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興行収入が伸び悩むアマゾンスタジオ、エグゼクティブは解決に励む

【出典】6/26/2019

https://www.hollywoodreporter.com/news/amazon-studios-film-division-tumult-string-box-office-flops-1220968

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ジェニファー・サルク氏の事業改善策をよそに、アマゾンスタジオの映画制作部は未だヒット作を出せずにいる。

業界ベテランでありアマゾンスタジオのマーケティング・配給チーフのボブ・バーニー氏の退職、またスタジオ制作映画『Late Night』の収益低迷などから、2017年後半以降に映画館で公開された映画10作品の収入に同スタジオがもがいている様子がわかる。テレビ業界の熟達者だが映画ビジネスの経験が少ないサルケ氏が2018年前半にアマゾンスタジオのヘッドに就任以降、最初の作品である『Late Night』は、6月頭に公開されるも興収が1100万ドルにも届いておらず、期待に反する結果となっている。ミンディ・カリングが脚本を担当、エマ・トンプソンと主演を務めるこのコメディ映画は、今年のサンダンス映画祭にて、サルク氏が歴代最高額の1300万ドルで米国配給権を獲得した。

ハリウッドでは、映画の興行収入が伸びない場合マーケティングが非難されることが慣習化している。しかし、あるソースによると、実のところはサルク氏が製作ヘッドのTed Hope氏とJulie Rapaport氏をアマゾンスタジオ映画部のヘッドに昇格させる数ヶ月前からBerney氏は席を外されていたそうだ。Matt Newman氏を加え、映画部のヘッドとなる3人は映画部前チーフでサルケ氏就任後スタジオを去ったJason Ropell氏の席を埋めることとなる。

サルケ氏と3人のヘッドは、2019年サンダンス国際映画祭で歴代最高額の4700万ドルで映画5作品の買収契約を締結した。その契約によって、8月公開の『Brittany Runs a Marathon』とドキュメンタリー映画『One Child Nation』の海外配給権を1400万ドルで取得した。『Late Night』の契約内容は全米公開であったが、結果ハイリスクなものとなった。

大人向けインディー映画の全米公開は、特に夏の期間は厳しいものとなるだろう。アマゾンは、過去にオスカーノミニーの『マンチェスター・バイ・ザ・シー』や『ビッグ・シック』で成功を飾るも、収入の伸びはゆっくりであった。また、この2作は他社が配給を担当した。

内部の者によると、アマゾンは『Late Night』のマーケティングに3500万ドルを費やしたという。6月の全米公開作品としては比較的少なめであり、公開前の映画の認知度の低さにも関わらずスタジオ上層部はマーケティング予算の追加を行わなかった。

バーニー氏とサルク氏の間にイザコザがあった訳ではないようだ。「衝突はなかったが、2人は業界内でも全く違うエリアからスタジオに参加した。バーニー氏はインディー、サルク氏は企業的。2人は決して親しくなることはなかった。」と、あるソースは話す。

アマゾンはコメントを拒否、バーニー氏とは連絡がつかなかったが、同氏の友人によると、4年契約の期限が切れ自らスタジオを去る決断をしたという。

スタジオ役員の再編成は現在進行中であり、時間のかかる作業だとアマゾン内のソースは言う。また、映画は映画館での公開終了後も、アマゾンプライムという次の舞台が待っている。それでもやはり、バーニー氏がスタジオを離れた翌日、同社では悲観的なムードが漂っていたそうだ。

サルク氏が大々的な公開戦略の転向を検討する中、アマゾンは既にバーニー氏の後任を探し始めている。アワードシーズンが近づく今、多数の公開予定作品を抱える同スタジオの最優先は、後任を見つけることだ。サルク氏はサンダンス映画祭後、数作品は限定公開のみの予定り、また劇場公開をしない作品もあると発表した。ジェイソン・ブラムとニコール・キッドマンのBlossom Films製作作品や、カンヌ国際映画祭で獲得されたジョセフ・ゴードン・レヴィットの「7500」などは、劇場公開の予定がない。

その反面、『Late Night』のように、近日公開のシャイア・ラブーフ主演映画『Honey Boy』は劇場公開予定である。『Honey Boy』もサンダンスでアマゾンが獲得した作品だ。9月公開予定のアダム・ドライバーとアネット・ベニング出演のスリラー映画『The Report』も同様。『The Report』は限定の映画館でのみ数週間公開され、その後アマゾンプライムで配信される。『Brittany Runs a Marathon』は8月23日に劇場公開予定だ。

