プライバシーの関心が高まると、フェイスブックはどうなるのだろうか?

【出典】2016/4/26

http://www.engadget.com/2016/04/26/facebook-original-sharing-drop/

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世界におけるフェイスブックの役割が変化していることは知っていたが、11世紀に建てられた教会のすきま風が入るような席に座っている間に顕著になるとは思ってもいなかった。それは今月初めの結婚式に出席している時のことである。「RogerとStephanieからのお願いです。本日の披露宴にまつわる写真やコメントの投稿は絶対におやめください」という数年前では間違いなく不思議がられていた様な注意書きがあったのだ。この特別な日を進んで世界に発信したいというのではなく、その真逆の行動に出たのだ。フェイスブックはなんでも投稿できることで知られるが、今はそれよりもプライバシーを重要視する人々が増えてきているのである。

フェイスブックは、「オリジナル・シェアリング」と呼ばれる人々の生活から生まれる個人的な投稿にこういった動きが出てきたことで、危機的状況にあると噂されている。この「オリジナル・シェアリング」には自撮り画像や覚えたての芸を披露する子犬の動画等が含まれるが、The Informationが今月初めに発行した調査報告では、近年こういった投稿が減少しているのだ。この調査報告書によると、オリジナル・シェアリングの件数は昨年から21%も減少しているらしい。

フェイスブックに尋ねてみると、スポークスパーソンが「多くの人々が引き続きフェイスブックでシェアしています。過去と比較して特に見劣りする部分はございません」とコメントした。しかし、人々がシェアする回数が同じだからといって、内容までこれまでと同じであるとは限らないだろう。昔は多かった何も検閲されていない投稿が今では少なくなってきているのだ。こうして、John Oliverの動画を見るのと同じくらい友人の投稿から動向を追っていたのだ。この友人の動向を知りたいという興味が、フェイスブックをここまで巨大にさせたと言っても過言ではないことからすると、そういった投稿が減り興味が失せてきているというのはフェイスブックにとってかなりの問題である。

同じくフェイスブックに結婚式の情報をあげないよう呼びかけたフェイスブックユーザーのSidney Macdonald氏は、SNSに投稿して欲しくない理由として、入場シーンで携帯を片手に写真を撮っている人ばかりを見たくなかったということと、そういった結婚式に関する投稿が彼らに向けられていないような気持ちになったことの二つ挙げた。これは、フェイスブックが成功してしまったがために生まれた問題である。公共の場とプライベートの境界をわかりにくくしたことで、フェイスブックは人々の警戒心を高めてしまったのだ。

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10年前はこのような問題はなかった。公開される投稿や画像をそこまで気にしていなかったのだ。Jeriもその一人であり、大学在学中はHuman Buckarooと呼ばれるパーティゲームの犠牲者になった時の写真等が公開されていたが、仕事を始め同僚とフェイスブック上でも繋がった時、自分が調理器具にまみれて寝ている写真が社内で出回っていることに気づき、アカウントを削除したようだ。

フェイスブックがローンチされた時、泥酔した写真や若気のいたりで撮ったような写真をオンライン上に投稿することが当たり前であった。こういった現象は急速に拡大していった。しかし、それも前述のJeriの同僚で彼女の写真を出回らせた張本人であるDicksやEdward Snowden氏の政府が過度に人々の投稿を監視しているという発言によって、プライバシーが重要視されるようになってきたのだ。さらに、アメリカ国家安全保証局(NSA)の職員がプライベートメッセージ上でやりとりされていた女性のヌード写真を盗みオフィス中でシェアしたという悪質な事件も起きたことにより、人々の警戒心はさらに高まっていった。

フェイスブックユーザーのDave McGeadyは、フェイスブックが全員を繋げようとしていることが、この思想を生み出したと述べる。つまり、昔は「落書きの場」とみなされていたこのサイトが今では誰でも見ることができる公共の場としてみなされるようになったのだ。人の誹謗中傷をこういった場で公開する人を擁護するつもりはないが、際どい冗談などが通じない場合もあるということをしっかり自覚しなければならないだろう。こういった自覚のなさが結果的に精神的ダメージを与えることだってあるのだ。

筆者は31歳であるので、ミレニアル世代と呼ぶには歳を取りすぎているが、筆者の世代でもフェイスブックから悪影響を及ぼされた人はいるようだ。25歳のSamは、その年齢からソーシャルメディア上で広告主からターゲットにされやすい。しかし、「高校時代や大学時代のように、毎週熱狂できるようなことが起きるわけではない」という理由でフェイスブックを積極的に閲覧することをやめたそうだ。また、ミュースフィードやシェアする気が無くてもシェアされてしまう広告リンクなどにより、サイトが面白みのないものになってきていることも指摘した。

ファッションブロガーのJennifer Rosellen氏も、フェイスブックのニュースフィードのアルゴリズムにおいて時系列で投稿が並んでいないのはおかしいと述べる。こうしたキュレーションは「大抵容量を得ておらず、投稿してもニュースフィードに埋もれてしまうので何の意味もない」ようだ。さらに、まだミレニアル世代であり55歳の両親も未だフェイスブックを使用しているのにもかかわらず、フェイスブックを利用するには歳を取りすぎていると感じているらしい。これは、両親や祖父母がいるバーに行きたいと思わないのと同じ発想だろうか。

18歳から30歳の層がフェイスブックよりもSnapchatに興味を持ち始めている。調査会社Piper Jaffrayは、10代の男女6500人を調査し、オンライン上で集いたくなる場所ランキングの第4位にランクインし、SnapchatやInstagram、Twitterよりも低い結果となった。InstagramやWhatsAppを200億ドルで買収することで以前は王座を勝ち得ていたフェイスブックも、今やミレニアル世代から一番人気のSnapchatに30億ドルの買収計画を断られている。

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こういったフェイスブック以外のSNSがフェイスブックには提供できないようなサービスを提供するということがとても重要であり、これこそSnapchatがミレニアル世代に一番人気の秘訣である。両親に見えないところで趣味を語りたいのであれば、フェイスブック以外のSNSを使うべきだろう。15歳のIshan HaqueはBusiness Insiderに「家族のことか自分がよく見えること」以外はフェイスブックに投稿しないと述べる。一方で、Snapchatでは数秒で消えることをいいことに薬でハイになった様子などを投稿している。また、自分の子孫にまで残ってしまうものや友人関係が壊れてしまうようなものに関しては、警告してくれるのだ。

公開される場とプライベートな場の境界線が曖昧になっていることに関して、多くの人が憤りを感じている。Sheryl Sandbergの「本当の自分にならなければ、フェイスブック上にいることはできない」といコメントは、全くもって的を得ていない。公共の場や社会的な場では一番自分が良いと思う態度をとるにきまっているからだ。Engadgetは以前、実際の生活とソーシャルメディアを切り離したいと考える人が多かったという調査をしているが、フェイスブックにこれは通用しない。何せ、フェイスブックは、誰のどのような情報でもわかる公共の場としてただ一つのソーシャルネットワークになろうとしているのだ。