なぜマーケティング業界とテクノロジー業界は分離されているか そしてそれを変える方法

【出典】2016/10/26

http://www.adweek.com/news/technology/why-theres-major-disconnect-between-marketing-and-tech-worlds-174262

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「テクノロジーを活用する解決方法が魅力的かつ結果を残しているのは、昔ながらのやり方を壊してルールを一から変えていくからである」 — Getty Images

現在、広告業界のエコシステムはとても重要な局面を迎えている。業界には笑い事ではないという人もいるが、私がもし自ら現職をやめて一から振り出しになったとしても面白いと思うに違いない。

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広告テクノロジーのエコシステムによって、我々はテクノロジーが簡単なものだという錯覚を起こしている。ここでいうテクノロジーは、今の環境には切っても切り離せないデータを示している。スイッチのON/OFFのように「テクノロジーは簡単なものである」という仮説は、正社員の削減や(コストパフォーマンスの向上による)効率の向上によって裏付けられようとしている。確かにそういった事例もあるが、ほとんどのケースでこれは事実ではない。

テクノロジー業界は利益を得ることを優先に考えていないせいか、利益を得ることに不得手である。

ベートーヴェンの交響曲がメインのコンサートに招待されたとしよう。しかし、全てのヴァイオリンは美しく演奏しているのに、トロンボーンの吹き始めを指揮者が肩を叩いて合図しなければならない。それに加え、トロンボーン奏者はバッハの学校出身であり、ベートーヴェンの曲を同じレベルで演奏することができない。観客がチケットを買ってわざわざ見にくるのはベートーヴェンの交響曲は、当然完璧とは程遠いものだろう。

テクノロジー業界の野望に対する侮辱に取られるかもしれないが、多くの人がテクノロジー業界を「働いていない」メディアだと考えているようだ。「働いている」メディアというコンセプトもいまいちピンとこないが。

認めづらいが、これはまぎれもない事実である。テクノロジーがいかに生活を豊かにするか、またテクノロジーがいかに現実のプロセスを越えて生活を快適にしていくかかということを前面に出しすぎており、そのプロセスにおいてテクノロジーの扱いが難しいという事実はあまり話題にされないのだ。しかし、事実生活の一部を自動化するというのは難しいことであり、それを持続させるのはもっと難しいことなのである。

そして、この問題はマーケティング業界と広告業界の間に提示された技術的な解決方法に内包されているものなのだ。

マーケティング業界/広告業界とテクノロジー業界の間は、根本的かつ哲学的に異なっている。ほとんどのテクノロジー企業で商品を開発する時は、迅速に行動する。そして、その「迅速」という理念は、「商品は常に改善の余地がある」という信念から生まれている。だからこそ、私の所属する企業の製品開発部長が言うように、製品開発マネージャーは常に人々が思い描くような未来を見据えているのだ。

MVP(実用最小限の商品)というコンセプトは、広告業の中心といわれるマディソンアベニューではあまり理解されていない。開発やベータ版などから得られる分析結果は、セールスのプロセスや期待と本質的にそぐわないのだ。その差が小さくないと、ここで生じる問題も大きくなり、キャリアを台無しにする可能性もある。問題を解決することが、必ずしも目的や市場戦略になり得るとは限らないのだ。

注目と資本をめぐって、全く異なる企業理念を持つ二つの組織が競争している機会をよく目撃する。マーケターたちはリスクと不確定要素を減らし利益を最大化させなければならないというプレッシャーをかけられている一方、テクノロジーの会社は将来還元に繋がると信じて、リスクを冒し新しい市場や商品を生むことで、将来の可能性を最大化しようとしているのだ。

問題の一部として、どちらの側がどれだけ譲歩するのかを決めなければならないということが挙げられる。テクノロジーを活用した解決方法が魅力的で結果を残している理由は、昔からのやり方を壊してルールを一から変えているからである。しかし、この新しいテクノロジーを従来のやり方で使おうとしても上手くいかないのは明白であろう。

テクノロジーやデータについての業界誌や討論会は、嫌になるほど代理店の無能さや問題に行き着くための解決法について言及している。しかし、マーケターたちが何を成し遂げなければならないのか、どうやって他の部署にいる同僚が新しいアプローチを理解しそれに適応するのか、テクノロジーのもたらした変化によって企業が利益を得るためにどのようにして改革していけばいいのかついて言及している場はほとんどないと言ってもいいだろう。

重ねて言うが、テクノロジーは難しいものである。従来のエコシステムを継続すると同時にテクノロジーに関わることに成功した業界は見たことがない。つまり、とてもテクノロジーを改善して混乱しているか、古いシステムを使って安定しているかのどちらかであり、最新テクノロジーを使いつつ安定している業界というのはないのである。

このままではまずいだろう。今日のマーケティングは、テクノロジーやデータを使うことでコスト削減ができると信じられているために、経費削減に努めている。実行されてはいるが、これは組織のマーケティングへの関わり方も本質的に変えてしまっている。

我々は今日、代理店がプランニングをするために開発された消費者に関するデータセットに関して疑問を投げかけている。しかし、「消費行動やオフライン記録、そしてSNSでの他愛ない会話についてのマーケティングで活用されるデータが、研究開発、牽いては企業全体に影響を与えてもいいものなのだろうか」という質問の方がより本質的であるだろう。

マーケティング部門とその他の部門の間の距離は縮めることができる。そして、それはCMP(最高マーケティング責任者)がいつも聞かれる「マーケティング予算から得られる利益は?」という質問に答える手助けになるだろう。

もし、日々変化するテクノロジーの可能性を信じているのなら、その変化を組織全体で受け入れる必要があるだろう。変わらなければならないことと変わらなくてもいいことの境界線は妥協が許されるかもしれないが、それは日々変化するテクノロジーの可能性を否定することに繋がらないだろうか?

Arun Kumar氏は、プログラマティックに特化したIPG Mediabrandsの広告テクノロジーユニットCadreonの社長である。