なぜVineは死んだのか

【出典】2016/10/28

http://www.theverge.com/2016/10/28/13456208/why-vine-died-twitter-shutdown

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Vineが短い動画を作るインターネット上でのプレミアツールとなったのは、ほとんどまぐれのようなものであった。創立者たちは、6秒のクリップを作るためのツールを人々の何気ない日常の一コマを撮影し、そのシェアをサポートするための方法として心に描いていたからだ。報告によると、2012年に3000万ドルで同社を買収した買収したTwitterに持ち寄られた企画プレゼンの一つであったようだ。

しかし、アプリがローンチされる以前に、ユーザー達は6秒という制限された時間で想像力を活かすものを作り上げるチャレンジとして認めた。音声のあるGIFのような永遠にループをするVine動画の方が、なぜかクリエイティビティを刺激したのだ。「驚きました」とRus Yusupov氏とColin Kroll氏と共にVineを創立したDom Hofmann氏が述べた。「オリジナルのベータ版テストでは、10人か15人しかアプリを使っていませんでしたが、その時すでにその小さなグループでクリエイティビティをそそる動画が流行っていました」と。

ローンチから数週間後、Vineはおそらく創立者たちの思惑通り日常的なシェアツールとして使われないことが明確となり、逆により興味深い方法で文化的に使う人が多かった。「我々は、ローンチ直後にこれに気づきました。コミュニティとツールのいろいろな駆け引きを見る事が何よりも面白くて、Vine自体のカルチャーが想像力を掻き立てるものや実験的にチャレンジするものを優先することも分かりました」とHofmann氏が述べる。

しかし、木曜日にその実験も終わった。将来的に不明瞭な点が増加することを懸念してか、TwitterはVineのアプリを数カ月以内に閉鎖することを発表したのだ。既存のVineはウェブ上に残るが、多能性によって愛されたメディアフォーマットはなくなることになる。

元エグゼクティブのインタビューによると、VineはTwitterに対して戦略上な重要性より文化的なインパクトを優先させてきたようで、親会社から離れた後、ニューヨークの拠点でVineの少人数チームがユーザー数を増やしたり運営費を工面したりすることに苦労していたようだ。Vineが流行っていた時期もあったが、他の動画アプリの競合との争いについていけなくなったようだ。新しい機能を追加しないままユーザー数が減り、さらにTwitterの経営問題によって売却されるか閉鎖されることが確実となった。

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クリエイティブ上と金銭上でのVineの可能性をいち早く見出したのはIan Padgham氏であろう。彼は、2012年にTwitterのマーケティングチームの一員として、サービスの説明動画を担当していた(彼が作ったTwitterでの仕事を紹介した動画は、採用動画の世界で最も見られているそうだ)。TwitterがVineを買収した後、Padgham氏はマーケティングチームとミーティングを重ね、同ツールの可能性について日々考えていた。

Padgham氏が投稿した初Vine動画は、オフィスの窓からの簡単な低速度撮影だった。6秒という制限があったため、ストーリーテリングをいつもと違うように考えなければならなかった。「Microsoft Paintアプリのように最悪なアプリでしたが、少なくとも数多くの機能によって混乱するようなことはありませんでした」とPadgham氏は述べる。

Padgham氏は帰る前に毎日Vine動画を作り始めると、アプリの人気と目標のハードルが共に上がっていった。例えば、300枚の写真を丁寧にカットし3時間をかけて映画の先駆者Eadweard Muybridgeへ送るコンテンツを作ったり、ビッグベンの下で自分の手が時計の針を動かしているような500万回の再生数を稼ぎだした低速度撮影に手がけたりした。ソニーやAirbnbのようなブランドは、Padgham氏に依頼してVine動画の制作を依頼したおかげで、Vineがローンチした6ヶ月後にはTwitterの仕事を辞めフルタイムでVine動画を制作するようになった。

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2013年に前面のカメラで動画を撮ることを可能になったことによって、ユーザー数が急増した。若手スターたちも現れた。例えば、マジックトリックを披露するZach Kingは400万人もの登録者数と14億回の再生回数を達成した。また、Amanda Cernyも22億回再生回数を果たし、Logan Paulに至っては40億回もの再生回数を達成しただけでなく、20万ドルでVine専用のブランデッドコンテンツも作った。

2014年に動画プラットフォームが次世代のセレブを生み出していることに関して、The New YorkerはVineがその中心になると述べた。「Vineの永遠にループする機能と連動した一瞬の無情さは、時間を圧縮させたり引き延ばしたりすることができます」とTad Friend氏は述べる。アプリは数えられないほどのミームを生み出したが、今考えると2014年はVineのピークであったことは明確である。7Park Dataの調査結果によると、2014年8月の時点でAndroidユーザー全体の3.64%がVineアプリを開いたが、2016年にはその数が0.66%に減少したという(TwitterはVineの利用者数を発表したことがないが、ウェブ上で2億人と述べたことがある)。