アマゾンスタジオによる自社製作作品の実績にはムラがある。スタジオ初の自主配給絵作品は、ウディ・アレン監督の高予算映画『Wonder Wheel』であった。アレン氏との契約は、当時のスタジオヘッドであり、セクハラ問題で解雇されたロイ・プリンス氏によって行われ、同作の国内興行収入は2017年末にたった140万ドルで終わった。その他の自社制作作品も同様の結果で、『Peterloo』は152,000ドル、『Beautiful Boy』は760万ドルに終わった。

ウォール・ストリート誌のアナリストによると、アマゾンプライムのコンテンツ製作にかける費用は非常に少ないそうだ。それよりも重要なのはコンテンツ製作によりアマゾンと映画製作者やタレントとの関係を築くことである。フィナンシャルサービスのWedbush SecuritiesのMichael Pachter氏は、「興行収入は重要でない。アマゾンプライムの登録者は、映画を見るためでなく、配送料無料のために加入しているのだから。」と話す。

今日までに、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』がアマゾンの最大興行収入作品であり、国内収入は4760万ドル。続いて『ビッグ・シック』が国内収入4290万ドルで2位。過去に自習配給された10作品では、『レイト・ナイト』が1070万ドルで1位、『Beautiful Boy』が760万ドル、『Cold War』が460万ドル、『Life Itself』が410万ドル、『You Were Never Rreally Here』が250万ドルとなっている。

アマゾンスタジオのヘッド就任以前、バーニー氏は多数の企業での経験を経たのち、メル・ギブソン監督作品『パッション』の配給により業界に名を馳せた。その後、ワーナー・ブラザースが運営するインディー映画配給会社のPicturehouseのヘッドに就き、続いてFilmDistrict社に移った。

『トイ・ストーリ−4』のブランドタイアップ

【出典】6/20/2019

https://www.thedrum.com/news/2019/06/20/which-brands-are-playing-with-toy-story-4

 

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ピクサーの大人気シリーズ『トイ・ストーリ−』のファンは6月21日に公開される期待のシリーズ4作目を待ちわびていることだろう。映画批評サイトRotten Tomatosでは、他アニメーション作品と驚異の差をつける評価を得ており、様々なセクターのブランドがこの人気に乗り込もうとしている。

第1作目の公開から23年が経つ今、トイ・ストーリーシリーズは世代を超える人気を誇る。風変わりな愛すべきキャラクターたち、多くの文化的レファレンス、そして心温まるストーリーが大勢の人々の心を掴んできた。同時に、新作の公開毎にアニメーションのスタンダードをあげる作品である。この記事では、ディズニーのブランドパートナーシップキャンペーンの中でも優れたトイ・ストーリー4の企画を紹介する。

eBay

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動画リンク: https://youtu.be/WcdJOdsy69Q

オンライン市場eBayは、イギリスのYouTuber LadBabyにチャレンジを仕掛ける。子供のチャリティーに募金するためバズ・ライトイヤーのおもちゃをeBayで売ってお金を調達する、という内容だ。そこでLadBaby (本名Mark Ian Hoyle)は妻と3歳の息子の協力を得て、バズの人形を上空5万4千フィートまで飛ばした。

バズは成層圏にたどり着いたのち、地上へ戻りeBayでオークションにかけられ、その売り上げ全額が子供ホスピスチャリティーに寄付される。

クライスラー

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動画リンク: https://youtu.be/wPJiTt31f0A

クライスラーは映画のキャラクターを起用したCMを放送した。クライスラー パシフィカ内に置き去りにされたおもちゃ達は、揃って車内で遊び始め、ダンスパーティーが始まる。ウッディがラジオをかけ、ボー・ピープがビートボックスを始めれば、バズや仲間達が自由自在に移動可能のシートを動かしダンスフロアが完成する。

GoRVing

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動画リンク:https://youtu.be/TJD3wAe3CLw

GoRVingはRV旅行のプロモーションとして、『トイ・ストーリー4』内でボニーが家族とRVで出かけるシーンを用いたCMを制作。トイ・ストーリーのデザインが施されたRVがアメリカの20都市を回り、ファンは写真を撮ったり懸賞の当たるゲームに参加することができる。

ベビーベル

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動画リンク: https://youtu.be/8-cVdryhC4s

チーズブランド ベビーベルはトイ・ストーリー4限定パッケージを販売し、その購入者は抽選で映画のグッズが当たるキャンペーンを実施している。またフランス、ドイツ、スイス、オーストリア、ベルギー、そしてイタリアのファンに向けて、同ブランドはフロリダのディズニーワールドにあるトイ・ストーリーランドへの旅が当たるキャペーンも実施中だ。

マクドナルド

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動画リンク: https://youtu.be/A9G1gZEj8_4

