ブランドから出版社への怒り:広告視聴率に確証が持てなければ広告は買わない

Kellogg、広告視聴率における検証問題の末YouTube上の広告購入を中止

【出典】2015/5/26

http://adage.com/article/digital/brands-check-publishers-ad-viewability-math/298746/Untitled

YouTubeは91%の広告視聴率を誇るが、ブランド企業にはその検証過程を公開しないらしい。

5 月の初めに、グーグルはYouTube上で流れる動画広告の91%が視聴されている可能性があると発表した。YouTube以外のグーグルが管理する動画広告の46%は視聴される可能性がないことに比べるとこれは素晴らしい結果であるといえよう。しかし、広告主はグーグルや他サイトがどのような計算を経てその数字に至ったのかが知りたいのだという。

Kellogg等の人気ブランドは、グーグルの所有するYouTubeやフェイスブック等の大手サイトから退き始めている。各ブランドの広告における視聴率を測る第三者の介入をこれらの大手サイトは許可しないからだ。

購入している広告の大半が見られていないことに気づき始めたマーケターにとって、広告視聴率は主な関心事になってきた。2014年の12月に、グーグルはウェブ上全てのバナー広告の内56%が一切見られていないと発表した。この結果を踏まえ、GroupMやUnilever等の会社は、サイトに対して100%見られる確率のある広告のみを請求するという方針に切り替えた。

視聴率100%が実現可能かという疑念はあるものの、多くのマーケターはせめて視聴率を測る独立企業を雇う権利くらいは与えるべきだと考えている。また各ブランドが他のサイトにおける広告の視聴率を同一条件で比べることができないとおかしいとも考えているようだ。

「第三者による結果の再確認は正確な視聴率を測るためには必要不可欠である。サイトの大半はそれに同意している中、同意していないサイトはこれによって大きく影響され、広告を外される恐れもあるだろう」とGroupMの最高投資責任者を務めるRino Scanzoni氏はメールでコメントを残した。

YouTubeやフェイスブック等のサイトはもう既に影響を受けているようだ。

3月にフロリダのハリウッドで行われたAssociation of National Advertisers Media Leadership 会議でのデジタル広告の不正問題に関する質疑応答にて、North Americaの上級支配人を務めるJim Kiszka氏は、グーグルが第三者の視聴率測定を許可しないため、Kellogg Co.がYouTubeから広告枠を買わない決定を下したと述べた。

「自分の投資を自分で測定したい、また測定を許されなかった場合投資を正当化しにくいという我々の方針を明確に伝えた」とKelloggのグローバルインサイトと分析解明センター長を務めるAaron Fetters氏は先日行われたインタビューでこう述べた。

Fetters氏はKelloggが視聴率の検証問題でサイトから撤退した実例を挙げることを拒んだが、HuluやYahooが第三者の視聴率検証の許可を積極的に進めているということは明らかにした。

Kraft Foods Groupも第三者の視聴率検証を許可しない複数のサイトから広告を買うことを中止したと、同社のメディア・データ・CRMの副主任を務めるBob Rupczynski氏は打ち明けた。「自社で測定でき、期待値の把握できるサイトにしかお金を使わない」と彼は付け加えた。Rupczunski氏はKraftがどのサイトから手を引いたかまでは言わなかったが、打ち明けるほどの大手ではないことも重ねて明らかにした。「我々は平等に全てのサイトを天秤にかける」と。

Ad Ageの米国内広告購入額ランキングのトップ100に入る、ある主要マーケターはフェイスブックの広告の購入を減らしたという。その主な要因として、フェイスブックが独立企業による視聴率検証を許可しないことが挙げられる。この分野に詳しいある情報源によると、同マーケターは視聴率検証を許可しないサイトから数千万ドルもの経費を削減し、許可するサイトに回すのだという。

第三者による視聴率検証だけが問題な訳ではない。広告主にとってそれ以上に大切なことは、サイトはそれぞれの広告視聴率検証の方法があるのに対し、第三者機関は一つの方法で多数の出版社の広告視聴率を検証できるという利点もあるのだ。これにより、広告主はより正確な広告の視聴率を知る事ができ、適切な予算を割り当てることができるのだ。