元エグゼクティブによると、主な競合は2013年6月に15秒動画を導入したInstagramだった。「Instagram動画が、Vineがなくなる序章だった」というのだ。「Vineはこうした他のアプリから明確な差別化を図ることができなかった」と。より長い動画でInstagramはセレブを招くこともでき、投稿可能動画も60秒まで時間を引き延ばした(Vineは6秒の限定を今年まで破らなかったが、時間をひきのばしたからといってあまり人気を得らなかった)。その他にも、Instagramはセレブのアカウントを人気の「explore」タブでPRし始めたことによって、なかなか注目を集められなかったVineの問題を解消した。マーケターたちもVineから離れInstagramに集中し始めた結果、Vineのスターたちもプラットフォームを使わなくなっていったのだ。

また、10秒動画とライブストリーミングをシェアできるSnapchatは、Vineの創立者たちが思い描いていたような日常的なプラットフォームになった。他のプラットフォームが人気になった時、VineスターはVine動画制作にお金をもらう協議を始めた。しかし、この協議も思うように進まず、Washington Postが5月に出版した調査結果によると、最も登録者数のあるユーザーでも新しい動画をほとんど投稿していないようだ。

経営に関しては、Vineは決して安定した会社ではなかった。Hofmann氏が2014年に新たなスタートアップ企業を経営するために辞任し、Kroll氏も数ヶ月後辞任している。Vineのクリエイティブディレクターを務めたYusupov氏は去年Twitterに解雇されたようだ(彼は木曜日に「会社を売ってはいけない」とツイートした)。Jason Toff氏は2014年にVineを経営し始め、2年後GoogleでVRプロジェクトに取り組むために辞任した。Hannah Donovan氏は3月にゼレラルマネージャーに就任したが、会社をリードすることに対して未経験である彼女の就任はVineが終わる序章ではないかと社内で心配されているようだ。

エグゼクティブがこのように次々と変わったせいで、Vineが失敗に終わってしまったのかもしれない。Vineだけが人気だった頃は、ブランドが喜んでお金を払ってスターにVineを作ってもらうこともよくあった。しかし、SnapchatやInstagramのユーザー数が数億人に膨れ上がった途端、マーケターたちの関心はVineから離れた。マーケターたちはTwitterのプロモートされたツイートのようにVineでフォロワー数を稼ぐ手段を待ちわびていたのだが、Vineの創立者達が稼ぐ目的でVineを利用してもらうことに反対だったため、このような方法を提供しなかったようだ。昨年TwitterはSNSのタレントエージェンシーを買収し、タレントからも間接的に利益を得ようとしているが、ブランドとスターの取引から直接利益を得ようとしてはいないようだ。

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今年まで、Twitterのエグゼクティブはプラットフォーム上で様々な動画をどうやって統合できるかを考えていたそうだ。6月に、同社はVineをTwitterのアプリに加えることを検討していた。Vineの社員にとって、そのミーティングはTwitterがユーザーと同じようにVineをスタンドアローンアプリとして認めていないという明白な証拠となった。しかし、TwitterとVineの統合が一向に進まず、今年の夏にはすでにVineのエグゼクティブは会社を離れる機会を探り始めていた。New York Timesによると、Twitterは同アプリを売却しようとしたが買い手を見つけることができなかったようだ。

「Vineはいくつかの課題がありましたが、どの課題も原因は同じだと考えられます。それは、一貫性とリーダーシップがないことです」と2014年から今年5月までVineの編集部長を務めたAnkur Thakkar氏はこう述べる。Thakkar氏はVineで手がけたことに誇りを持っていると語ったが、一方で企業にリーダーがいなかったとも述べた。「リーダーが不在だったため、各プロジェクトチームに影響が出ました。Vineは1年間で新しい機能を一つも作ることができなかったのです」と。

Vineで人気を集めたスターたちは他のプラットフォームで活躍しつつあるが、6秒という制限がないため、前より想像力を使っていない批判もでてくるだろう。「Vineで一番大切なのはいつもアプリを使っていた人々でした」とHofmann氏は述べる。「それが唯一、他のアプリにはないところだったのです。そのため、大好きなクリエイターを他のプラットフォームでフォローすることができても、Vineでアップする動画と感じが全然違うこともよくあります。大好きなバンドが解散したような感じを受ける方もいるでしょう」と。