マクドナルドはディズニー並びにピクサーとコラボし、店舗で映画の体験をファンに届ける。ハッピー・セットのおもちゃに、トイ・ストーリーのキャラクター10種類が登場。おもちゃを集めると、映画に登場するマジカルカーニバルを作り上げることができる。

アラスカ航空

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動画リンク: https://youtu.be/UXkc6C35HjU

アラスカ航空はトイ・ストーリー4のデザインが施された機体を公開。このディズニー・ピクサーと同航空会社の提携では、限定デザインの機体の乗客に対しゲートで特別な体験が待っており、また機内で映画館チェーン シネマークのメンバーシップに登録すれば初月が無料になるキャンペーンも実施中だ。

映画レビューサイトRotten Tomatoesチケット購入の確認手続を導入

【出典】2019/05/27

https://techcrunch.com/2019/05/23/rotten-tomatoes-verified-audience-score/

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映画レビューサイトRotten Tomatoesが、レビュー投稿前にレビュー投稿者が作品を視聴したか否かを確認する仕組みを導入する。今回は、評論家のレビューであるTomatometerとは違い、映画リリース前に未鑑賞の映画に対して悪評価を与えるユーザー対策向けだ。

今年の初めには映画リリース前のコメント投稿を禁止する事が発表されたが、議論を遅らせただけの印象だ。仮に鑑賞していない作品の批評をしたければ、時間を置く必要があった。

Rotten Tomatoesは、過去にチケットサービスFandagoに買収されており、今後新作映画のレビュー投稿にはFandangoでチケットを購入したことを証明しなくてはならない。

認証なしでの投稿は現時点でも可能だが認証済みのレビューにはマークが付与され、作品のオーディエンス・スコアには認証済みレビューのみが反映される。

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Fandangoでの評価システムはRotten Tomatoesのオーディエンス・スコアと入れ替えられる予定で、鑑賞後にチケット購入者に対してレビューを促す新サービスもリリースされる。

Fandangoのプロダクト責任者であるGreg Ferris氏は、今回の取り組みに期待を膨らませる。

「Fandangoの流通規模も手伝って、一刻でも早く認証済み評価が閲覧できることを望んでいる。また、今年の末には劇場でも視聴済みかどうかの認証ができるよう、AMC Theatres/Regal/Cinemark Theatresとも提携済みだ。」

チケット以外にもストリーミングサービスやテレビで視聴した場合の承認方法も検討中とのこと。更に、現行の仕組みでは1度の購入につき1つのレビューのみを認証済み扱いとしているが、グループで複数枚購入の場合は、複数のレビュー投稿ができる仕組みにすることを考えていると言う。

カンヌ・フィルム・マーケットの参加者数が過去最高に

【出典】2019/05/25

https://variety.com/2019/biz/global/cannes-market-record-visitor-numbers-1203225930/

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2019年5月14日〜5月25日に開催されたカンヌ国際映画の商業部門にあたるカンヌ・フィルム・マーケットに12,527人が来場し、来場者数記録を更新した。

国別での来場者数を見ると、アメリカが最大の2,264人。次いで、フランス1,943人、イギリス1,145人の順となっている。

ヨーロッパ圏からは前年比4%増の7,076人が来場した。アフリカ圏からの来場者数が22%増で175人が買い付けに参加。カメルーン、エチオピア、スーダン、タンザニアからの来場者は今回が初となる。カンヌ・フィルム・マーケットでは、96カ国/56のパビリオンが設けられエクアドル,ポーランド,アフリカやシルクロード周辺の国が初参加。

857本と693本のプレミア上映が行われ、合計で1,464本が上映。主催者によると2,768本の配給権が売り出され、その内ドキュメンタリー作品は332本。カンヌXRでは52本がセレクションされ累計で4,741人が鑑賞。

参加者同士で連絡が取り合えるアプリが用意されており、1,623人により49,000メッセージがやり取りされ500以上のミーティングが開催された

ソニーがプレイステーションのゲームを映画やTVドラマにすべくスタジオを設立

【出典】 2019/05/20

https://www.complex.com/pop-culture/2019/05/sony-to-turn-playstation-games-into-movies-and-shows

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度重なるゲームの映画化の失敗に、ソニーがついに歯止めを打つ。Hollywood Reporterによると、ソニーがPlayStation Productionsと呼ばれる自社スタジオを設立し、25年分のゲームの数々のTVドラマ化や映画化に乗り出す。さらに、Hollywood Reporterはこのスタジオはすでに設立・運営されており、カリフォルニア州カルバーシティーのソニー所有地にて第1作目となるプロジェクトに取り掛かっていると報じている。