「サイトが嘘をついていると疑っている訳ではないが、どのように視聴率を測っているのかが分からないのだ。また、独自の方法で測定していて我々が他のサイトとの結果を比較することができないということも難点である。全てのサイトを同一条件で比較できなければ、意味がないのだ」とRupczynski氏は述べた。

しかし、The Wall Street Journalが確認した情報によると、視聴率を測る独立企業でさえも異なった測定方法を使用する可能性があるため、それも事態を複雑化させる一つの要因であるらしい。それでもマーケターはこの問題が解決するまで傍観姿勢をとる訳にはいかないという。

「広告主らがこのまま長期に渡り公平な視聴率を測るサービスを求め続ければ、いずれ手に入るだろう」とPivotal Research GroupのアナリストであるBrian Wieser氏は述べた。サイトが何の根拠もなく広告が視聴されたと証明できるはずは無いため、多くの広告主はサイトの提供する視聴率統計で満足であろうとも付け加えた。

「マーケターとして我々が望むのは一貫性のある投資のものさしである。現時点では、未だそれを成し遂げることができていない」とFetters氏は話した。

グーグルとフェイスブックはこの視聴率に関する議論から完全に離れている訳ではない。前述の通り、グーグルはウェブ上とYouTube上の広告に関する視聴率の統計を発表したのだ。その上グーグルの提供するActive View といった、各ブランドが購入し、広告視聴の印象を測定することのできる商品も存在する。

フェイスブックもこの動きに加わっている。同社は昨年、MRCの「5割の広告が最低一秒でも視聴された」といった標準規範には入りきらなかったものの、フェイスブック上の広告に対し視聴最低条件を設けたことを明らかにした。現在ではフェイスブックの利益の大半を占めるモバイル広告の視聴基準を定め、MRCに認められるよう努力しているという。

しかし、広告主に独自でウェブ上の広告視聴率の検証を許可していないことは、グーグルとフェイスブックにとって大きな難題となっている。ヤフーやAOL, eBay, Hulu, Fox, NBC, ABC, CBS, Turner, The New York Times, そしてThe Wall Street Journalは皆第三者による視聴率検証を支持しているのだ。

この行き詰まりには、いくつかの理由がある。いくつかのサイトは、ページのロード時間が長くなることに抵抗を見せているという。第三者の企業が広告の視聴率を監視するためにウェブサイト上に埋め込まなければならないコードがサイトを遅くしてしまうのだ。これはWifiより弱いシグナルを使用するスマートフォンにとっては特に問題である。それにグーグルとフェイスブックは自らのデータに関してとても保護的であり、厳重な対策の元でしか外部の企業によるデータ検証を許さないという社会的に見て良い評判に基づくものだとも言える。

「広告主が視聴率を気にするのは当然のことである。だからこそ、我々はこの業界が行ってきた努力を支持し、Active ViewというMRC公認のテクノロジーを開発し、その測定された視聴率を元に私達の商品を購入することができるように専念してきたのだ。我々のパートナーは視聴率測定を中心とした活動を受け入れてもらっており、今後彼らの測定要望に応えるべく共に協力して解決していこうと考えている」とグーグルの女性代理人はメールでコメントを残した。

「我々は広告主が利益を得ることに全力をあげている。彼らにとって価値のないものにお金を費やしてほしいとは思わない。だからこそ、単に提供された広告ではなく視聴された広告の手応えを基にデスクトップ、モバイル上の広告視聴率の測定を行っているのだ。さらに、マーケターにこの数値が正しいことを証明するため、MRCに公認されるようにも努めている。増々モバイル中心となってきたプラットフォームにとって、第三者の検証は消費者のサイトスピードを減速させ、視聴率を一貫して検証できるとは限らないのだ」と。

全てのマーケターが、視聴率の検証に対しこのような強硬な姿勢をとっている訳ではない。例えば、Wendy’sは広告を何人が視聴したか確認することができないのにも関わらず、グーグルから広告枠を購入し続けているという。

「測定は数を重ねるほど効果が上がる。第三者による測定が一番ではあるが、それよりも我々はグーグルに広告を出す価値を考え、彼らの広告を購入することに何の心配もしていない」とWendy’sのデジタル/ソーシャルメディア副主任を務めるBrandon Rhoten氏はメールでコメントした。