ノスタルジアを使ってミレニアル世代のエンゲージメントを稼ぐというのは、現実的ではないのかもしれない ミレニアル世代、どこにいてもゾンビに追いかけられている

【出典】2016/10/26

http://adage.com/article/cmo-strategy/nostalgia-engage-millennials/306429/

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「The Walking Dead」の歩き回る死体ではないが、人気が薄れてしまった後にもう一度息を吹き込まれたコンテンツやブランド、製品をよく見かける。ゾンビより危険性は低いかもしれないが、ブランドは世代間を超えた流行りを作るためにミレニアル世代にノスタルジックな代物が流行るのかどうかを調査している。90年代に放送されたNickelodeonの番組リバイバルや80年代を舞台にしたNetflixのホラーヒット番組「Stranger Things」、長年愛され続けたクリスタルペプシ等、成功例は存在する。

しかし、マーケターたちによるノスタルジックなコンテンツは大成功を収める可能性を孕む一方で、ミレニアル世代が時代を振り返ることにうんざりしているという兆候も見受けられる。その代わりに、少しずつ前進することを熱望しているのだ。

ミレニアル世代が古き良きものに魅せられるのも驚きではない。ベビーブーマーたちが絶対に理解できないような膨大な学費ローン等、大人の世界に入った途端、現実に直面して悩みを抱えている人も多いかもしれない。最もストレスを抱えている世代だという明確な証拠があるのにもかかわらず、ミレニアル世代と聞くだけで「頑張って働かない」というレッテルを貼られてしまうのもまた事実である。実際、我々ミレニアル世代は社会の中で自分たちのスペースを明確にしたいと考えている。ノスタルジアは、世の中がもっとシンプルで自分の責任を明確に見抜くことができなかった時代を彷彿とさせるのである。

魔法で思い出を融合する

再始動、再編成、再放送で溢れている中、ブランドは過去に好きになったものの懐かしさをきっかけに、全盛期では決して得られなかった新しい価値を生み出すことに焦点を当てている。

私には、ポケモンのトレーディングカードブックを集め、ゲームボーイカラーの小さな画質の荒いスクリーンでポケモンをプレイしていたという鮮明な夏の思い出がある。その頃、我々はポケモンマスターとして世界を歩き回るという想像をしなければならなかった。それが、今となってはGPSと拡張現実という現代技術のおかげで、外に出て街角でポケモンを見つけることができる世の中になった。

ポケモンGoは、プレイヤーの行動範囲を家の中から地域にまで拡大させる上に、比較的孤独にプレイしなければならなかったゲームからポケモンマスターになるために同じクエストに挑戦している知らない人と交流しなければならない世界を構築した。

人の弱みにつけ込むことは致命的だと証明されるだろう

ブランドは、ノスタルジアを使うことで心の琴線に触れ、消費者と意味のある絆を築くことができるかもしれない。しかし、もし彼らがホームランを打たなければ、それは全くの失敗に終わり、消費者を虚ろな気分にさせるだけなのだ。

食文化をとっても、ミレニアル世代には特徴的な傾向が見られる。大半が健康オタクであるミレニアル世代は、ジャンクフードのドライブスルーから顔をそむけるようになり、Chipotleなどの健康にいい材料を使った簡単でカジュアルな選択肢を選ぶようになっている。若い家族は、子供達のためにさらに健康的な食事の方法を模索している。

マクドナルドは、最近メニューから人工的な材料を排除すると発表した。それにまつわるキャンペーンでは、若い父親と娘のそれぞれの純粋な子供時代を並行してみせるというあからさまに心に響くコンテンツを、テレビスポットを使って行っていた。

父親のエンディングも娘のエンディングも、純粋にハッピーセットの楽しむシーンで終わったが、娘の方だけおそらく健康的である。マクドナルドは象徴的な子供時代のご褒美ということは痛いほど理解しており、好みにうるさい親たちの需要も認識している。しかし、ミレニアル世代は彼らの子供の栄養のような重要なものに関して考える時に、陽気なギターの音色が鳴り響いているだけのようなコマーシャルには騙されないのだ。

このようなノスタルジックな気持ちを促す商品は、そのうちその目的や意義が疑われるようになり、ノスタルジアの魔法もすぐ解けてしまうのだ。

閃きやシンプルさで包み込む

ミレニアル世代と長い期間にわたって共鳴してきたブランドは、我々の個人的・専門的思考を理解しており、未来の不確実性へ備え、消費者中心に物事を考えている。技術は継続して不可欠なものであり続けるが、それは中心を取って代わるのではなく人間の繋がりを築くきっかけでなければならないのだ。

サンフランシスコに本拠地を置く金融会社SoFi(Social Financeの略)は、積極的に過去を振り返らず、学生ローンをなんとかできるよう協力している。SoFiは、借金がミレニアル世代にとって大きなストレスの要因であることを認識しており、個人の財務において予期される息がつまるほど恐ろしい経験をなくそうとしているのである。代わりに、スーパーボウルの広告へのデビューと共に、彼らは「銀行のない世界」を想像するように促してきたのである。それらは意欲的なメッセージやスタイリッシュな映像によって、キャリアコーチングといった専門会社から受けられるようなサービスを取り入れていることをミレニアル世代に伝えている。

ミレニアル世代がその場しのぎで昔懐かしい話を振り返っているという世の中が構築されている一方で、ブランドはミレニアル世代が価値を感じているものを正確に見分け判断する必要があるだろう。道を探している途中ポケストップで立ち止まっている我々を見ても責めないでほしい。