「我々には25年に及ぶゲーム開発の経験があり、素晴らしい作品、フランチャイズ、物語を生み出してきた。」と、Sony Interactive EntertainmentのWorldwide Studios社長Shawn Layden氏は語る。「今こそがストリーミング配信や映画、ドラマといった他のメディアを考慮すべき良きタイミングだと感じている。」

ソニーは100以上もの作品を所有しており、SF、ホラー、カーレースといった様々なジャンルを手がけている。もしうまく選択すれば、確かなポテンシャルがあると考えられるだろう。特に、ビデオゲームとそれに従うファンの存在は彼らの武器だ。ソニーはよく分かっている。

「我々の所有するIPを他のスタジオにライセンシングするのではなく、自社で開発し制作する方が良いアプローチ方法であると感じた。」と、Playstation Productions部門ヘッドのAsad Qizilbash氏は語る。「まず、我々の方が作品に対し馴染み深いということ、そしてPlayStationファンは何が好きかということを理解していることが理由として挙げられる。」

ソニーはそれに加えて、姉妹会社のソニー・ピクチャーズを抱えていることに利点がある。これによって、ソニー・ピクチャーズは配給を行い、PlayStation Productionsはライセンシングすることなく制作を行うことができる。

「この1年半で、我々は業界、脚本家、監督、プロデューサーの理解に時間を費やしてきた。」とQizilbash氏は語る。「業界に関する理解を深めるため、映画プロデューサーのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラやケビン・ファイギとも話した。」

Layden氏はさらに、マーベルのコミックからスクリーンへの移行に影響を受けており、多少言葉を濁しつつも「マーベルの軌跡を追っていると言うのは、非常に高い目標となる。」と話した。また、ハリウッドはここ数年で変化しており、昨今のフィルムメイカーはゲームがメインストリームとなる時代に到達している。そして、このことが野心的なプロジェクトに挑戦する完璧なタイミングにしているとも話した。

「ゲームが映画化された昔の作品を見てみるとわかるが、脚本家や監督はそのゲームの世界観を理解していない。」と、Layden氏は語る。「本当の挑戦というのは、80分のプレイ時間をどのように映画にするか、というところにある。答えは、しないことだ。やるべきことは、明確に原作から脚本に落としたその精神を映画の観客へ届けることだ。ゲームをそのまま映画にして同じことを伝えようとしてはいけない。」

映画/TVドラマは、何年も待ち続けたゲームのプレイを終え、続編までにまた数年待たなければならない現実からやってきたファンに居場所を与えると、Layden氏は語る。

「我々のフランチャイズにもっと接することができる機会を、ゲームのファンたちに作ってあげたいと考えている。」と語った。「40〜50時間のプレイを終えると、ファンは大好きなキャラクターが成長する姿を見るまでに3年〜4年は待たなければならない。」

どの作品が映画になり、どの作品がTVドラマになるのかについては、どの作品が最も適切なIPかという点で現在検討中だ。また、会社としては脚本家されたプロジェクトについて、公開を急ぐつもりはないという。原作に従った作品にするために、十分な時間を与える姿勢だ。

「我々は適切な監督、役者、脚本家をマネジメント、コントロールするためにこのエンティティを設立した。」と、Qizilbash氏は話す。

日本映画の新時代が始まる

【出典】2019/05/15

https://variety.com/2019/film/global/cannes-japan-toho-studio-ghibli-1203215689/

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日本で新時代を迎えるにつれて国内映画産業は復興の道を辿っているものの、長期にわたる衰退を経てデジタル時代は新たな課題を抱えている。4月30日の明仁天皇の退位により、日本は新時代を迎えた。1989年の明仁様の即位により平成が始まり、2019年5月1日に明仁様のご子息徳にあたる仁様の即位で令和の時代が開始した。

日本最古の映画雑誌キネマ旬報で平成と昭和(1926-1989)の日本映画を振り返る特集が組まれた。1960年代初頭に始まるテレビブームをきっかけに、1989年に日本の映画産業は長期衰退を迎えていた。1957年には戦後最大の10億9,900万人の年間入場者数を記録したが1989年には1億4,350万人まで下落した。そして日本映画製作者連盟によると国内映画のシェアは1970年の78.3%から46.6%へと下降。

平成初期の映画産業は、復興よりも衰退が呼称として適当であったが、人気アニメに夢中になった子供を除き多くの子供がハリウッド作品に夢中となった。予算は限られ、日本の商業映画は苦しい状況に陥った。

