成するという意味を持つLast.fmのワード「scrobbling」は、まだ存在するようだ。

Milk Music:Samsungは2014年に音楽ストリーミングサービス業界に進出しようとし、Milk Musicという奇妙な名前のサービスをローンチした。しかし、同サービスは運営が厳しくなり、2016年9月に市場から撤退した。

GhostTunes:カントリー歌手Garth Brookは、iTunesを含めデジタル音楽を毛嫌いしていることで有名だ。しかし、BrooksもほとんどのChris Gainesの熱狂的なファンがCDを毛嫌いしていることに気づかざるを得なくなった。2014年、BrooksはiTunesの低俗版GhostTunesをローンチした。

驚くことに、同サービスはAmazonによって(Brooksの楽曲のデジタル配信権と共に)買収された2016年10月まで運営し続けた。

Sony Music Unlimited:Sonyは自社用の定額制ストリーミングサービスを運営している。Sony Music Unlimitedと呼ばれるこのサービスは、Spotifyがアメリカでローンチされた数ヶ月前である2011年の頭にアメリカでローンチされたが、多くのユーザーを獲得するには至らなかった。Sonyは2015年の頭に負けを認め、同サービスを市場から撤退させている。