30年という年月でどのような変化がもたらされたのだろうか。2018年には入場者数が1億6,900万人まで伸長。日本映画は55%のマーケットシェアを獲得しており、11年連続で海外の競合を打ち破っている。また、新作映画が613本公開され、スクリーン数は3,561スクリーンまで増加。1989年の公開本数は255本、スクリーン数は1,912スクリーンであった。今年の国内興行収入ランキングでは『映画ドラえもん のび太の月面探査機』『マスカレード・ホテル』『名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)』などの国内映画が上位を占めており、ハリウッド映画への対抗心を燃やす。

ベテラン・アナリストオオタカヒロオ氏は、日本映画の復興についてこう解説する。

「1993年のシネマ・コンプレックスが復興の鍵となった。映画館という言葉がシネマコンプレックスを意味する時代に我々は生きている。」

現行の多種多様の映画が公開されているシステムはファンの熱い支持、特に若年層の心を掴んだとオオタカ氏は指摘する。また、日本の映画スタジオが系列のシアターチェーンに対し自社映画を強引に公開させる手法も終焉を迎えるだろう。観客の需要に上映スケジュールを適応させるマルチプレックスの柔軟性は、ブーム前に比べヒット映画が稼ぎやすい環境をもたらした。そして、日本の映画産業もヒット映画の生み出し方を学んでいた。

業界大手の東宝を中心に大手スタジオは、ヒットした漫画や小説,テレビドラマを原作とした映画を余すことなく製作、公開している。

今日では、多くの映画でメディア企業がリスクと利益を共有する製作委員会方式が採られている。製作委員会方式は1970年代に開始。フジテレビと東宝がタッグを組み人気テレビシリーズの踊る大走査線の映画化が行われ、主演の織田裕二が湾岸署の警官役を演じた。2003年の2作目『踊る大捜査線 BAYSIDE SHAKEDOWN2』は、興行収入150億円を突破し、未だ破られることのない実写映画の最高記録を打ち立てた。もう一つの大きな存在として、1985年に宮崎駿監督と高畑勲監督、プロデューサーの鈴木敏夫氏の3名により設立されたアニメーションスタジオ スタジオジブリが挙げられる。1989年のスマッシュヒット『魔女の宅急便』を皮切りに、ジブリは老若男女に受け入れられ、かつ興行的な成功を収める映画を数々生み出しアニメーション業界の常識を覆した。

20年以上に渡り、ジブリ映画は国内外共に存在感を示してきた。2001年の『千と千尋の神隠し』では興行収入2.75億ドルを記録。日本での興行収入ランキングで堂々の1位を獲得しており、現在もその記録は破られていない。宮崎駿監督の才能がジブリの成功に欠かせなかったことは言うまでもないが、鈴木氏の抜け目のないマーケティングと日本テレビ系列との提携も大きく寄与した。平成を振り返る際には、ゴジラシリーズも忘れてはならないだろう。1985年に10年の歳月を経て公開された『ゴジラ』を1作目として平成ゴジラシリーズが始まる。

アメリカに拠点を置きゴジラシリーズを大々的に取り上げたFangoria magazineのNorman England氏は、平成ゴジラシリーズは以前のシリーズと比較すると大人向けの映画に仕上がっており、日本は大人に受け入れられる作品を作る国として世界トップレベルであると賛辞を贈る。大人向けという方針が功を奏し、年間の国内興行成績のトップ10には必ずランクインされる人気を誇った。

その後に1999年から2004年までにミレニアムシリーズと呼ばれる6本を製作したものの、最後の『ゴジラ FINAL WARS』が失敗に終わり、ゴジラシリーズは12年間の凍結期間を迎えた。

庵野秀明総監督と樋口真嗣監督のタッグで実現した12年ぶりのゴジラシリーズ『シン・ゴジラ』は、造形物の中に人が入って演じるという従来の撮影方法に囚われることはなかった。全てCGで映像化されたゴジラや官僚や科学者,自衛隊などの登場人物が受け、今までのゴジラシリーズ28作品全てを上回る7,400万ドルを稼ぎ出した。

映画業界の復活に貢献した同作だが、令和の時代も引き続き復興の時代となるだろうか。

東京国際映画祭でフェスティバル・ディレクターを務める久松猛郎氏は、取り組む必要のある問題を把握している。

久松氏は今後の日本映画について次のように述べる。

「私たちは日々の生活でデジタル技術に取り囲まれており、映画製作も乗り遅れてはいけない。優れた原作も数が限られているためオリジナル脚本を宣伝する必要性も生じてくるのに加え、海外市場に向け海外パートナーも増やしていくべきである。最終的には若手クリエイターのスキルを向上させ新しいチャレンジができるようにサポートしなければいけない。」

しかしながら、新たな構想は現時点では出て来ていない。

サウジアラビア:前途多難な映画事業

【出典】2019/5/15

https://variety.com/2019/film/news/saudi-arabia-plows-ahead-film-plans-human-rights-criticism-1203212958/

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サウジアラビアはかつて中東の映画首都になるという大きな野心を持っていたが、ジャーナリストJamal Khashoggi氏の殺害により、実現が大変困難になった。Mohammed bin Salman皇太子が暗殺に関与していると疑われている報告の中で、サウジの指導者を改革者として歓迎していた多くのメディア企業は混乱に陥った。

その劇的な態度の変化は、今年のカンヌ映画祭でも明確にあらわれた。1年前、サウジアラビアはこの映画祭をスタジオや映画会社を勧誘するために利用した。サウジアラビアの地にハリウッドの作品を引き付けるため、初の国営パビリオンをつくり、現地での撮影費用の補助をアピールした。しかし、今年サウジアラビアのテントはなく、約束されていたたインセンティブはも実現していない。そして、Khashoggi氏殺害やサウジ政府のさまざまな政策が、映画界において、サウジアラビアへの広範にわたる反発を引き起こし続けている。

ImaxのCEO、Rich Gelfond氏はカンヌで開かれたイベントで「Khashoggi氏暗殺事件により、映画業界はサウジアラビアへの進出にためらいをみせた。しかし、人びとは再びこの市場への進出に切り出そうとしている。」と語った。

王国が指揮を執るサウジアラビア治安部隊による、Khashoggi氏の残忍な殺人により、一部の企業は王家、特に国王によって厳しく管理されている国でビジネスをすることを断念した。Endeavourはサウジアラビアのソブリンウェルス・ファンドから借りた4億ドルの投資を返却し、ViacomやUberなどの企業は、Bin Salman氏の近代化の取り組みを強調することを目的とした「Davos in the Desert」と呼ばれるサウジ会議から退会した。(サウジアラビアのファンドは、Varietyの親会社であるPenske Media Corp.への投資を続けている。)

しかし、一方で若い裕福な消費者の人口を誇る市場に参入する計画を進めていくことを決定したハリウッドのプレイヤーもいる。MKMパートナーズのアナリスト、Eric Handler氏は、「政治状況にきちんと目を向けなくてはいけない、そしてそれに騙されてはいけない。でもこの市場は非常に有益である」述べた。

サウジアラビアでは2018年まで映画館が禁止されていたが、急速なペースで映画館がオープンしており、中東を拠点とするVox Cinemasは順調に運営を進めており年末までに100以上のスクリーンを所有するとみられる。世界最大の映画館会社であるAMCは、今後5年間で最大50の劇場を開く予定ある。 Imaxは、ライセンス契約を通じて2つの劇場を運営している。また大手スタジオは、「Avengers:Endgame」などの映画をサウジアラビア国内でリリースし続けている。

「サウジアラビアには多くの複雑な道徳的問題があることは間違いない。」とGelfond氏は述べた。「世界の規範や道徳規範に違反した行為を行う政府がいる一方で、国が近代化していくこを望む人びとがいる。この問題に対しての私たちの立場は理想主義的であり、何も関与せず傍観することもできる。しかし、それが国の人びとにとって正しいことなのかはわからない。」

政権への批評家たちの中には、その論理を支持していない人もいる。Khashoggi氏殺害への関与の疑いがあるのに加えて、サウジアラビア政府は西洋の会社にサウジアラビアとのビジネスを躊躇させるべきであるという方針を貫いている。イエメンでの国主導の軍事介入は、人道的災害を引き起こしたと非難されている。また、国は女性に関して抑圧的な法律を制定しており、最近ではようやく女性が運転することが許可されるようになったが、この権利を求めた活動は投獄されている。それに加え、4月には大規模な処刑が実行され、37人の男性の首がきられた。

Codepinkの共同ディレクター、Medea Benjamin氏は、「サウジアラビアの文化活動と国が築き上げようとしている映画産業は、信じられないほど抑圧的な政府を無視できない試みである。」と語った。さらに彼は 「サウジアラビア政権は世界で最も混沌とした、不寛容な政権の一つである。サウジアラビアは膨大な資金を所有しているが、なぜアメリカの会社がサウジアラビア政権を黙認するのか理解ができない。」とつけ加えた。

カンヌでは、サウジアラビアのコンティンジェントが今年は控えめな姿勢を保っている。しかしこの映画祭には、新しい紅海国際映画祭のゼネラルマネージャーに任命された元ドバイ映画祭の執行役員Shivani Pandya氏も参加していた。この紅海国際映画祭の開催はJeddah氏の野望であり、来年から始まる予定である。

ドバイを拠点とするプロデューサーのFadi Ismail氏は、「初期段階では、多くの問題点が生じているのだ。しかし、着実に事態は進行している。」と述べた。サウジが管理するドバイを拠点とする放送局MBCの制作部門の元ゼネラルマネージャであるIsmail氏は、サウジの知的財産に基づいたプロジェクトで、自社を立ち上げようとしている。

カンヌでは、アブダビを拠点とする制作大手Image Nation、MBC、Vox Cinemasが、アラビア映画とテレビのプロジェクトを共同制作し、配信するためのパートナーシップを発表した。しかし一方で、この地域の以外では、Khashoggi氏の殺害によりサウジアラビアの当初の目論みであった、国際的な繋がりをもって映画制作を行い、トップタレントを引きつけることがほぼ不可能になった。映画スターを紅海祭に参加させるのは困難であろう。中東の著名な映画監督は、「ドバイで開かれる映画祭にスターを招くことは困難であろう。」と述べ、さらに「サウジアラビアに対する現在の認識はさらに厳しくなるだろう。」と付け加えた。ハリウッドのメジャーなプロダクションはサウジアラビアが制作費の莫大な援助を申し出しているが、サウジアラビアでの撮影を一切予定していない。

「サウジアラビアの映画業界について話をすると…ゼロから始めるようなもので、意味のあるものを構築するのはかなり長いプロセスになるであろう。」と研究会社IHS MarkitのDavid Hancock氏は述べた。

ストリーミングサービスDisney+、タイトル数ではなくクオリティー重視に

【出典】2019/04/26

https://variety.com/2019/digital/news/disney-netflix-streaming-content-comparison-1203193967/

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Disneyは、VOD激戦時代に競合他社よりも少ないコンテンツ量でVOD領域への参戦を決めた。方針として、量ではなく質を重視する。

Disney+は、NetflixのスタンダードHDプランの半額に近い月額6.99ドルで今年の11 月にアメリカでローンチ予定。調査会社のAmpere Analysisによれば、初年度はアメリカのNetflix USの5分の1に満たない作品数でスタートされるとのことだ。

最初の一年で過去から現在までのテレビシリーズ7,500エピソード分と映画は500本程度配信するとDisneyは明かしている。

以下の数字はAmpere Analysisが算出。

テレビシリーズ:

Netflix US 47,000エピソード

Disney+ 7,500エピソード(Netflix USの16%)

映画:

Netflix US 4,000本

Disney+ 500本(Netflix USの12.5%)

また、NetflixだけでなくテレビシリーズはHuluやAmazon Prime Video,CBSよりも少ないラインナップになる予定で、映画もPrime Video(12,000本)やHulu,Starz Play,HBO GOと比較すると少ない本数でスタートする。

Disney+が他社に匹敵するほどの作品数を配信しないのは驚くことではない。

作品の数が、サービスの価値に直結するわけではないことを認識する必要がある。重要なのはAmpere Analysisの調査で、DisneyのトップコンテンツはNetflixとAmazon作品以上にクオリティが高いという結果が判明している点だ。調査では、アメリカで利用可能なSVODプラットフォームのオリジナル作品トップ100を比較し、ユーザーの意見を基に1〜100でスコア付けを行なっている。

その結果、Amazon,Netflix共にDisneyよりも低いスコアを獲得しており、HBOのみが上回っている。(下図を参照)

比較的少ないタイトル数に関わらず、Disney+は知名度の高い作品でインパクトを与えるだろう。配信作品には、マーベルやスターウォーズ、人気テレビシリーズ『シンプソンズ』などが含まれる。

更に、過去にアメリカとカナダでディズニー映画を独占配信していたNetflixとの契約も縮小させている。そのため、『キャプテン・マーベル 』『トイ・ストーリー4』『アベンジャーズ:エンドゲーム』などの作品がDisney+での独占配信となる。Netflixでは2019年に150億ドルを投資予定であるが、Disneyも多額の投資予算を確保している。今月の初旬に開催された株主総会でCFOのChristine McCarthy氏は、2020年度にはオリジナル作品に10億ドルを費やす計画で2024年までに25億ドルを費やす予定であると述べた。

同社は2024年度までに120〜500本以上の映画、10,000エピソード以上のテレビシリーズに加え、50以上のオリジナルテレビシリーズ、10本以上のオリジナル映画を配信すると予測。

広告ベンダーであるOpenXのCBO Dallass Lawrence氏は次のように主張する。「短期的、長期的に考えても、Disney+は巨大SVODとなるだろう。スターウォーズやマーベル、ピクサーを保有するDisneyは無比のコンテンツ工場である。」

Disney+がユーザーシェアを伸ばす余地は大いに残されている。OTTサービスを気に入ったユーザーが既存のケーブルTVチャンネルを解約することでOTTのマーケットがさらに拡大するきっかけになるだろう。

OpenXの委託調査で、OTTビデオサービスを利用しているアメリカのユーザーは月に最大で100ドルを支払う意思があることが判明した。全てのユーザーが100ドルも支払うとは考えられないが、月額6.99ドルのDisney+は魅力的であり、多少の値上げが実施されても問題ないだろう。(調査は、少なくとも1つのOTTサービスを利用している18歳以上の2,002人を対象に、2019年2月13日〜3月6日に実施)

McCarthyの予測によれば2024年度末までにDisney+の登録者は6,000〜9,000万人を突破し、3分の2はアメリカ国外の人々となる見込み。Disneyはコンテンツを持っており、強力なブランド、経済面などを考えればSVOD市場での躍進は明らかだろう。そのため、一刻でも早く持続可能なビジネスを構築できるかが鍵となるだろう。

グラフは、各プラットフォームの配信作品数を表している。(上のグラフがテレビシリーズ、下のグラフが映画。)

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下図は、SVODのトップ100作品をスコア化してプラットフォーム別に比較している。

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ストリーミングオリジナル作品は、引き続きアカデミー賞へのノミネート可能に

【出典】 2019/04/24

https://techcrunch.com/2019/04/24/oscars-eligibility-netflix/

89th Annual Academy Awards - Red Carpet

Netflixなどのストリーミングサービスのオリジナル作品は、来年以降のアカデミー賞でも他作品と競える結果に落ち着きそうだ。今年のアカデミー賞 作品賞にNetflixオリジナル作品である『Roma』がノミネートされ、最終的には監督賞、外国語映画賞、撮影賞を獲得した当初、アカデミー賞協会は、ルールの変更の可能性があることを示唆していた。

Netflixでは何年もの間、オリジナル作品を劇場公開したいと主張し続けていたが、劇場公開されたとしても彼らのストリーミングサービスから公開作品を外すことはしなかった。映画館側にとってストリーミングサービス上で視聴可能な作品を劇場公開するメリットがないため公開を嫌がっていた。しかし2018年から『Roma』を含め複数作品がストリーミングで視聴可能になる前に劇場公開を開始した。しかし劇場公開期間は限定的だった。

報道によればスティーブン・スピルバーグ監督は、Netflix作品を締め出す方針のルール変更を提案し、最低でも劇場での独占上映期間を4週間確保することを求めていた。今月の初め、法務省はアカデミー協会に向けて不当に競争の排除を行えば独占禁止法に抵触する可能性がある旨の手紙を送達済みだ。

アカデミー協会側では、上層部により決定された変更について纏めたプレスリリースを発表。(名称を外国語映画賞から国際長編映画賞へと変更されたことが判明)更に、プレスリリースではオスカーへのノミネートに劇場公開を必須と定めているルール2の変更は行わないことを発表している。

ルール2:

ロサンゼルス郡の商業劇場で最低でも7日間上映され、1日につき3スクリーン以上で上映がされること。劇場以外のメディアでの同時公開は問題ない。

アカデミー協会会長のJohn Bailey氏は、次のように語った。

「我々は劇場での鑑賞体験が映画という芸術にとって不可欠だと捉えている。現行のルールではノミネートに劇場での公開が必須であるが、幅広い作品がノミネートできる環境を用意している。映画産業で起きている大きな変化を研究し、引き続き議論を交わしていければと考えている。」

ムービーパスは一年弱で90%のサブスクライバーを失った

【出典】 2019/04/18

https://variety.com/2019/digital/news/moviepass-subscribers-loss-crater-225000-1203192468/Picture1

映画見放題サービスのMoviePassの加入者数が1年で300万人から23万人へ急速に減少している。20186月、同社は月額9.95ドルで映画館で毎日映画が1本観れるサービスを提供することで加入者を300万人までに急速に伸ばしたが、ビジネス的にほぼ不可能だった。

そして同サービスは月に3本まで観れるサービスに変更、月単位での契約ではなく年間契約に20188月にシフトした。

結果年間契約したくない登録者が一気に解約する結果となった。そして20193月から月額14.99または年間119.4ドルで映画館で映画が毎日1本観れるサービスをスタートした。しかし、このサービスには制限があり公開されたばかりの人気作品などは対象に入らない。結果193月の新規加入者数は13000人のみだ。